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標高年と北海道命名150年のW記念年の緑岳(松浦岳)、真っ赤な絨毯の紅葉にナキウサギが走る

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2019年09月12日

日本で最も早く山が紅葉で色づく大雪山。その主峰の旭岳の南東に位置する緑岳は今年は標高年(2019)の山として知られるが、もうひとつ記念年でもあるという。9月下旬はナキウサギが見られる確率も高まるという山に、ぜひ訪れたい。

第2花園から見た“W記念年の山”緑岳(松浦岳)と広がる美しい紅葉(写真=谷水享)


大雪山・緑岳は標高2019.9mで、今年2019年が標高年になります。また、別名に“松浦岳”と付けられていますが、これは北海道における松浦武四郎の功績を称えて付けられました。

松浦武四郎は、以前の記事でも紹介しましたが、「北海道」と命名したことで知られる幕末から明治時代の探検家で、北海道内陸探検を6回にわたって行っています。

★北海道の原風景が広がる十勝連峰・原始ヶ原へ――

北海道の山の名前は、ほとんどがアイヌ語が語源でそこに漢字が当てはめられた名前が多く存在していますが、大雪山系はちょっと違います。黒岳、赤岳、緑岳、白雲岳と色の名前が付いた山や、桂月岳、小泉岳、松田岳、間宮岳など北海道の歴史に名を残した偉人達を称えて付けられた山が多いのです。

今回ご紹介する緑岳は、標高年というだけではなく、松浦武四郎が名付けた「北海道」が、命名(1869年)から150年目になる記念の年でもあります。

松浦武四郎が名付けたのは「北海道」だけではありません。北海道の内陸部を探索し、探索出来なかった山や川をアイヌ人から聞き取りし、「東西蝦夷山川地理取調地図」に山川名や地域名9千8百も残したことで、北海道の山々の名前が文字として初めて残されたのです。

秋は「生き化石」ともいわれるナキウサギに出会うチャンスも多い!(写真=谷水享)


そういったW記念年でもある緑岳(松浦岳)ですが、紅葉のきれいな山でもあり、生きた化石とも云われるナキウサギに出会えるチャンスが多い9月下旬の登山をお勧めしたく筆を(キーボード)とりました。

緑岳登山口となる大雪高原温泉に至る町道高原温泉泉は、冬季通行止めのため6月上旬から10月上旬頃までしか開通しておりません。加えて、紅葉時期の9月20日~29日までは一般車両通行禁止になり、シャトルバスが運行されますので、あと約1ヶ月の登山期間となります。

おすすめコースは、シャトルバスが運行されている時期を利用して、層雲峡温泉~黒岳~緑岳~大雪高原温泉、銀泉台~赤岳~緑岳~大雪高原温泉などを縦走できますので、健脚の方は是非縦走されると良いでしょう。

モデルコース:大雪高原温泉から緑岳・北海平・高根ヶ原を周回

コース工程:
1日目: 大雪高原温泉・・・第1花園・・・緑岳(松浦岳)・・・小泉岳・・・白雲分岐・・・北海平・・・白雲分岐・・・白雲岳避難小屋(宿泊/約7時間)
2日目: 白雲岳避難小屋・・・高根ヶ原分岐(三笠新道分岐)・・・高根ヶ原・・・高根ヶ原分岐・・・白雲岳避難小屋・・・緑岳(松浦岳)・・・大雪高原温泉(約5時間)

⇒コースタイム付き地図はこちら

 

真っ赤な絨毯のような紅葉が広がる緑岳&北海平

今回は2015年の秋に緑岳に登った際の記録で少し古くなりますが、北海平と高根ヶ原を散策した記録から紹介したいと思います。9月22日、シャトルバスにて大雪高原温泉まで移動すると、乗客のほとんどは高原沼巡りの登山者のため「ヒグマ情報センター」に向かっていきましたが、私一人だけ高原山荘の裏手の緑岳登山口に向かい、早速登りはじめました。

最初の樹林帯の急登では紅葉は始まったばかりでしたが、ところが第1花園、第2花園まで標高を上げていくとチングルマはすでに真っ赤な絨毯のように染まっています。

第1花園から見たチングルマの紅葉と緑岳。真っ赤な絨毯のように紅葉が広がる(写真=谷水享)


ここから緑岳の取り付きはハイマツ帯ですが、直ぐに岩場となり、腰を下ろして休んでいると、冬ごもり真っ最中のナキウサギが忙しく岩穴を出たり入ったりして鳴いていて癒やしてくれます。

また眼下には紅葉真っ盛りの高原沼群が見えます。そんな景色を後にして山頂に着くと景色が一変、大雪山の広大な山容が見渡せます。北海道第2峰の白雲岳、高根ヶ原の向こうにはトムラウシ山、後旭岳山頂の上にひょこっと旭岳の山頂が顔を出しています。

今回の山行計画は緑岳の紅葉のほかに、「北海平から見る紅葉とトムラウシ」と「高根ヶ原から見下ろす高原沼群」を見る目的のため、足早に緑岳を離れて先を急ぎます。小泉岳から白雲岳分岐を通過し北海岳の手前の北海平で目的の景色を撮影。北海平でチングルマの紅葉の向こうに浮かび上がるトムラウシの撮影を終えると、戻って、白雲岳避難小屋に宿泊しました。

北海平のチングルマの紅葉。奥に見える秀峰がトムラウシ山(写真=谷水享)


翌日は朝陽を浴びる、高根ヶ原とトムラウシを撮影し、そのまま南下して高根ヶ原に向かいます。三笠新道(この時期通行禁止)の分岐を過ぎて高原沼群の真上に来たところで、景色を堪能し戻り、白雲岳避難小屋~緑岳~大雪高原温泉へと下山してきました。

朝陽に染まる白雲岳小屋、奥に見えるのはトムラウシ山(写真=谷水享)

高根ヶ原から見おろす高原沼群の景色、写真は大学沼と式部沼(写真=谷水享)


絨毯のように真っ赤員染まるチングルマの紅葉、冬支度を急ぐナキウサギ、そして北海平の紅葉と眺望――。北海道・大雪山の短い秋を堪能できる1泊2日の贅沢な山旅です。

登山計画 ガイド
教えてくれた人

谷水 亨

北海道富良野市生まれの富良野育ち。サラリーマン生活の傍ら、登山ガイド・海外添乗員・列車運転士等の資格を持つ異色の登山家。

子育てが終わった頃から休暇の大半を利用して春夏秋冬を問わず北海道の山々を年間50座ほど登って楽しんでいる。

最近は、近場の日高山脈を楽しむ他、大雪山国立公園パークボランティアに所属し公園内の自然保護活動にも活動の範囲を広げている。

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