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快適性を重視したモンベルの最新テント「ルナドーム2型」を、仙ノ倉山ほか数回のテント泊で試す!

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2019年12月27日

 

今月のPICK UP モンベル/ルナドーム2型

価格:46,000円(税別)
サイズ:130×210×110cm
重量:1,580g(本体重量)、1,790g(ペグ、張り綱、スタッフバッグ含む総重量)

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モンベル「ステラリッジ」がシェア拡大中! そんな中で注目したのが「ルナドーム」だ

この数年、山中のテント場で爆発的に使用者が増えているテントがある。それはモンベルのステラリッジテント。その数は驚くほどで、この10年くらいのテント場の風景の移り変わりのなかでも、特筆すべきほどの大きな現象なのである。

ステラリッジは、混みあったテント場に同じモデルが複数張られていても、自分のテントがわかりやすいようにと、本体(インナーテントとポール)と、フライシートを別に4色販売する方式にしているが、それでも自分のテントを見失う人が続出。それほどシェアを拡大している。興味がある方は、あらかじめモンベルのウェブサイトでステラリッジのことをチェックしていただくとよいかもしれない。

しかし、僕はステラリッジを持っていない。僕は出入り口がテントの長辺にあるタイプにこだわりがあるのだが、それは奥まで体を入れなくても内部のモノを取り出すことができ、出入り口も広いので前室部分も活用しやすいからである。実際、超軽量モデルや雪山用などを例外として、使用するモデルはどれも「出入り口が長辺」。だが最新型ステラリッジは出入り口がテントの短辺にあるのだ。

出入り口が短辺にあるほうが軽量なテントになり、いくらか風にも強くなるメリットはわかるが、要するに僕はそれ以上に居住性の高さを求めているのだ。あくまでも僕の好みでしかないのだが、共感してくれる方も多いに違いない。

そんな僕が興味を持てるテントが、ステラリッジを発売するモンベルから2019年に登場した。その名は「ルナドーム2型」。出入り口が長辺にあり、インナーテントとフライシート、ポールを合わせた重量は1560g。同じサイズ感の「ステラリッジテント2型」は本体と別売りフライシートの合計重量が1230g。その差は330gあるものの、2人眠れる大きさでその重量であれば十分すぎるほど軽い。重量増の分だけ天井は高く、四方向にベンチレーターが付くなど、いっそう居住性を増しているのが興味深い。

僕はこのテントを、この連載の前回で登った平標山、仙ノ倉山に持っていっていた。今回はそのときの写真を中心に、別の山でも試したときのカット(冒頭と最後)も加え、使い心地をリポートしよう。

設営したのは、平標山の家のテント場だ。平日のこの日は、山小屋には宿泊者がいたが、テント場は僕だけの貸し切り状態だった。

また、夕方以降は天気が下り坂で、テントのテストにはむしろ好都合であった。

こちらは出発前に撮影したルナドーム2型の収納状況。グレーのスタッフバッグ3つにインナーテントとフライシート、ポール、ペグとガイライン(張り綱)がそれぞれ入れられている。

インナーシートとフライシートは長さ36×直径17cm、ポールは長さ53×直径8cmという収納サイズだ。


以下はスタッフバッグから取り出して並べた写真である。インナーテントはフロアがグレー、壁部分がホワイト、フライシートはダークグリーン。ポールはレッドで、ガイラインがイエロー。渋めの色ながら視認性がよく、カラフルだ。


インナーテントの壁部分には10デニール、フライシートには20デニールという極薄の生地が使われている。地面に触れるインナーテントのフロアですら30デニールしかない。また、ポールは収納時には2本に分かれるだけだが、ハブで連結されているものを分離して考えれば8本といえなくもない形状で、素材はアルマイト加工のジュラルミン。ペグはアルミ製で12本付属している。

インナーテントとポールを組み合わせると、次のような形状になる。ハブで連結されたポールの末端のうち4カ所は地面の方向に延び、インナーテントのフロアと連結してテントを立体化させる。いわゆる「自立式」テントだ。

ポールの末端はほかにも宙に浮いた形で4カ所あり、それらはインナーテントの壁を持ち上げるために使われる。だからルナドーム2型の四方の壁は垂直気味に立ち上がり、同サイズのステラリッジ2型以上に広い内部空間が作られている。

2本のポールは、設営時に天井部分で連結する。この部分には特殊なフックが使われ、ひとたび連結すれば位置がずれない仕組みになっている。

インナーテントはポールに引っかけて形を作る。つまり「自立式」でいて「吊り下げ型」のテントということだ。ちなみに、先ほどから比較のために話に出しているステラリッジも以前はスリーブ式だったが、今期からルナドーム同様の吊り下げ式に進化している。

