相次ぐ滑落事故、寒暖差に伴う雪の状況の変化に注意 島崎三歩の「山岳通信」 第144号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年4月5日に配信された第144号では、この期間中に北アルプス唐松岳八方尾根で3件連続で発生した滑落遭難に触れ、寒暖差の大きいこの時期の登山について注意喚起を行っている。

 

4月5日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第144号では、3月16日~24日に起きた7件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 3月16日、北アルプス八方尾根で、42歳の男性がバックカントリースキー中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。大町署山岳遭難救助隊が救助活動し、翌17日に県警ヘリで救助した。

  • 3月19日、浅間連峰浅間山で、39歳の男性が黒斑山・トーミの頭付近で道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。男性は翌20日に県警ヘリで救助された。

黒斑山・トーミの頭での遭難現場の様子(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)3月29日付)

  • 3月23日、北アルプス唐松岳で、35歳の女性が唐松岳へ向けて登山中に丸山ケルン付近で滑落して負傷する山岳遭難が発生。女性は山小屋に避難し、翌24日に北アルプス北部地区遭対協隊員とともに下山した。

  • 3月23日、北アルプス唐松岳で、30歳の男性が唐松岳から下山中に丸山ケルン付近で滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 3月23日、八ヶ岳連峰天狗岳で、36歳の男性が西天狗岳から下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 3月23日、北アルプス唐松岳で、50歳の男性が唐松岳から下山中に丸山ケルン付近で滑落して負傷する山岳遭難が発生。2日後の25日に県警ヘリで救助された。

北アルプス唐松岳での滑落事故現場の様子(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)3月29日付)

  • 3月24日、塩尻市霧訪山で、69歳の女性が霧訪山から下山中にバランスを崩して転倒・負傷する山岳遭難が発生。消防ヘリにより救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

3月4週は、唐松岳八方尾根にて3件連続で滑落遭難が発生しました。この時期は寒暖の差が激しいため、気温の上昇により雪が溶け、気温の低下とともに一気に凍ってアイスバーン状になることが少なくありません。歩行中は雪の状況をしっかりと確認するとともに、急斜面での下りやトラバースの際は、特に慎重に行動するように努めてください。
また、アクシデントにより救助要請をしても、時間帯や天候状況によってすぐに救助ができない場合があります。今回の唐松岳の遭難についても、天候が非常に悪く、地上部隊が現場を確認することができず、天候が回復した2日後にヘリで救助しています。非常時に備え、必ず簡易シェルターや食料、ヘッドライトなどの装備品を携行して入山してください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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