人気の「冬期の八ヶ岳連峰」、危険性もしっかり把握しておこう 島崎三歩の「山岳通信」 第179号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年2月19日に配信された第179号では、八ヶ岳連峰での遭難事故が続発していることに触れ、改めて冬期の八ヶ岳周辺の山の注意点について言及している。

 

2月20日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第179号では、2月10日~16日に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 2月10日、八ヶ岳連峰赤岳で、仲間と5人で入山した53歳の男性が、赤岳の山頂付近で疲労及び体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。男性は山小屋職員により救助された。

  • 2月11日、浅間連峰黒斑山で、単独で入山した61歳の男性が、黒斑山から下山中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。男性は小諸署山岳高原パトロール隊及び浅間連峰山岳遭難防止対策協会救助隊により救助された。

  • 2月14日、八ヶ岳連峰阿弥陀岳で、家族と2人で入山した51歳の男性が、摩利支天沢をアイスクライミング中に滑落して負傷する山岳遭難が発生。男性は静岡県警ヘリで救助された。

  • 2月15日、飯山市鍋倉山で、仲間とバックカントリーをスキーで滑走していた78歳の男性が、滑走中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

鍋倉山でのバックカントリー中の遭難事故現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)2月18日付

  • 2月15日、北アルプス八方尾根で、ガイドらとバックカントリーをスキーで滑走していた43歳の男性が、滑走中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

  • 2月16日、八ヶ岳連峰赤岳で、仲間と2人で入山していた60歳の男性が、地蔵尾根を下山中に転倒して滑落、負傷する山岳遭難が発生。男性は茅野警察署山岳遭難救助隊及び諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊により救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

2月第3週は6件の遭難が発生しました。うち3件は八ヶ岳で発生しています。冬季の八ヶ岳連峰は、営業している山小屋があることや、麓からアクセスが良いことなどから、登山者に人気がありますが、冬期間は非常に気温が低く、また、西から常に強風が吹き付ける山域です。このため、稜線での低体温症による行動不能、歩行中及びクライミング中の転滑落などの遭難が毎年多発しています。過去には降雪直後に度々、大規模な雪崩が発生し、多数の登山者が死傷しています。
予定しているコースや山域にどのような危険があるのか、過去にどんな遭難が発生しているのか、これらをしっかりと下調べをして必要な準備を整えてから入山しましょう。また、先週はスキー場内の非圧雪エリア等でも2件の死亡事故が発生しています。スキー場内の滑走も十分注意をしましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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