ポールの末端はボールのように丸みを帯びた形状で、インナーテントの“ボール受け”にしっかりとハマる。さらにその部分にはフライシートのパーツもかけることができ、強風を受けてもフライシートがずれにくいのがメリットだ。

地面に延びたポールの末端はグロメットで固定する一般的なシステムである。だが、そこにフライシートを伸縮性のコードと金属製のフックで引っかける仕組みは、他社には少ないモンベルらしい構造だ。だが、これは慣れないとすみやかにはかけにくく、好き嫌いがある仕組みかもしれない。正直なところ、僕自身も金属製フックをかけるのに手間取ることもあり、現在ポピュラーなバックルを使ったシステムのほうがラクでいいと思ったりもした。

 

中に入って、テント内の快適性、換気性能を確認

次はフライシートをかけた状態だ。付属のガイラインはまだ取り付けていないが、風が弱い場所ではこのままでも十分にきれいに立てられる。

フライシートの落ち着いたグリーンは、森の中のテント場では木々の葉の緑へ溶け込みそうなカラーリングだ。いまのところルナドームは、この色のフライシートのみ。人気が出たら、ステラリッジのように数色展開になるかもしれない。

長辺にある出入り口のパネルはメッシュ地との二重構造。暑い時期はメッシュのみにすれば、換気しやすい。

ルナドームは基本的には春から秋の3シーズンに向いたモデルだ。だが、雪がない、もしくは少ない場所であれば冬も活躍するだろう。

こちらは出入り口の反対側だ。巷の2人用には出入り口を両サイドに2つ設けたものも多いが、ルナドーム2型は1カ所のみ。ファスナーの使用量を減らし、本体重量を軽くするためだろうか。

上部の三角形の部分には換気用のベンチレーターが付けられている。このベンチレーターこそ、ルナドームの最大の特徴ともいえるディテールだ。なにしろ同様のベンチレーターが、4面ある壁のすべてに付けられているのである。これほどベンチレーターが充実しているテントはなかなか見当たらない。

下の写真は、ベンチレーター部分を下から見上げたもの。つっかえ棒のようなパーツで強制的に隙間を開け、風を取り込んでいるのがわかる。面ファスナーで固定するこのパーツは外すこともでき、悪天候の場合はベンチレーターを閉じることも可能だ。

そして、次の写真はテント内部からベンチレーターを見たカット。パネルを開くとメッシュ地の三角形の窓ができ、スムーズに換気ができるようになる。写真の小さい三角形のほうが短辺、大きい三角形のほうが長辺のベンチレーターと連動している。これだけベンチレーターが充実していれば、換気性が低いことはありえない。

しかしテント内に寝転んでいても風を感じることはなく、内部が効果的に換気されているのか、じつはわかりにくい……。そう書くと換気できていないのかと誤解されそうだが、実際は違う。すべてのベンチレーターがテントの上半分にあるため、テント内に入った風の大半は天井付近を流れ、そのまま外に出ていくのだ。だから寝転んだ状態だと、風を直接的には感じることは少ないのに、湿気だけは抜けていくというわけなのである。

今回のテストのときのように涼しい時期は、寒気をダイレクトに感じないこのような仕組みはとてもよい。夜になってから雨は降ったが、そのわりには結露が少なかったのは、このベンチレーターのおかげだろう。だが、蒸し暑い時期には、ベンチレーターが下のほうにあり、寝転んでいても外気が直接体に当たるようなデザインのほうがよいかもしれない。

この換気用の窓に関して気になったのは、大きいパネルが巻いて留めにくく、やっと留めてもほどけやすいということだ。

テントの居住性を大きく阻害するほどのことではないが、もう少し簡単に留められ、ほどけにくい方式に改良されるとよさそうである。

 

ゆったり寝られる2人用。雨になるものの、吹き込みもなく、快適な夜を過ごす

ルナドーム2型はフロアが長辺210×短辺130cmと、2人用テントとして充分な広さだ。一般的なマットを2枚敷いても、ある程度の荷物を置くスペースが作れる。ひとりで使えば、ちょっと広すぎるくらいで、今回なぜ僕が1人用のルナドームを使っていないのか、疑問に思う方も出てくるだろう。

じつは現状、ルナドームは2人用サイズ、つまり「ルナドーム2型」しか販売されていない。そのために1人用は試しようがないのである。2人用でも1人用並みに軽いため、発売開始の2019年はとりあえず2人用だけの展開としたのかもしれない。

