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掟破り! 幕府の反対を押し切って富士登山! 大名や外交官を熱狂させた霊峰富士の歴史

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たしなみ 2019年11月07日

日本を象徴する山、富士山。日本一高い山としての存在感や円錐形の美しいシルエットが人々を引き付けているのは間違いないだろうが、それだけではない霊峰富士としての神秘的な磁力があることは歴史が教えてくれる。江戸時代、「富士登山は庶民がするもの」という幕府の反対にも屈せず、富士山登頂を果たした大名と外交官がいた。2人を紹介しよう。

富士山7合目からご来光を望む (写真=加戸昭太郎)


富士山は噴火が落ち着いた平安時代後期より、山岳修行の場として登られるようになったといわれる。「神が宿る山」としての富士山信仰は時代とともに大衆化し、江戸時代には庶民が富士講というグループを組み、富士山への信仰登山(登拝)を行なうようになった。

そんななか、富士山へ登ることに憧れを抱いていた大名がいた。丹後国宮津藩藩主の本庄(松平)宗秀だ。江戸時代後期には富士講は全盛期を迎えていたが、「富士登山は庶民がするもの」として、身分の高い人物にはふさわしくないと考えられていた。

宗秀は幕府に許可を求めてから2年後に、ようやく許可を得るも、許されたのは中腹までの登山だった。

それにもかかわらず、宗秀は掟破りの行動に出た。1852年6月、宗秀一行は富士山へ向けて出発し、麓の村山浅間神社で食事と仮眠をとり、そのまま一気に山頂まで登ったのだ。海辺から登頂し、現在の富士宮市まで下る行程を3日間で歩いた健脚ぶりだったという。

信仰心が強かったのか、頂上からの景色を眺めたかったのか。何か宗秀の本当の目的かはわからないが、大名という立場上、幕府の指示に背いたこの登山は人生をかけたものだったといっても過言ではないのではないか。

本庄宗秀の肖像(宮津市教育委員会=所蔵・画像提供)


さらに尊王攘夷による外国人排斥思想が広まっていた幕末、富士山へ向かったイギリス人がいた。外交官のラザフォード・オールコックだ。

幕府からさまざまな理由を付けて反対されたにも関わらず、「外国との新たな関係への怒りや外国人への敵意があるかを確かめたい」という目的を掲げ、幕府の役人を含み100人を超える登山隊登山を強行。これが外国人として、初めて富士山登頂となった。

オールコックはこの富士登山を含めた日本滞在記を著書『大君の都』に残している。

全国の浅間神社の総本宮、富士山本宮浅間大社から見た富士山(写真=加戸昭太郎)


このように、富士山にはどうしてもその頂に立ちたいと思わせる何かがあるようだ。事実、何百年という時代を経て、人々が列をなして山頂をめざす光景は変わらないままだ。老若男女、普段は登山をしない人も、厳しい環境を乗り越え、山頂に向かう。そんな山はそう多くはないはずだ。

現在発売中の『山と溪谷11月号』では、富士山がそのように人を引き付け続ける理由を信仰や芸術、文学、自然など多方面から探った。

「日本人の心」とも言われる富士山。日本の中心に堂々とそびえることが日常的であり、あまり深く知ろうとする機会はないかもしれない。ぜひこの機会に奥深い霊峰の姿を本誌で知ってほしい。

 

知識・雑学 歴史・文化
教えてくれた人

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2019年11月号の特集は「富士山」。眺めるだけではわからない。日本が誇る富士のほんとうの姿をこの1冊に。長いあいだ、日本人の尊崇の対象としてあり続けた富士山と、近代の登山の対象としての富士山。その両面から、これまでの富士山とこれからの富士山のありかたを読者とともに考えます。

⇒ 『山と溪谷』最新号はこちら

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