紅葉の見頃を迎える山域では冷え込みの厳しさに注意 島崎三歩の「山岳通信」 第164号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年9月20日に配信された第164号では、秋の紅葉シーズンの山の環境について言及、冷え込みの厳しさや日没時間の早さに対する対策を促している。

 

9月20日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第164号では、9月11日~16日に起きた9件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 9月11日、北アルプス前穂高岳で、2人で入山した21歳の男性2名が、重太郎新道を登山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。2人は北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊及び長野県警山岳遭難救助隊により救助された。

  • 9月14日、北アルプス槍ヶ岳・北鎌尾根で、ガイドらと入山した57歳の女性が、北鎌尾根を登山中に疲労及び体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助された。

  • 9月14日、北アルプス槍ヶ岳で、9月8日から上高地から単独で入山し、槍ヶ岳方面へ向かったま行方不明となっていた61歳の男性が、9月14日に無事発見された。

  • 9月15日、北アルプス槍ヶ岳・北鎌尾根で、仲間と4人で入山した58歳の女性が、北鎌尾根を登山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助された。

槍ヶ岳・北鎌尾根での遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)9月19日付
 
  • 9月15日、北アルプス岳沢で、単独で入山した60歳の女性が、登山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助された。

  • 9月15日、中央アルプス南越百山で、単独で入山した68歳の男性が、登山中に滑落して負傷。その後、自力で下山を試みるも道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

  • 9月15日、御嶽山で、登山ツアーで入山した74歳の女性が、登山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。女性は翌16日に県警ヘリで救助された。

御嶽山・二ノ池の遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)9月19日付
 
  • 9月16日、北アルプス燕岳で、単独で入山した51歳の男性が、登山中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。男性は安曇野署及び南部地区遭対協救助隊により救助された。

  • 9月16日、北アルプス槍ヶ岳・北鎌尾根で、仲間と4人で入山した49歳の女性が、登山中に脱臼して行動不能となる山岳遭難が発生。女性は翌17日に県警ヘリで救助された。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

9月2週は、連休を中心に9件の遭難が発生しました。そのうち3件が槍ヶ岳北鎌尾根で発生しています。以前の週報でも触れましたが、槍ヶ岳の北鎌尾根は通常の登山ルートとは違い、岩登りの技術やロープワーク、ルートを読む目、そして何より長大な尾根を登り切る体力が求められる「バリエーションルート」です。単独での入山や、準備不足・安易な心構えでの入山は控えてください。

今後、県内の山岳では、標高の高い山域を皮切りに、順次、紅葉の見頃を迎えます。それと同時に朝晩の冷え込みも厳しくなります。日帰りの予定でもヘッドライトや防寒具等の装備品を携行しましょう。また、人気の山域ではしばらくの間、週末を中心に登山者の集中が予想されます。混雑を見越したゆとりのある計画を心がけてください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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