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憧れの白馬三山~不帰ノ嶮、高山植物が最も美しい7月に人気ルートを堪能しよう

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2019年07月16日

白馬大雪渓を登りつめ、白馬岳から不帰ノ嶮を進んで唐松岳へと縦走するルートは、美しい山稜と険しい岩稜を進む登山者の憧れのルートとして知られ、登山愛好者なら一度は経験したいルートだ。夏の間ならいつでもベストシーズンだが、せっかくなら一番山が美しい7月中旬頃に行ってみてはどうだろうか?

お花畑が広がる白馬岳の斜面(写真=増村 多賀司)


毎年、7月の海の日の頃になると、北アルプスの山々は賑わいを見せてきます。白馬岳周辺にも、まだ点在する残雪を踏みしめながら、多くの登山者が訪れるようになってきます。

この時期の白馬岳は、高山植物たちが最も咲き誇る時期です。その中でも、とくに注目したいのが白馬周辺と八ヶ岳だけに咲くウルップソウです。7月中旬あたりが盛りで、白馬岳から杓子岳、白馬鑓ヶ岳と南へと足を進めて天狗の頭あたりまでの登山道沿いに多く見られます。

夏はいつでも楽しいコースだが7月の中旬の美しさは随一(写真=増村 多賀司)


今回紹介するルートは、北アルプスの人気ルート――、白馬大雪渓を登り、白馬三山を縦走しながら高山植物を楽しみ、後半は不帰キレットを縦走するルートです。通常2泊3日で歩くコースですが、現在は天狗山荘での宿泊がテント利用者以外はできないため、白馬岳から唐松岳は一挙に歩く必要があります。コースの核心部となる不帰ノ嶮はスリルがあり難易度も高いですが、手がかり足がかりはしっかりしていて安心です。

岩稜歩きに加えて、7月中は花の稜線が楽しめる本コースを、ぜひお楽しむください。

モデルコース:白馬三山縦走~不帰ノ嶮~唐松岳

コース行程:
【1日目】猿倉・・・白馬尻・・・葱平・・・村営頂上宿舎・・・白馬山荘・・・白馬岳・・・旭岳往復・・・白馬山荘(宿泊)/約6時間30分
【2日目】白馬山荘・・・村営頂上宿舎・・・杓子岳分岐・・・鑓ヶ岳・・・鑓温泉分岐・・・天狗平・・・不帰キレット・・・唐松岳・・・唐松岳頂上山荘(宿泊)/約6時間30分
【3日目】唐松岳頂上山荘・・・丸山・・・第三ケルン・・・八方池山荘(宿泊)/約2時間30分

⇒コースタイム付き地図はこちら

 

高山植物、ライチョウ、星空――、夏山の魅力に包まれた1日

連休が始まる2018年07月14日――、朝4時に猿倉に着くと駐車場は既に満車に近く、好天が約束された連休の初日であることを実感しました。

明るくなってから猿倉を出発すると、白馬尻付近には早速キヌガサソウやサンカヨウが朝日を受けて美しく輝いていました。大雪渓への取り付き地点の残雪を確認すると、この年の残雪は例年並みでしょうか、上部の秋道はまだ出ておらず岩小屋跡も雪の下でした。なお、大雪渓は爽快ですが、時々落石もあるので常に上部には注意が必要です。

大雪渓を過ぎて急な夏道に出ると、ミヤマキンポウゲやシナノキンバイなどの花に癒されます。続く小雪渓は丁寧に雪切りされていて歩きやすいですが、「アイゼン必着」との表示があるとおり、しっかりアイゼンを付けて通過します。

大雪渓を登りつめるのも本コースの魅力だ。落石には常に注意が必要(写真=増村 多賀司)


稜線直下のお花畑は見頃を迎えています。ハイマツの下には、キヌガサソウやサンカヨウ、ショウジョウバカマなどの春の花、草原にはハクサンイチゲやシナノキンバイ、ウルップソウ、ミヤマオダマキなどが咲き誇っています。

その脇では、雄の雷鳥が砂浴びしている様子も見られました。付近のハイマツの下では雛の声があちこちから聞こえています。

白馬岳山頂付近もお花畑が見頃となっています。ツクモグサは終わっていましたが、まだ数株見られました。白馬山荘の裏手にはコマクサの群落もあり、まだまだ楽しませてくれそうでした。

白馬岳山頂直下から白馬杓子岳、白馬鑓ヶ岳を眺める(写真=増村 多賀司)


