初級者から中級者向け。レベル別、春におすすめの関西周辺の山

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好日山荘おとな女子登山部によるリレー連載の11回目。今回は、生まれも育ちも兵庫県という本社勤務のあややさんが、初級者から中級者の登山者に向けて、春におすすめの関西周辺から行ける山を5つ、紹介してもらいました。春になったら出掛けたい、四国や三重の山もありますので、ぜひご覧ください!

 

 

みなさん、こんにちは。好日山荘おとな女子登山部のあややです。

三寒四温で日に日に暖かくなってくると、寒くて少し縮こまっていた「山へ行きたい気持ち」が、またむくむくと湧きあがってきますね。春は何かを始めるのにピッタリな季節です。

さて、この記事を読んで下さっているみなさんも「今年は登山を始めたいな」と計画(もしくは妄想)されている方も多いと思いますが、いざとなるとどこへ行けばいいのか分からない方も多いと思います。

生まれも育ちもカツシカシバマタ・・・ではなく、生まれも育ちも兵庫県の私は、東海・関東の山仲間に「アルプスが近くていいよ~」と聞くことも多く、羨ましいと思うこともあるのですが、実は「関西もアルプスに負けないくらい面白い山がいっぱいあるねん」、と心の中で思っていたりもします。

数や高さではアルプスに叶いませんが、関西にも少ないながら素敵な山がたくさんあるんです。

何といっても一番のセールスポイントは、「駅からすぐの山が他の地域に比べて多いこと」です(※注 自分調べ)。特に私鉄と組み合わせた登山イベントも多く、登山に対して比較的ハードルが低いように思います。古都、京都と奈良も日帰り圏内ですし、九州や四国にもアクセスが良いです。

九州は下山後に温泉が楽しめる場所が多いですし、四国は中国地方を周回しながら観光して帰ることもできます。つまり、登山も楽しみつつ、他の遊びも堪能できるという、欲張りなおとな女子のみなさんにはぴったりなのです。

ただ、ひとつ残念なのは、ネットや雑誌の情報が関東地方に比べて少ないことです。

ということで、前置きが長くなりましたが、私が実際に出掛けた「関西のおすすめ5座」をご紹介したいと思います。

レベルは、初級者~中級者向け。春から秋にかけて出掛けられる場所で、公共交通機関を使ってアクセスできる場所を集めてみました(一部、マイカーの方が便利なところもあります)。

関西圏以外のみなさんも、参考にしていただけると嬉しいです。

 

1. これぞ関西のアルプス⁉ 兵庫県・加西アルプス(レベル★☆☆)

兵庫県・加西市にある善防山(ぜんぼうやま)~笠松山(かさまつやま)は、通称「加西(かさい)アルプス」と呼ばれています。

全国には「○○アルプス」と名の付く場所がたくさんありますが、ここはまさにアルプスの名にふさわしい場所です。

少し登るだけでも素晴らしい景色が広がります


ルートは北条鉄道・法華口駅~善防山~笠松山~北条鉄道・播磨下里駅までの約8.5km。岩尾根や鎖場、吊り橋などがあり、標高は250m程度ながら変化に富んだ山歩きが楽しめます。

おすすめしたいのは一両編成の北条鉄道を使用してのアクセス。のんびり田舎の風景を眺めながらの山旅は、本当に癒されます。登山口最寄駅の法華口駅舎内で「モン・ファボリ」さんの米粉を使ったパンを行動食として購入すれば準備は完ぺき。

特に梅雨に入るまでの春と紅葉の美しい秋にお出掛けいただくのがおすすめです。

アルプスさながらの起伏が続き、登り応え十分!!

 

2. 展望を存分に楽しめる 兵庫県・高御位山(たかみくらやま)(レベル★☆☆)

そもそも何て読むの? と突っ込みたくなる名前の、兵庫県・高砂市にある「高御位山(たかみくらやま)」。いくつもの細かいアップダウンを繰り返すので、本格的な夏山に向けての練習や地形の把握にもってこいで、おとな女子登山部でも読図ツアーで訪れたこともあります。

JR曽根駅からバスに乗り、鹿島神社前で下車。スタート&ゴール地点の鹿島神社では御朱印を頂くこともできますので集めている方は御朱印帳を忘れずに持参しましょう。

名物の百閒岩を登ります。雨の日は滑りやすいので注意!!