さて、ベンチレーターが四方に付けられている以外、テントの内部はシンプルだ。目立つのは四隅には大きめのメッシュポケット程度である。2人が頭をどちら側に向けて横たわっても、必ず目の前にポケットがあることになり、このポケットは非常に便利だ。

前室の奥行きは、最大で70cm。過不足ないサイズ感である。フライシートと地面との隙間が広めに設計されていて、ベンチレーターと連動した換気性を上げることに貢献しているが、その分だけ風雨が吹き込みやすいともいえる。ブーツ類を前室に置く場合は、雨濡れを避けるため、その点に注意したほうがいい。

インナーテントと同様に前室部分のフライシートも高く立ち上げっているので、バーナーの熱は生地に近づきにくく、雨天時は前室での調理もしやすい。もちろん火災を起こさないように、細心の注意を払ってのことである。

夜になり、テント内でランタンをつけてみた。フライシートの色がダークなグリーンなので、内部が明るくなってもそれほど透けて見えないのは好ましい。

極薄の生地を使った現代の超軽量テントには、内部の人の動きが細かくわかるほど透けて見えて困るモデルもあるが、ルナドームにはそんな心配はなさそうだ。

さて、夜から雨が降り、迎えた翌朝。当然ながらテントはびしょ濡れになっていた。ベンチレーターは開けたままにしていたが、風はあまり強くなく、吹込みによる浸水は見受けられなかった。

縫い目を防水処理してあるインナーテントやフライシートの生地からの水漏れもない。新品のテントだから当たり前ではあるのだが。

フライシートの撥水性は抜群とはいえないまでも、山中で使用するには十分だ。表面を軽くはたくだけで、大半の水滴は弾き飛ばすことができた。

薄手の生地は傷みやすいこともあり、この防水性と撥水性がどこまで保たれるのかは、もう少し使ってみなければ判断できない。だが、初期性能としてはまったく問題はないようである。

出発前にテントを撤収。それにしても、少し前までそこにあったテントがなくなるだけで、山のテント場は途端に寂しくなってしまうものだ。

その後、僕は雨の中で平標山、仙ノ倉山へ登ってから下山した。そのあたりはこの連載の以前の記事を読んでいただきたい。

 

まとめ:居住快適性を重視なら「ルナドーム」は新しい選択肢となりそうだ

この山行の後も、僕はルナドーム2型を使用してみた。だが、使用感に関しては、初めて試してみたときと大きな変化はない。

やはりルナドームの特徴は、フロア自体のサイズに余裕があるだけではなく、インナーテントの壁が垂直気味に立ち上がることによって生まれる内部スペースの広さ。そして充実したベンチレーターが作り上げる換気性のよさだ。空気が乾燥気味の晩秋とはいえ、いつもフライシートの裏側に発生する結露が少なかったのは、ベンチレーターが効果的なことと、フライシートと地面の隙間が広めで風を取り込みやすいことが理由だろう。湿気が多い夏場ならば、もう少し違う感想になるかもしれないが、構造上のことを考えても換気性のよさは確かなことだと思われる。

結局、僕はこの原稿を書くまでに3~4回、ルナドームを設営/撤収した。そのうえで思うのは、多少設営方法に慣れてきたとしても、テントを立てるにはかなり時間がかかってしまうということだ。ポールの組み合わせが少々複雑で、ポールの末端やフックを引っかける部分が非常に多いのが主な理由だが、ベンチレーターを広げたり、フライシートをインナーテントにフックで連結したりと、やらねばならない細かな作業はほかにも多数あり、スムーズに設営できるとはいいがたい。悪天候時にテントを設営しなければならない場合は、この点は大きな弱点になりえる。広さや換気性といった快適性の向上との引き換えに生まれた設営作業の煩雑さといえなくもないが、もう少しシンプルな設営方法のほうが気楽に使えそうだ。

設営方法には改善の余地を感じるとはいえ、ルナドームはステラリッジ以上に快適であることは間違いなく、2人用で1560gは軽量性の面でも秀でている。壁が垂直に立ち上がったボックス型の構造ゆえに、強風時はステラリッジのほうが安心だろうが、とくに弱いようには感じられない。ルナドームはこれからの山中での新しい選択肢のひとつになりそうだ。現在は2人用タイプしか展開されていないが、今後は1人用や3人用も開発されることを期待している。

 

今回登った山
仙ノ倉山
新潟県 群馬県
標高2,026m

関連する登山記録はこちら
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テント用品
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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