山頂からの展望は申し分なく、能登半島や佐渡島がはっきり見えました。この日は時間があったので旭岳方面に散策に出かけました。広大な雪田を横切った先にはシナノキンバイ、クロユリ、ハクサンコザクラ、ハクサンイチゲのお花畑が広がっています。そして西側から見る白馬三山は、いつもと違って新鮮な眺めで壮観でした。

また、この日の夜の星空も素晴らしく、白馬三山の上には夏の天の川がはっきりと見えました。さらに、眼下には富山の夜景が美しく輝いていました。

頭上には天の川が横たわり、眼下には白馬、安曇野の夜景が美しく輝く(写真=増村 多賀司)

 

いよいよ本コースの核心部・不帰ノ嶮へ――

この日の行動は長丁場なので、午前4時に白馬岳山荘を出発し、白馬杓子岳でちょうど日の出を迎えました。杓子岳は信州側が絶壁になっていて、杓子沢のカールまで切れ落ちています。その先――、眼下には雲海が広がっていて、早朝の景色を堪能します。

杓子岳を後に岩屑の斜面を下って白馬鑓ヶ岳へ取り付くと、登山道の脇にはウルップソウやミヤマオダマキが沢山咲いていて見事で、ウルップソウはこの先天狗ノ頭付近まで続いていました。白馬岳ではウルップソウは終わっていましたが天狗山荘周辺の残雪の近いため、まだ見頃の株がたくさんあり、チングルマとの共演が素晴らしかったです。

登山道脇のお花畑には、コマクサ、ハクサンイチゲ、ハクサンフウロ、ウルップソウ、ミヤマオダマキ、クロユリなどの花が咲き誇る(写真=増村 多賀司)


白馬鑓ヶ岳を過ぎると鑓温泉へと下山するルートと分岐します。この年は鑓温泉へのルートが雪の状態が不安定だったために7月15日から閉鎖されていました。この時期に鑓温泉小屋に行く場合は、最新情報を入手する必要があります。鑓温泉小屋の営業開始は7月下旬(この年は7月26日)で、2019年は8月3日からの予定とのことです。また、天狗山荘は2017年の積雪による被害で、2019年現在では宿泊は出来ずテン泊トと売店のみの利用となっています。

白馬鑓ヶ岳から天狗山荘方面を眺める。なだらかに続く稜線が美しい(写真=増村 多賀司)


天狗山荘から先は、いよいよ本コースの核心部へと進みます。天狗山荘の少し先にはコマクサの群落があり見頃を迎えていて、花を楽しみながら進みます。天狗ノ頭まではなだらかな稜線散歩ですが、その先の天狗の大下りから一気に不帰キレットに落ち込んでいます。

白馬鑓ヶ岳から杓子岳、白馬岳を振り返る(写真=増村 多賀司)


不帰Ⅱ峰北峰への登りがこのルートの核心で鎖場が連続して緊張しますが、手がかり足がかりがあるので落ち着いて行動すれば問題ありません。ただし、唐松方面から来る人とすれ違う場合は安全な場所で待つ必要があることはご注意ください。

信州側を巻く部分は風もなく暑いですが、不帰Ⅱ峰北峰に飛び出ると再び富山側からの涼風が吹いてホッとします。ここから先Ⅱ峰南峰、Ⅲ峰までは特に難しい所もないので休憩を入れたいところです。

ハイライトの不帰ノ嶮へ。落ち着いて行動しよう(写真=増村 多賀司)


Ⅲ峰は富山側を巻いて通過、気がつくと人が沢山いる唐松岳が近くに見えています。唐松岳の山頂から、今まで歩いてきた方向を振り返ると達成感が得られるでしょう。

急に人が多くなった登山道に戸惑いながらも唐松岳頂上山荘には昼に着きました。ここは目の前に堂々とした五竜岳が見えるのが印象的です。時間的には余裕がありましたが山荘に宿泊し、翌朝はゆっくり八方尾根を下山する事にしました。

なお、現在は山荘からの下山は尾根コースに変更されています。また、八方尾根も上部からずっと花が続いていて飽きません。

 

教えてくれた人

増村 多賀司

長野県北安曇郡在住、山岳写真家、長野県自然保護レンジャー。数々の山岳写真と撮影する傍ら、グリーンシーズンは北アルプスを中心にトングとゴミ袋を持って山を歩き、雑誌などへの寄稿も多数。
⇒Facebook

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