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ザックの選び方をもう一度、基本から――。山行スタイル別にサイズ選択を行おう!

登山道具の買い方・選び方、ショップのスタッフに聞きました!
道具・装備 2019年09月05日

登山の「三種の神器」とされるのが、登山靴とレインウエア、そしてザックだ。山行スタイルによっては荷物を少なくして軽やかに、また衣食住のすべてを詰め込むこともあるザックは、用途に合わせて選びたいもの。そこで、カモシカスポーツ 山の店・本店の横井さんに、基本となるザックの選び方を聞いた。1回目は、「登る山や期間に合わせてどんなザックを選ぶといいか」について探る。

取材・文=辻 歌

 

山行スタイル別・おすすめのサイズ

ザックはもちろん、さまざまな山道具が揃うカモシカスポーツ 山の店・本店


ライターT: ザックの選び方は、どのような山に行くかや期間によって変わるかと思います。まずは、サイズ選びについて教えてください。

横井さん: 山行スタイルを大まかに分けると、「日帰り」「山小屋泊」「テント泊」になります。最近はウエアや道具の軽量化が進んでいるので一概には言えませんが、基本的なサイズの選び方をお伝えします。
まず、低山ハイキングが中心となる「日帰り」は、20L前後を選ぶといいでしょう。登山の必需品となるレインウエアはもちろん、山頂などで冷えることもある春・秋シーズンはフリースやダウンなどの保温着を持って行くこともあります。また、下山後のお風呂セットを持ち歩くことも考えられるので、装備が多くなりそうなら25Lあると安心です。

ライターT: 「山小屋泊」になると、荷物がさらに増えますよね。

横井さん: 「日帰り」と同じ装備に加え、着替えや行動食なども増えてきます。泊まりとなると標高が高い山も多いでしょうから、夏場でもフリースやダウンは必ず持って行ってほしいので、そうすると30~40Lくらいの容量が必要になってきます。

ライターT: 最も荷物が多い「テント泊」だと、大型ザックになると思います。どのあたりからが大型になりますか?

大型ザックの種類も豊富に揃う


横井さん: 私は、55L以上をおすすめしています。近ごろはテントもコンパクトになっていて、荷物が少なくなることもあり、テント泊上級者なら50Lくらいにまとめられる方もいます。ただ初心者には軽量化はなかなか難しい課題です。ザックが大きすぎると荷物を入れ過ぎてしまい、重くなるってしまう傾向もあるので、55~60Lくらいが使いやすいでしょう。

 

最初に買うなら、中型ザックがいちおし

メーカーごとにこだわりの仕様がある中型ザック。店頭では各パーツの詳しい説明も


ライターT: 個人的には、登山を始めるときに、最初に中型ザックを買ってもよいのでは? と思いますが。

横井さん: 私もそれをおすすめしています! 夏の日帰り登山だと大きく感じるかもしれませんが、肌寒い春や秋なら荷物が増えてくるので、30L程度の容量はあったほうがベターです。たとえば、お湯を沸かすコッヘルや水、食料などを持っていくにしても、ちょうどいいサイズです。

ライターT: 「日帰り」にも「小屋泊」にも使えるし、便利ですよね。

横井さん: 小さすぎると汎用性がなくなるので、登山を続けてレベルアップするうちに結局、中型ザックを買い足すことにもなります。それを考えたら、最初から中型サイズを手に入れたほうがいいと言えます。

 

山での快適性が高まる小型ザック

ライターT: とはいえ、コンパクトな荷物で行きたい際には重宝するのが小型ザックです。ただ、これくらいのサイズだと、つい普段づかいのデイパックで代用したくなりますが・・・。

横井さん: 正直に言うと、「それでもいいですよ」と答えています。ただし、登山用のザックは登山するシーンを考えて作られているので、もちろん違いはあります。

登山で快適な小型ザックは、デイリーユースにも重宝


ライターT: どういうところが違うのでしょうか?

