残雪のある山域に入山する際には、とくに下山時に注意を! 島崎三歩の「山岳通信」 第151号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年6月24日に配信された第151号では、期間中に北アルプスで起きた2件の遭難事故について言及。6月下旬に差し掛かっても残雪による滑落事故が起きていることに注意喚起している。

 

6月24日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第151号では、6月11日~6月15日に起きた5件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 6月11日、北アルプス大天井岳で、66歳の男性が大天井岳付近の残雪状況を確認中にバランスを崩し、滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 6月13日、山ノ内町平穏地籍(志賀高原)の雑魚川で、渓流釣りに行った男性56歳が、岩の上から転落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 6月14日、長野市鬼無里地籍の東山で、48歳の男性が東山から下山中に道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

鬼無里・東山の遭難現場の状況(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)6月18日付)
 
  • 6月14日、高山村牧地籍の山林で、山菜採りのため入山した男性70歳が行方不明となる遭難が発生。須坂警察署員などが現在も捜索を行っている。

  • 6月15日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で、37歳の男性が白馬鑓温泉から下山中に滑落し、負傷する山岳遭難が発生。大町警察署山岳救助隊等が救助活動を行い、6月16日に県警ヘリで救助した。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

6月3週は、5件の遭難が発生しました。11日の大天井岳と15日の白馬鑓ヶ岳で発生した遭難は雪上で滑落し、立木や岩に衝突して負傷したものです。
北アルプス等の山域にはまだ谷筋等に残雪があり、登山コースに雪渓等が指定されている山がありますが、この時期の雪渓は時間帯や天候、日当たり等によって非常に堅く氷結している場合があり、アイゼン等を装着していても歩行技術が伴っていなければ滑落する危険性があります。特に滑落遭難は下山中に集中して発生しています。残雪のある山域に入山する際は、くれぐれも滑落の危険性を認識して慎重に行動をしてください。

高山村では山菜採り遭難の行方不明遭難が発生しています。単独での入山はアクシデントがあった時に対処ができない場合があります。山菜採りに行く際は、家族に具体的な予定を伝え、できるだけ複数で入山するようにしてください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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