新潟県・弥彦山で早春の花のトレッキングを楽しむ

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雪解けとともに春を知らせる雪割草(オオミスミソウ)。同じ新潟県内の角田山が自生地として有名ですが、弥彦山塊に連なる弥彦山もまた、早春の花が咲き誇る花の回廊を楽しめる名山です。

 

陽光をもとめて雪割草(オオミスミソウ)とカタクリが競い合うかのように咲き誇る(写真=奥谷 晶)

 

2016年3月31日、晴れ。新潟県越後平野の日本海側に連なる弥彦山塊の主峰、弥彦山(634m)に登ってきました。弥彦山は低山ながら立派な山容を誇り、古くから信仰の山として知られ、登山道は弥彦神社の参道でもあります。雪解け後から可憐な花を咲かせる雪割草やカタクリなどの春の妖精たちに出会う山旅へ向かいました。

 

モデルコース:裏参道登山口~弥彦山~妻戸尾根~雨乞尾根~裏参道登山口

行程:
【日帰り】裏参道登山口・・・能登見平・・・弥彦山・・・妻戸山・・・妻戸尾根・・・八枚沢登山口・・・雨乞尾根・・・裏参道登山口(約4時間30分)

 

雪解け後に開花する春の妖精たちを求めて

裏参道登山口より出発し、能登見平を経て弥彦山に登頂後、妻戸尾根を八枚沢登山口まで下り、雨乞尾根を登り返して裏参道登山口へ戻るコースを歩きました。「フラワーロード」とも「花のトレイル」とも呼ばれるように、春を告げる花たちが満載の花の回廊です。

セリバオウレンがひっそりと息づき、「雪割草」と呼ばれるオオミスミソウの群落が白く、ときには青紫やピンクの変異種も交え、あちこちで開花しています。さらに、カタクリがこれからは自らが主役だとばかり一斉に開花をはじめ、キクザキイチゲもその存在を主張していました。

 

雪割草(オオミスミソウ)は白花が主流だったが、花が青紫やピンクの変異種も目立っていた(写真=奥谷 晶)

 

春一番を知らせる様にかがやくオウレンの群落(写真=奥谷 晶)*2020年3月13日追記:当初「セリバオウレン」としていましたが、「キクバオウレン」が多く分布し、写真での同定が困難なため、「オウレン」に訂正いたしました。

 

頂上の弥彦神社御神廟に向かうと、北側の斜面には残雪が薄く残っていましたが、登山道上には頂上付近でわずかばかり残っていたのみでした。頂上からの帰路は日本海を眺めながらの爽快なハイキングとなり、晴れて、汗ばむような陽気となりました。

 

弥彦山山頂と電波塔(写真=奥谷 晶)

 

妻戸尾根や登り返しの雨乞尾根では登山道の両脇を埋め尽くすようなカタクリの群生も各所でみられ、花を満喫できた快適な登山となりました。

 

登山道の両脇にはカタクリの群生が随所に見られた(写真=奥谷 晶)

 

暖冬の今年はすでに雪もほとんどなく、カタクリも咲き始めているようです。

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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