冬の八ヶ岳登山の危険性をしっかりと認識して慎重な判断と行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第180号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年3月3日に配信された第180号では、引き続き八ヶ岳連峰での遭難事故が多いことについて言及し、気象や自然環境を十分に認識しておくことの大切さを説明している。

 

3月3日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第180号では、2月17日~24日に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 2月17日、八ヶ岳連峰赤岳で、仲間と2人で入山した47歳の女性が、北沢を登山中に足を滑らせて転倒・滑落して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。女性は茅野警察署山岳遭難救助隊、諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊、諏訪広域消防本部救助隊により救助された。

  • 2月19日、下高井郡毛無山で、34歳および35歳の女性2人がスキー場外/バックカントリーを滑走中に、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。女性2人は県警ヘリで救助された。

下高井郡毛無山の遭難現場の様子/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)2月25日付

  • 2月20日、北アルプス八方尾根で、仲間7人とスキー場外/バックカントリーをスキー滑走をしていた29歳の男性が、滑走中に転倒して負傷する山岳遭難が発生。男性は大町警察署山岳遭難救助隊により救助された。

  • 2月22日、八ヶ岳連峰阿弥陀岳で、仲間と2人とアイスクライミングのために入山した59歳の男性が、クライミング中にバランスを崩して滑落し、負傷する山岳遭難が発生。男性は茅野警察署山岳遭難救助隊、諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊により救助された。

  • 2月22日、北アルプス栂池高原で、夫婦で入山した46歳の男性と36歳の女性が、バックカントリーを滑走中に沢へ転落して行動不能となる山岳遭難が発生。2人は大町警察署山岳遭難救助隊、北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会小谷班救助隊により救助された。

  • 2月24日、八ヶ岳連峰天狗岳で、単独で入山した53歳の女性が、唐沢鉱泉から天狗岳へ向けて登山中に行方がわからなくなる山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊および県警ヘリで捜索した結果、25日に女性を発見し県警ヘリで収容したものの、死亡が確認された。

  • 2月24日、八ヶ岳連峰赤岳で、28歳の女性が宿泊中の山小屋で体調不良を訴え、行動不能となる山岳遭難が発生。女性は県警ヘリにより救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

2月第4週は7件の遭難が発生しました。7件中4件は八ヶ岳連峰で発生し、今シーズン、既に八ヶ岳では9件の遭難が発生しています。アイスクライミング中の転落が3件、登山中の転倒・滑落が3件発生し、週末には単独の女性登山者が死亡となっています。
冬季の八ヶ岳は強風と寒冷な環境で知られていますが、特に日本付近を低気圧が通過し、冬型の気圧配置となった場合は、晴れていても稜線付近は強烈な風が吹き荒れます。このような条件の中で行動すると、低体温症による行動不能や視界不良による道迷いの危険性が非常に高くなります。また、稜線に限らず、樹林帯の中の登山道も至る所が凍結しているため、常に転倒、滑落の危険性があります。
これから登山を予定されている方は、冬の八ヶ岳登山の危険性をしっかりと認識して、慎重な判断と行動をお願いします。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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