一枚岩の百閒岩が有名で、低山ながら壮大な岩場のスケール感と高度感を楽しむことができます。

鷹ノ巣山を経て、展望を楽しみながらの尾根歩きを経て山頂へ。天気が良ければ淡路島や明石海峡を一望できる大パノラマが広がります。日の出・日の入りスポットでもあるので、瀬戸内海と太陽のコラボレーションを狙って登るのも良いでしょう。

余談ですが、岩場が多くクライミングも楽しめるようで、初めて訪れた際、断崖絶壁の岩からクライマーの方が急ににょきっと登場した時はとても驚きました(笑)

ぐるりと一周全長7kmですが、途中でコースカットもできるので、無理のない範囲で歩いてみましょう。

思わず叫んでみたくなるような圧巻の景色

 

3. 映画のロケ地としても有名! 兵庫県・書写山(しょしゃざん)(レベル★☆☆)

「西の比叡山」として有名な、姫路市にある書寫山圓教寺(しょしゃざんえんぎょうじ)。西国三十三所にも数えられ、『ラスト・サムライ』など、数々の有名映画のロケ地となっています。

真っ白な姫路城は展望台からギリギリ確認できます


JR姫路駅から直通バスが出ていて、アクセスも上々。今回ご紹介するのは書写駅からすぐの東口登山口からのルートです。非常に整備されていて、直登できる道と階段状になった道があるので、気分によって選んで歩くことができます。

駅からロープウェイ山頂駅前までの歩行時間は約1時間とお手軽に挑戦できますし、いざとなればロープウェイもあるのでファミリーにもおすすめです。

圓教寺では歴史的価値が高いたくさんの院やお堂を拝観したり、ゆっくりランチを食べたり・・・。座禅体験や写経に挑戦しても良いと思います。

※圓教寺へは志納金500円の支払いが必要です

特に紅葉の季節がおすすめで、毎年紅葉祭りも開かれています

 

4. 「関西の秘境」 三重県・大杉渓谷(レベル★★★)

百名山である奈良県と三重県の県境にある大台ヶ原(日出ヶ岳/おおだいがはら、ひのでがたけ)は有名ですが、その東側にあるのが「関西の秘境」と呼ばれている大杉渓谷(おおすぎけいこく)です。富山の黒部峡谷、新潟の清津峡と並ぶ、「日本三大峡谷」のひとつで、登山の要素もありつつ滝巡りもできるという、2度美味しい場所です。日帰りから2泊3日まで、時間や体力に合わせてコース取りができます。

見所のひとつ、獅子ヶ淵


秘境と呼ばれるだけあって少しアクセスが悪く、大阪発で朝から出発しても、歩き始めがお昼頃になってしまいます。そこで、前泊ありの1泊2日・大杉渓谷満喫コース(大杉渓谷~日出ヶ岳縦走)がおすすめです。

前日は、登山口の近くにある施設「奥伊勢フォレストピア 宮川山荘」に宿泊します。宿泊すると登山口まで送迎してもらえるので、時間の無駄がなく、朝イチからのスタートが可能になります。

見所の「獅子ヶ淵」でマイナスイオンを浴びながらランチを食べ、山中の「桃の木山の家」を目指します。「桃の木山の家」は、美味しいごはんと清潔な館内、おまけにお風呂まで入ることができるので、女性ウケ抜群の山の宿です。

足元に注意が必要な峡谷沿いを歩くと、所々にチャレンジポイントが出てきますが、その分歩き終えた後は達成感があります。1日のコースタイムが長めでハードですが、無事歩き切ることができれば確実にステップアップに繋がります♪

桃の木山の家はおばあちゃん家みたいでほっこりします。

 

5. 四国代表 愛媛県・東赤石山(レベル★★☆)

少し遠出したいなら、四国の山はいかがでしょうか? 百名山で有名な石鎚山と剣山以外にも素敵な山がたくさんあるんです。

愛媛県の東赤石山(ひがしあかいしやま)は、あまり人がいない場所なので、静かな山登りをしたい方、岩場が好きな方はきっと気に入っていただけると思います。日帰りも可能ですが、小屋泊もできます(要事前予約。時期により無人小屋となります)。

