ゴールデンウィーク目前、残雪の山では一層の備えを! 島崎三歩の「山岳通信」 第145号/春の特別号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年4月23日に配信された第145号では、遭難事例を説明すると共に残雪の山での注意事項を解説。またゴールデンウィークを目前にして、春山情報を特別号で紹介している。

 

4月23日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第145号では、4月3日~14日に起きた5件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 4月3日、下高井郡野沢温泉村の毛無山山林内で、単独でバックカントリーに入山した37歳の男性が、スノーボードで滑走中に何らかの原因により負傷する山岳遭難が発生。志賀高原地区遭対協隊員等により救助された。

  • 4月9日、下伊那郡阿智村の大川入山で、単独で入山した74歳の男性が下山中に残雪で足を滑らせ転倒、負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

阿智村の大川入山での遭難現場の状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)4月17日付)
 
  • 4月12日、群馬県境の志賀高原・横手山で、54歳の男性がスキー場コース外を滑走し、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリにより救助された。

  • 4月13日、北アルプス小蓮華山で、62歳の男性がバックカントリースキー滑走中に転倒し、滑落・負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリにより救助された。

デブリ(雪崩の痕)が広がる小蓮華山での遭難現場の状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)4月17日付)
 
  • 4月14日、中央アルプス木曽駒ヶ岳で、12日から日帰りの予定で、単独で入山した70歳の男性が木曽駒ヶ岳方面へ登山に向かったまま行方不明となる山岳遭難が発生。県警ヘリなどで捜索を行っている。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

4月2週は、4件の遭難が発生しました。9日に発生した大川入山における遭難は登山道上の残雪でスリップしたものです。大川入山は2000m以下のいわゆる「里山」ですが、まだ山の中には所々雪が残っています。里山といえども軽アイゼンなどを携行し、残雪の歩行に備えるようにしましょう。

13日に発生した小蓮華山におけるバックカントリー遭難は滑走中に転倒し滑落したものですが、写真のとおり、現場一帯はデブリ(雪崩の痕)帯となっています。デブリ帯は堅い雪の塊が堆積しており、速度が出た状態での滑走は非常に危険です。斜面状況とメンバーの技量等を見極め、適切な判断と行動を心がけましょう。

また、県内では4月に降雪があり、例年より多めの積雪となっていますので、アイゼン・ピッケル等の装備を準備することはもとより、登山する山域の最新情報を確認するようにしてください。

 

島崎三歩の「山岳通信」 春の特別号配信

昨年(平成30年)の春山では、ゴールデンウィーク中の遭難が15件(死者1人、行方不明者1人、負傷者8人、無事救出者5人)と多発し、5月1日~2日には、北アルプス・穂高連峰の雪上で滑落し死亡する遭難が相次ぎました。そこで、ゴールデンウィークを目前に控えた「特別号」として、春の山岳の注意情報をお伝えします。

なお、平成31年春山情報は長野県警のホームページより閲覧・ダウンロードが可能です。ゴールデンウィーク中に長野県内で登山を行う予定のある人は、安全登山への重要なヒントが掲載されているので、一度目を通しておいてください。

 

春山で注意すべきポイント

  • 春山では、短時間で天候が急変し、小春日和が一転して厳冬期と同じ気象条件となることもあります。行動前に天候をチェックし、天候悪化が予想される時は行動を控えましょう。
  • 雪上を歩行中に転倒・滑落する遭難が多発しています。特に早朝は雪面が凍結して滑りやすいため、慎重な行動が必要です。
  • 「雪崩」や「雪庇の崩壊・踏み抜き」に十分注意しましょう。
  • 山菜採りでは、携帯電話を持ち、単独の入山は避けて、急斜面での滑落に注意しましょう。
  • 長野県では、条例により登山計画書の届出が義務付けられています。登山計画書を必ず届出るとともに山行に持参しましょう。また、家族や友人にも登山の詳細な予定を伝えましょう。

 ⇒平成31年春山情報(PDF)はこちら!

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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