横井さん: 一番大きな違いは、背面の構造です。街用のザックだと、背中部分がフラットになっているものが多いです。一方、登山用の場合は、背中に汗をかいて熱がこもることも想定されるため、背面パッドが立体的になっていたりメッシュ構造になっていたりします。背面パッドが体にペタッとついた状態だと風が通らず、ムレてしまうのでこういう構造になっています。

登山用の小型ザック(左)と街づかいを意識したザック(右)の背面


ライターT: 快適性はかなりアップしそうですね。

横井さん: 仕事スタイルや街中で使っているザックを山で使うことがダメというわけではなく、「登山用を使うと、山ではより快適」ということです。もちろん、街で使っても快適なので、登山用を普段づかいする人も増えていますよ。

ライターT: ほかに、登山用の小型ザックの特徴は?

横井さん: 登山用はウエストにストラップ付きのものが多いです。これは腰に荷重をかける役割となるウエストベルトとは異なり、あくまでザックのブレを抑えるものです。ザックを背中部分に安定させることでバランスがよくなり、体への負荷が軽減されます。

ライターT: 基本的に荷物が少ないなら、必要に応じて持っていてもよいサイズですね!

 

山でも下山後も重宝するアタックザック

横井さん: 山行スタイル別に小型、中型、大型のザックがあるとお伝えしましたが、実は「登山のザックは最終的に4つになる」と思っていて。その4つめが「アタックザック」といわれるものです。

ここ数年でバリエーション豊かになったアタックザック


ライターT: 確かに、あると便利です!

横井さん: 基本はサブザックとして携行しておいて、山頂をピストンで目指すときなどに重宝するのがアタックザックです。薄手の素材が使われていて、パッカブルやポケッタブルなどで非常にコンパクトに収納しておけるのが特徴です。重い荷物は山小屋やテントに置いて、財布や携帯電話、カメラなどだけ持って身軽に山頂へ行けるので、1つあると本当に便利です。
私自身の話ですが、百名山に挑戦しているので登山の帰りは観光をすることも多いのですが、その際にはお土産を入れたりできて役立ちますよ。

アタックザックは、右手に持っているサイズを広げると左の大きさに!


ライターT: 最近は、アタックザックの種類も増えましたね。

横井さん: ショルダーストラップがパッド状になっているなど、コンパクトながら背負いやすさを考えたモデルもあります。
また、ブランドによっては大型ザックにアタックザックが付いているものもあります。例えば、雨蓋を取り外すとアタックザックに変身したり、ハイドレーションを入れる袋がアタックザックになったりします。これらのセパレートするタイプは、使い慣れないと元あった位置に戻すのが大変なこともあるので、それが面倒・心配なら、やはり別に持つほうがいいかもしれません。

* * * *

次回は、「中型・大型ザックのポイント」についてご紹介。登山用のファーストザックとしておすすめの中型ザックや、ステップアップしたときに欲しくなる大型ザックには、小型にはない“登山仕様”の機能がたくさん。ぜひザック選びの参考にしてください。

⇒登山用ザックの選び方/第2回中型・大型ザックの選び方のポイント

 

ザック
教えてくれた人

横井 亮

カモシカスポーツ 山の店・本店勤務。カモシカスポーツのザック担当。オフロードバイクからアウトドア生活が始まり、いつしか山を歩くことにも目覚める。今では百名山への挑戦、縦走登山、クライミング、沢登り、スキーなどをマルチに嗜む。 ザックは15個くらいをアクティビティに合わせて使い分け、自らの体験に基づくリアルな使い心地を伝える。

カモシカスポーツ 山の店・本店

登山用のウエア、靴、ザックからクライミングや沢登りの道具まで幅広く扱う専門店。登山のベテランもうなる実用的なセレクトが多く、初心者がステップアップしても長く使えるものが豊富に。フィールドでの経験値が高いスタッフが、細やかなアドバイスをしてくれる。
住所/東京都新宿区高田馬場1-28-6
TEL/03-3232-1121
営業時間/11:00~20:00(土日祝は~19:00)
アクセス/JR山手線・西武新宿線・地下鉄東西線高田馬場駅より徒歩3分

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