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“休日の島”と呼ばれるオーストリア・タスマニア島。最深部を貫くオーバーランド・トラックを縦断

世界の山旅・絶景への誘い
ガイド・記録 2019年07月25日

オーストリアの南に浮かぶタスマニア島は、「タスマニア原生地域」として世界遺産に指定されている。広大な大自然が手付かずのまま残された島の、最深部を貫くオーバーランド・トラック、その魅力をダイジェストで紹介する。

オーストラリア・タスマニア島のオーバーランド・トラックの爽快なトレイルを行く


オーストラリア大陸の南方の海に浮かぶタスマニア島は、赤道をはさんで北海道とほぼ同じ緯度にあります。オーストラリア大陸に住む人々から、休日を過ごす憧れの場所として“ホリディアイル(休日の島)”と呼ばれています。

インディゴブルーの海に囲まれた島の面積は、北海道の80%ほどで、その約40%が国立公園や自然保護区に指定されています。ゆったりと流れる「島時間」のなかで、地場産のグルメとお酒を楽しみながら、山・海・森・花・動物といった豊かな自然を満喫できる場所です。

 

太古の地球の姿がそのまま保存された大自然のトレッキング

手付かずの大自然が残るタスマニア島には、充実のロングトレイルが満喫できる「オーバーランド・トラック」が整備されています。全長65kmにも及ぶ本コースは、タスマニア島の中心部に位置するクレイドルマウンテン・レイクセントクレア国立公園を北から南へ縦断するもので、日帰りハイキングでは訪れることのできないタスマニア原生地域の最深部を思う存分堪能できるトレイルです。

奇峰バーンブラフを望みながらのトレッキング


オーバーランド・トラックは通常、65kmを6日間で縦断しますが、本トレイルの最大の魅力となるのは「歩いてこそたどり着けるピュアな自然の姿を体感できる」ことに尽きます。

以下で紹介しているオーバーランド・トラックは、ガイドが同行するプログラム内容で、よりタスマニアの自然を堪能できる内容です。紹介している山小屋についても、個人でトレイルを歩く場合には利用ができない場所で、ガイドがご飯をつくり、貸し切りのロッジでくつろぐことができます。一般のトレッカーは、別のパブリックな簡素な山小屋を利用します。

ガイドが同行するプログラムでは、隠れ家のようなたたずまいの、清潔で快適な山小屋が利用できる


また、ガイドが同行するフルパッケージのツアーでは、有袋類を頂点とするタスマニア独特の生態系についての解説を聞きながら歩けるのも大きな特徴となります。ちなみに、このガイドを聞くと聞かないでは、タスマニアの面白さが全く違ってくると、個人的には思っています。せっかくタスマニアを訪れるなら、ガイドが同行するフルパッケージを利用したいものです。

タスマニア島に生息する、かわいらしいウォンバット。独特の自然や生態系をガイドから教われば、さらにタスマニア島は楽しめる

 

湿原、岩稜、原生林――、全6日間のトレイル

それでは、オーバーランド・トラックの行程と魅力をダイジェストお伝えしましょう。まずはトレッキングの前半3日間は、標高900m~1,000mに広がる高層湿原の上を進みます。氷河の浸食によって形成された荒々しい山容を眺めながら、整備された木道を歩きます。足元に広がるボタングラスの草原も圧巻です。

トレッキングの前半は冷温帯雨林や高層湿原の中を進んでいく
 

ウォンバットの食草のボタングラスが生い茂る草原地帯はトレッキング前半部に楽しめる


そして後半に差し掛かるトレッキング4日目は、天候などの条件が許せば、タスマニア最高峰のMt.オッサ(1,617m)の登頂を目指します。樹林帯を抜け、柱状節理が露出した岩稜帯を登ると、360度の大展望が広がります。

5日目から6日目にかけては、まさにタスマニア原生地域の最深部となるトレイルを歩きます。貴重な原生林は太古の姿をそのまま現代に残し、野生動物たちも活発に活動しています。タスマニアの自然の豊かさを感じることができます。

トレッキング4日目はタスマニア島最高峰のMt.オッサに登る
 

トレッキング終盤は世界遺産でもタスマニア原生地域に進む。雄大な景観が広がる

 

ロッジは貸し切り、ガイドがシェフに!

