今年一年の安全登山を願って里山ハイキング。武蔵越生七福神めぐりで出会った「オクムサ・マルシェ」

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2020年の歩き初めは、既に行っただろうか? 冬はどうしても山から足が遠のいてしまい、今年の登山はこれからという方も少なくないだろう。今回の「下山メシのよろこび」は、冬は登山をお休みという方にもおすすめな、市内のお寺を巡りながらの里山歩きへ。 今年一年の安全登山を願い、地元食材をいかした薬膳ごはんをいただく。

町内7つの寺に祀られている七福神をめぐる自然豊かなハイキングコース

 

2020年の歩き初めで越生へ。七福神めぐりハイキングを楽しんできた。市内のお寺をめぐりながら歩く約13kmのコースがあるのだ。きんと冷えた空気のなか、奥武蔵の低山を眺めながらの里山歩きは気持ちがいい。

越生駅から歩き始め、5つ目のお寺、円通寺で参拝をしたところでお昼前。ちょうどいい感じにお腹がすいてきた。

福禄寿を祀る「最勝寺」/コースを歩くなら、ぜひ集めたい、武蔵越生七福神めぐりの御朱印

 

円通寺の先からあじさい街道に入り、少し進んだところに建つしゃれたたたずまいの店が「オクムサ・マルシェ」。奥武蔵の地元食材が味わえる、薬膳ごはんと喫茶の店だ。店内は木のぬくもりが心地よいモダンな内装で、大きなガラス窓から陽光がやわらかく差し込んでいる。

麦原入口のバス停からあじさい山公園に向かうあじさい街道に建つ「オクムサ・マルシェ」

何を食べようか。疲労回復や胃腸にやさしい食材を加えた薬膳カレーが名物、でも自家製のくるみペーストでいただく手打ちそばもとても美味しそうだし、スイーツも豊富で気になる。メニューの写真に惹かれて薬膳カレーをオーダーした。窓際の席に座り、ぼんやりと外を見ながらくつろぐ。お店の一角にケーキやらお茶やら、地元の産品の販売スペースもある。

2階では地元の陶芸家さんの展示販売もしていた。毎日の暮らしに使いたくなる、とても魅力的なうつわがたくさん並んでいたけど、今日はこのあともうちょっと(いやだいぶ)歩かなくてはならないので我慢。

木のぬくもりを感じる店内/販売スペースには手作りのお菓子や地元の産品が並ぶ

 

待っている間に料理が出てきた。茹でた野菜が添えられた淡い色合いのカレー、彩りのよい野菜サラダ、香の物。「辛いのがお好きなら足してくださいね」と赤いスパイスが添えられている。

まず一口。やさしい味わいのカレーだ。「薬膳」と称されるメニューの多くは、独特のスパイスの風味が場合によっては苦手に思うことがあるのだが、この薬膳カレーはスパイスより素材のうまみがじんわりと感じられる。ああでもたしかにもう少し辛さが欲しいな…。真っ赤なスパイスをひとさじ加え、カレーに混ぜて一口。…ああ、これはしっかり辛い! もう1さじ入れなくてよかった。辛さとうまみのバランスが絶妙になった。身体がじわっと温まる。

人気メニューのひとつ「季節の薬膳カレー」。サラダ、小鉢付きで950円 ※2020年1月現在

とれたて野菜のサラダもそれぞれの素材が瑞々しく、噛み締めるとしっかり野菜の味がする。大根とゆずの甘酢漬けもほどよい甘みでよい箸休め。

 

食後にコーヒーをオーダー。素朴な木のソーサーとともにシンプルな器で供されたコーヒーは、すっきりとした風味。食後にケーキが味わいたくなったけど、まだ先が長いので今日は我慢。

ランチタイムに訪れてもいいけど、ケーキとドリンクでゆっくりティータイムを過ごすのもきっと心地よい。まもなく越生は梅林の季節になる。梅が満開の時期に散策を楽しんで、最後にここでのんびりしよう。自家製のチーズケーキやプリンがおいしそうだった。外秩父産地の山々をイメージして作られたという奥武蔵ロールケーキにも惹かれるな…。梅の季節が待ち遠しい。


オクムサ・マルシェ

奥武蔵の豊かな自然に囲まれたロケーションの中、地元食材をいかした薬膳ごはんや喫茶メニューが味わえる。店内で地元産の食料品も販売。2階のギャラリーでは地元の工芸品などの展示販売も。

住所:埼玉県入間郡越生町小杉756
電話:080-9973-5457
HP:https://okumusamarche.com


モデルコース:武蔵越生七福神めぐり

行程:
越生駅・・・法恩寺(恵比寿)・・・正法寺(大黒天)・・・弘法山(弁財天)・・・最勝寺(福禄寿)・・・円通寺(寿老人)・・・龍穏寺(毘沙門天)・・・全洞院(布袋尊)・・・黒山バス停

⇒武蔵越生周辺のコースタイム付き登山地図

*モデルコースは越生駅をスタートとしたもの。黒山バス停から越生駅までは、バスを利用

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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