自己の実力を冷静に見極め、インターネット上の情報は鵜呑みにしないこと 島崎三歩の「山岳通信」 第167号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年10月15日に配信された第167号では、昨今、遭難が頻発している槍ヶ岳・北鎌尾根について言及。インターネット上の情報を鵜呑みにして無謀に踏み込むことのないよう、注意喚起を行っている。

 

10月15日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第167号では、10月1日~6日に起きた5件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月1日、北アルプス白馬岳で、44歳の男性が仲間と白馬鑓ヶ岳から下山中に、疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。翌2日に、男性は北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会白馬班救助隊により救助された。

  • 10月1日、木曽郡木曽町の山林で、キノコ採りのために単独で入山した84歳の男性が、滑落・負傷して行動不能となる山岳遭難が発生。男性は木曽署員などにより救助された。

  • 10月4日、北アルプス槍ヶ岳で、家族2人で入山した77歳の男性および75歳の女性が、槍沢を登山中に疲労および体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。2人は北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊により救助された。

  • 10月5日、北アルプス槍ヶ岳・北鎌尾根で、仲間2人で入山した43歳および48歳の男性が、北鎌尾根を登山中に1名が滑落、同行者も滑落に巻き込まれて衝突、2人とも負傷する山岳遭難が発生。2人は翌6日に県警ヘリで救助された。

北アルプス槍ヶ岳・北鎌尾根の遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月8日付
 
  • 10月5日、北アルプス横尾谷で、家族と2人で入山した77歳の女性が、涸沢から下山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。女性は長野県警察山岳遭難救助隊、および北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会秋山特別パトロール隊により救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月1週は、5件の遭難が発生しました。10月5日に発生した北鎌尾根の遭難は通常登るべき沢を間違え、岩場に突き当たったため、引き返す途中で発生したものです。

北鎌尾根については以前も注意を呼びかけていますが、通常の登山ルートではありません。北鎌尾根では毎年、単独登山者や初級者による死亡・行方不明遭難が発生する非常に危険なルートです。インターネット上には動画を含め北鎌尾根に関する情報が溢れていますが、そのような成功体験のみを鵜呑みにして同ルートに足を踏み入れることは非常に危険です。自己の実力を冷静に見極め無謀な挑戦はやめましょう。

今後、標高の高い山域では結氷や降雪が進み、山は一気に冬へと変化します。登山前に気象情報を確認し、的確な判断を心がけましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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