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秋に入り不安定な大気、気象確認とそれに基づいた行動・判断を 島崎三歩の「山岳通信」 第161号

島崎三歩の「山岳通信」
その他 2019年09月05日

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年8月30日に配信された第161号では、台風の接近や秋雨前線の影響で気温が低下した8月下旬の気象状況に注目し、低体温症の遭難事例が発生していることに注意喚起を呼びかけている。

 

8月30日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第161号では、8月19日~8月25日に起きた9件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 8月19日、北アルプス白馬鑓ヶ岳で、単独で入山した58歳の男性が、白馬鑓ヶ岳から猿倉に向けて下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は長野県山岳遭難防止対策協会夏山常駐パトロール隊、大町警察署山岳遭難救助隊等により救助された。

  • 8月20日、北アルプス蓮華岳で、5人パーティで入山したうち3名(68歳男性、74歳男性、65歳女性)が、七倉岳から蓮華岳へ向けて登山中に疲労及び体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。3名は北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会大町班救助隊により救助された。

  • 8月20日、北アルプス奥穂高岳で、仲間4人と入山した68歳の男性が、吊尾根を奥穂高岳に向けて登山中、疲労及び体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。男性は長野県山岳遭難防止対策協会夏山常駐パトロール隊、北アルプス南部地区山岳遭難防止協会救助隊により救助された。

  • 8月20日、北アルプス蝶ヶ岳で、単独で入山した69歳の男性が、常念岳から蝶ヶ岳に向けて登山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。男性は北アルプス南部地区遭対協救助隊により救助された。

  • 8月21日、北アルプス五竜岳で、単独で入山した72歳の男性が、八峰キレットから五竜岳に向けて登山中に視界不良のため道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。男性は長野県山岳遭難防止対策協会夏山常駐パトロール隊により救助された。

  • 8月22日、中央アルプス木曽駒ヶ岳で、仲間7人と入山した73歳の男性が、西駒山荘から木曽駒ヶ岳に向けて登山中に疲労及び体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。男性は駒ヶ根署山岳遭難救助隊及び中央アルプス地区遭対協により救助された。

  • 8月24日、北アルプス涸沢で、家族らと5人で入山した13歳の男性が、幕営中に発病し、体調不良を訴え行動不能となる山岳遭難が発生。男性は長野県山岳遭難防止対策協会夏山常駐隊により救助された。

  • 8月25日、北アルプス西穂高岳で、仲間と2人で入山した53歳の男性が、西穂高岳から奥穂高岳に向けて登山中にバランスを崩し滑落、負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

北アルプス西穂高岳での滑落現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月27日付

  • 8月25日、雨飾山で、単独で入山した34歳の男性が、山頂から下山中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

8月4週は、9件の遭難が発生しました。1週間を通じて日本付近に停滞前線がかかり、大気の状態が非常に不安定な週でした。特に20日は台風の接近に伴い、長野県をはじめとする甲信越、北陸地方は大気の状態が非常に不安定となりました。平地でも各種気象警報が発令され、午前中から激しい雨に見舞われ、その後急激に気温が低下しました。
そのような中、北アルプスの稜線では低体温症による行動不能とみられる遭難が連続で3件発生しています。前線の停滞や通過時に風雨にさらされる稜線で行動することは非常に危険です。撥水性に優れたウェアも自然の猛威の前では無力です。夏山といえども簡単に低体温症に陥ります。
天気予報の中で「前線の通過」「発達した低気圧」「寒気の流入」などの用語があれば「山は大荒れ」となります。自然相手の登山は気象情報の入手とそれに基づいた行動・判断は非常に重要です。
日頃から「気象」に関心を持つとともに、気象条件によって、登山を中止する、途中で引き返す判断をしましょう。

 

教えてくれた人

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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