ショルダーベルトが当たる鎖骨が痛い! 鎖骨にひびかない背負い方、パッキング方法を考える
質問:テント登山派で、重い荷物を持って歩いてます。痩せ型体形のせいか、とにかくショルダーベルトが当たる鎖骨が痛い! 腰や背中は大丈夫です。ショルダーのパットが具合の良いザックを選んだり、ショルダーにタオルを挟んだりしでいます。鎖骨にひびかない背負い方など解決方法はありますか?
身体に合ったザックを選び、ていねいにフィッティング
僕も子供の頃は、超貧弱な身体つきで、しかも当時は大きな布袋にすぎなかった重い帆布でできたキスリングザックという工夫も何もないザックが主流だったので、鎖骨や肩が痛くてたまりませんでした。この方のようにショルダーベルトにタオルを捲いたり、フェルトのパットを手に入れたりと大変でしたが、今はザックが良くなり、あまり肩の痛みは感じません。
理想のザックとは、例えば15kgの荷物を背負ったとき、肩の上にその重みがのしかかってきたり、その重量分で後ろに引かれたりするのではなく、あたかも自分の体重が15kg増えたように感じるザック・・・なのですが。現在のほとんどのザックは、肩と腰に荷重が分散されるので、ベルト類の調整で相当、鎖骨や肩の負担は減るようです。
まず、ザックのサイズが身体の大きさにあっているものを選び、背面パネルの長さと自分の背中があったモデル、または、背面の調整が可能なモデルを選ぶことが大切です。
その上で、背負う前に、まず最初にヒップベルト(腰回りのベルト)を骨盤の上にシッカリと合わせます。次にショルダーベルト(肩のベルト)を背中とザックがピッタリになるように調整し、最後にショルダースタビライザー(肩への引き付けベルト)を適度に引っ張ります。慣れるまで、毎回、ザックを背負うたびに、必ずこれらの作業を行うようにしましょう。
パッキングのポイントは?
また、パッキングの良し悪しも大事です。同じ荷物でもできるだけ軽く感じるように、かつ、必要な物を必要なときにサッと取り出せるようにすることがパッキングの基本です。
特に大型ザックの場合は、肩の後ろあたりに重い物があって、左右の重量も均等になるようにするのがポイント。行動食や水、カメラといった頻繁に使うもの、雨具のように急に必要になるウェアはできるだけ上の方に、シュラフなどを下に入れることを心がけます。
これらをいろいろと試してみると鎖骨の痛み、肩の痛みは、改善するように思います。
プロフィール
山田 哲哉
1954年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。
著書に『奥多摩、山、谷、峠そして人』『縦走登山』(山と溪谷社)、『山は真剣勝負』(東京新聞出版局)など多数。
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