今回は筏津登山口から入山し、左回りで西側にある西赤石山まで縦走する1泊2日のコースをご紹介します。

蛇紋岩地形の岩場の連続。岩場好きにはたまりません


1日目は宿泊場所の赤石山荘を目指して約3時間、川の渡渉を繰り返します。いくつか崩落しかけている橋がありますので注意しましょう。

2日目は全身を使って十二分に岩場を堪能します。迷路を意識して敢えて標識を少なくしているそうなので、現在地をしっかり把握しながら進みます。

私が出掛けたのは紅葉の時期ですが、高山植物の宝庫で種類は四国随一なので、お花を楽しみたい方は春がおすすめです。ゴールの別子銅山跡近辺(日浦登山口)は観光客も来るので、標識や案内板、ベンチ、お手洗いがかなり整備されています。

筏津登山口~日浦登山口間は約5キロの車道があり、バスがほとんどありませんのでマイカー2台でアクセスするのが一番便利です。

どこまでも続く紅葉のグラデーション。美しい景色は万人の心を打つ魅力があります


※編集部注:赤石山荘は、民営の山小屋だったが、小屋主の高齢化のため2019年11月末で営業を終了している。地元の自治体と、山岳会、有志等で小屋の存続について協議中。周辺山域では西側に銅山峰ヒュッテがあるので、そちらの山小屋を利用して逆方向に縦走するプランも考えられる。いずれも山小屋の利用を検討している場合は、地元自治体などに営業状況を必ず問い合わせすること

 

*****

いかがでしたでしょうか?

関西には、一度では紹介しきれないくらい、魅力的な山がたくさんあります。

私自身もまだまだ知らない場所がたくさんあるので、「おとな女子登山部」のツアーに同行させていただく際などに、お客様のお気に入りの山を教えていただいて、行ってみたいな~と思うこともあります。まだまだ探究心は尽きません。

ツアーでは、初めは知らない間柄であっても、山という共通の話題で自然と会話が弾み、いつの間にか友だちになっていたりするのも嬉しいですよね。登山って本当に凄いパワーを持ってます!!

機会があれば、季節を変えて、ほかの地域の山も含めて、ご紹介したいと思います。

 

注意: 本記事で紹介した山の情報は、2020年3月時点のものです。実際に山行を計画される際には、最新情報をよく確認してからお出掛けください。

好日山荘おとな女子登山部からのお知らせ

「今年こそ登山を始めたいな」という方に向け、「おとな女子登山部」では様々なイベントやツアーを予定しています。現在、2020年度の新規部員様も募集中です。ご興味がある方はぜひご覧ください。

http://www.kojitusanso.jp/otonajoshi/join/

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プロフィール

あやや(好日山荘おとな女子登山部)

兵庫県生まれ。山ガールブームの波に乗り、好日山荘への転職をきっかけに山にはまる。岩場や鎖場などスリリングな場所が好きだが、最近はのんびり登山も楽しんでいる。2020年は3回も東北に遠征するなど大の東北好き。どちらかと言うと山ごはんより山スイーツを作るのが得意。
現在、好日山荘・広報室に所属。女性目線で様々な企画の立案や情報発信を行っている。
⇒おとな女子登山部メンバーはこちら

好日山荘 センタープラザ神戸本店

ハイキングから本格登山までさまざまな登山スタイルに対応するアイテムを取り揃える登山用品店。

所在地/兵庫県神戸市中央区三ノ宮町1丁目9-1
TEL/ 078-335-8166
営業時間/時短営業中につき好日山荘のWebサイトを参照
アクセス/JR、阪急・阪神・地下鉄・ポートライナー「三ノ宮」駅より徒歩約5分
http://www.kojitusanso.jp/shop/kinki/kobe/

好日山荘おとな女子登山部 リレー連載

登山用品専門店の好日山荘で、2013年より女性スタッフ有志により立ち上がった「おとな女子登山部」。 「自分たちが山を真剣に楽しみ、次の山に挑戦すること」「お客様にもっと山を好きになってもらうこと」を目標に、ブログでの発信や登山イベントなどを行っている。 その活動の様子と女子目線での登山感を伝えていく。

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