麓の街や村からの日帰りでも、ピレネー山脈ハイキングは存分に楽しめる!

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スペインとフランスの国境にそびえるピレネー山脈は、3000mを越える山々と豊かな自然が広がり、世界中のトレッカーに人気の場所だ。規模こそアルプスほどではないものの、その景観や魅力はアルプス以上という評判だ。そんなピレネー山脈でも、今回はわりと手軽に楽しめる場所を紹介する。

 

5月下旬から6月中旬は、さまざまな花が谷底を彩る


フランスとスペインの国境を成すピレネー山脈は、初夏から秋にかけて、多くのハイカーやトレッカーで賑わいます。前回紹介しました国境の峠越えコースに続き、今回は麓の街や村のホテルから日帰りで楽しめるハイキングコースをピックアップします。

★前回記事:ピレネー山脈随一の人気、「ブレッシュ・ド・ローランの峠越え」

 

世界遺産ガバルニー大圏谷ハイキング

世界遺産でもあるガバルニー大圏谷のハイキングは、フレンチピレネー(フランス側のピレネー)を代表する人気ハイキングコースです。麓の村のガバルニーは、壮大な景観を一目見ようと山道を越えてやって来る旅行者を100年以上前から受け入れてきた、山間の静かなリゾートです。ガバルニー村からはすぐ南側には、大圏谷の景色が広がり、思わず息を飲んでしまします。

ガヴァルニ村の様子。奥に大圏谷の絶景が広がっている


村からのハイキングでは溪谷に沿って歩いていき、牧草地や林を抜け、大圏谷の絶壁からしぶきを上げながら流れ落ちる大滝、グラン・カスケードを間近に望む展望地までを日帰りで往復します。

グラン・カスケードまでは、いくつものルートがあり、岩屋上の岸壁をドラバースする高度感のあるコースや、小川に沿ってのんびり歩けるコースまで、コースの組み合わせ方で、変化のあるハイキングを楽しむことができます。

また、5月下旬から6月中旬にかけては、トレイル沿いが花で彩られ、色とりどりの花々がハイカーの心を癒やしてくれます。ガバルニー大圏谷ハイキングの折返し地点には、山小屋レストランがあり、ぜひガバルニーの大圏谷や大滝を仰ぎ見ながら、ゆっくりとランチを楽しみたいものです。

雪解けの時期にはいくつもの滝が現れるガバルニー大圏谷の絶景!

 

スペイン・ピレネーの人気コースオルデサ溪谷ハイキング

スペイン・ピレネーのハイキングでぜひ訪れたいのは、ガバルニーと並び雄大な景色の広がるオルデサ溪谷です。

ハイキングの起点となるのは、中世の佇まいを残す石造りの街トルラです。トルラから路線バスを乗り継ぎ、国立公園の入り口まで行き、そこからハイキングスタートです。オルデサ溪谷の源頭までは、日帰りで往復するのは距離があり難しいため、溪谷内のいくつかある名所の一つであるエストレッチョというゴルジュ状の大滝まで歩いて往復するのが一般的です。

このコースでは、渓谷内の平坦な場所に広がるブナ林が特に美しく、初夏の時期には、美しい新緑のブナ林の樹冠からこぼれ落ちる木漏れ日や、森を縫うように流れる渓流の音に癒やされながらハイキングを楽しむことができます。

オルデサ溪谷の谷底には美しいブナ林が広がる


ハイキングの後は、夜の時間帯に街に繰り出しましょう。街路灯の優しい明かりが、石畳や石造りの建物を美しく浮かび上がらせ、ヨーロッパの古い町並みの情景を満喫できます。

夜8時以降に賑わい始める“バル”で美味しい郷土料理とワインをいただけば、ハイキングの心地よい疲れと相まって、最高の思い出になること間違いなしです。

石造りの美しい街トルラ

プロフィール

北島 聡之

アルパインツアーサービス株式会社/本社営業部
学生時代はオリエンテーリングの世界大会にも出場した経験もあり地図読みのスキ ルは社内随一。
また、高山植物や樹木にも詳しく「花旅ハイキング倶楽部」のチー フリーダーとして活躍する一方、社内の30鉢を越える観葉植物の世話にも日々奔走 中。趣味は日本茶と焼き物や巡り。

アルパインツアーサービス株式会社

マッターホルン北壁の日本人初登攀を成し遂げた芳野満彦(アルパインツアー元会長)が、1969年に日本で初めてヨーロッパ・アルプスへのハイキング・ツアーを実施して以来、約半世紀にわたり、世界中の山岳辺境地の山旅を企画、実施してきた。「トレッキング」という言葉を日本に定着させた、世界の山旅のパイオニア的存在。

⇒アルパインツアーサービス

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