秋山の特性を十分に理解した上で入山しましょう 島崎三歩の「山岳通信」 第170号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年11月13日に配信された第170号では、登山道の凍結や積雪に加えてアクセス道路の凍結も始まるこの時期、改めて慎重な行動を促している。

 

11月13日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第170号では、11月3日~5日に起きた2件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 11月3日、北アルプス常念岳で、単独で入山した65歳の女性が常念岳山頂から下山中に雪渓上で足を滑らせ、滑落・負傷する山岳遭難が発生。女性は北アルプス南部地区遭対協救助隊により山小屋に収容された。

  • 11月5日、八ヶ岳連峰黒百合平で、65歳の女性が唐沢鉱泉付近を下山中につまづいて転倒、負傷する山岳遭難が発生。女性は消防隊により救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

11月1週は1件の遭難が発生しました。この時期、標高の高い山域では積雪があります。完全に雪で覆われず、岩稜帯に薄く雪が付いているところもあり、非常に滑りやすくなっています。また、気温も低いため、長い休憩は体力を奪いますので、大量に汗をかかないペース、こまめな水分補給、休憩時の防寒着着用等を心がけて登山してください。
また、この時期は、ほとんどの山小屋は営業を終了してしまうため、体力不足による行動不能は、ビバークを余儀なくされますので、ツェルト・非常食・ヘッドランプ等の装備品を必ず携行するとともに、慎重な行動に努めてください。

11月2週は1件の遭難が発生しました。長野県内の標高の高い一部山域では麓から見上げても着雪が確認できるようになりました。また、日増しに日没も早くなっています。過去には日帰りの予定で入山したものの、行動に予想以上に時間がかかり、下山中に日没を迎え、ヘッドライトを携行していなかったために、道が分からなくなり救助要請をしたという事案もあります。秋山の特性を十分に理解した上で安全な登山に心がけてください。
なお、登山口に至る道路では、凍結や着雪も予想されます。早めの冬用タイヤへの交換やタイヤチェーンの携行等も忘れずに行いましょう。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

編集部おすすめ記事