フルパッケージツアーのオーバーランド・トラックの最大の特徴はプライベートハット(民間の山小屋)のシステムです。一般的な公共の山小屋の場合、トレイルを歩いている他のトレッカー達と一緒に宿泊をしますが、プライベートハットでは前述したように完全貸し切りの山小屋を利用します。

メイントレイルから外れ、小道を10分ほど歩くと、プライベートハットが現れます。メイントレイルからは全く見えない秘密の場所にあり、シンプルで機能的な造りが魅力の隠れ家です。

メイントレイルから隠れるように、森の中にたたずむロッジ。中は清潔で快適だ


客室は個室(2人部屋)が6つ、最大12名のゲストを迎えられる設計となっています。寝袋は各客室に備わってるので日本から持参する必要はありません。各自で運ぶインナーシーツを敷いて利用することになります。山小屋はシンプルな作りながらも雰囲気の良いダイニングや温水シャワー、乾燥室があり、リラックスして過ごすことができます。

山小屋からは、こんな美しい夕陽が望める。夜も星空や夜行性動物が楽しい


また夜は、夜行性動物がロッジの周りを闊歩し、晴れていれば満点の星空も期待できます。朝夕の食事は2名同行する現地ガイドが手料理をふるまってくれます。一日の疲れと一日の始まりをサポートする態勢は万全です。

なお、ランチについては毎朝用意される食材から、好きなものを選んで各自で作ることになります。

 

豊かな自然が育むタスマニアの美食文化を堪能しよう

タスマニア島のもうひとつの魅力が、豊かな自然によって育まれた食文化です。四方を海に囲まれているため、牡蠣、ロブスター、サーモンなどの新鮮なシーフードはもちろんのこと、近年日本でも話題となっている“タスマニアン・ビーフ”や特産のチーズも有名です。また、タスマニア島はワインの一大産地としても知られ、まさに「食の宝庫」といえる場所なのです。

トレッキングの後には、州都・ホバートで、毎週土曜に開催される青空市場「サラマンカ・マーケット」に行くことをオススメします。地元産のワインやハチミツなど、タスマニア島の美食を堪能しましょう。

★タスマニア島 オーバーランド・トラック 10日間

大地の大きさ、そして自然の尊さを感じながら歩くことのできるオーバーランド・トラックは個性的な魅力に溢れたロングトレイルです。皆様もぜひ一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

オーバーランド・トラックの象徴クレイドルマウンテンを正面にみながらのトレッキング
教えてくれた人

小林 博史

アルパインツアーサービス株式会社/本社営業部。同志社大学山岳部出身。学生時代にはヒマラヤ8,000m峰の登頂経験を持ち、未踏峰の頂きも目指した根っからの山男。持ち前の語学力を活かし、ジョン・ミューア・トレイルをはじめとした世界各地のロングトレイルや、キリマンジャロ登山、スイスやカナダのハイキングまで、年間100日以上、ツアーリーダーとして「世界の山旅」を案内している。
〝鉄道オタク〟の一面もあり、日本中のあらゆる路線を制覇することも夢のひとつ。

アルパインツアーサービス株式会社

マッターホルン北壁の日本人初登攀を成し遂げた芳野満彦(アルパインツアー元会長)が、1969年に日本で初めてヨーロッパ・アルプスへのハイキング・ツアーを実施して以来、約半世紀にわたり、世界中の山岳辺境地の山旅を企画、実施してきた。「トレッキング」という言葉を日本に定着させた、世界の山旅のパイオニア的存在。

⇒アルパインツアーサービス

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