丹沢西部のお手軽な山・大野山から撮る! 山頂の桜と富士山。絶景富士山撮影エピソード第3弾!

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「山の上から富士山を撮る」をライフワークに、低山を中心に精力的に撮影を続ける渡邊明博さん。『富士山絶景 撮影登山ガイド』の中から、選りすぐりの旬な「富士見の山」を紹介いただく、小連載も今回が最終回。丹沢の西部に位置する大野山では、山頂の桜と富士山の絶景が見られるようです。

 

サクラ前線が北上し始めると、気になるのが「関東の富士見100景」にも選ばれている大野山山頂で咲き誇るオオシマザクラです。

しかしサクラの満開判断は難しく、しかも青空が重ならなければ絵にはなりません。

今回紹介する作品は、3月31日に一度入山し撮影を試みたものの、桜がまだまだ蕾だったので、4月の中旬(4月13日)に再チャレンジして出逢えた作品です。大空に向かって広げた枝ぶりのサクラは見事で、その美しさを表現できたと自負しています。

最寄り駅の山北駅周辺は、サクラの名所として知名度が高く、カメラ雑誌や鉄道雑誌にもよく掲載されている撮影スポットです。しかし、地元のどの広報関係担当者に問い合わせても、駅前の「山北の桜祭り」が終わると、桜の撮影シーズンは過ぎた、ということになってしまうのです。


山頂標識と富士山


ただし、大野山の山頂は違います。麓の桜シーズンが終わりでも、山頂で満開なのは、それはひとえに標高差にあります。標高723mの山頂直下までは、すでに「葉桜状態」だったが、山頂は「9分咲き」だったのです。花びら1つ落ちてないという点では、「満開」というより「9分咲き」は、ベストなタイミングでした。

こんな条件に出逢うための手っ取り早い方法は、インターネット上にある登山者が投稿した「登山記録」などを駆使して、その中から開花タイミングを読み取ることです。撮影に限って言えば、まず、第一に開花期を判断すること。第二に天候判断をすることで、これが重要な要素です。もちろん、マンネリを排するための撮影スキルは必要です。この2つが伴ってこそ秀作が撮れるのです。


山頂付近には牧草地が広がる。向こうに箱根の山々を望む


なお、山頂付近は牧場になっていて、草原にのんびり寝そべったり、お弁当を広げたりできるのも、大野山の魅力と言えるでしょう。山頂までもいくつも桜の木があるので、仮に山頂の桜に早かった、という場合でも山中で、必ず開花・満開のサクラと出会えるでしょう。

今年は全体的にサクラの開花が早そうです。麓と山上のタイムラグを予想して、お花見気分で歩いてみてはいかがでしょうか。


大野山は、山頂直下まで車で行くこともできる。写真は山頂直下の駐車場

【編集部から】 渡邊明博さんの絶景富士山の写真を集めた写真展が、3月25日から4月6日まで、大阪の「リコーイメージングスクエア大阪」で開催されます。詳しくは下記をご確認ください。

 

山データ
大野山
神奈川県
標高723m

早春から晩秋まで、お手軽にハイキングできる大野山。山頂付近は牧草地で解放感抜群。もちろん富士山展望の山だ。
⇒山の概要やコースタイムなどはこちらでチェック!

 

渡邉明博さんの写真展開催!

渡邉明博さんの富士山絶景作品を集めた写真展「絶景の富士山に逢いたくて」は、1月6日から20日まで東京で、3月25日から4月6日までは大阪で、開催されます。大きく引き伸ばされた富士山の絶景写真を、ぜひ写真展で生で見て、体感してください。34作品すべてが「全倍」以上、大きいもので2~3mに引き伸ばし、迫力の作品たちです。

開催概要

<東京>
会期:2020年1月6日(月)~20日(月) ※終了
会場:リコーイメージングスクエア新宿 ギャラリーⅠ&Ⅱ
東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービルMB(中地下1階)
時間:10:30~18:30(最終日は16:00まで)

<大阪>
会期:2020年3月25日(水)~4月6日(月) ※火曜休館
会場:リコーイメージングスクエア大阪 ギャラリー
大阪市中央区大手町1-7-31 OMMビル1階
時間:10:30~18:30(最終日は16:00まで)

※入場無料/コロナウィルスの対策として、来場の際はマスクの着用を

詳細: http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/community/

※3月28日より臨時休館となりました。詳しくはリコーイメージングスクエアのウェブサイトで

渡邉明博さんの著書『富士山絶景 撮影登山ガイド』発売中!

渡邊さんが徹底的に調査し、絶景の瞬間を予測。ダイヤモンド富士、パール富士だけじゃない、低山からとらえた富士山絶景で「こんな山でこんな富士山が見えるのか!」と、ページをめくるたびに圧倒される51の富士山絶景作品と、撮影した51山の紹介を掲載した『富士山絶景 撮影登山ガイド』が発売中です。アプリやウェブサイトを使った事前調査の仕方、絶景作品の撮り方、撮影データなども掲載しています。

『富士山絶景 撮影登山ガイド』

著者:渡邉明博
発売日:2019年06月17日
価格:本体価格1,800円(税別)
体裁:A5判224ページ
ISBNコード:9784635530699
詳細URL: http://www.yamakei.co.jp/products/2819530690.html

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プロフィール

渡邉 明博

1957年、東京都生まれ。中学時代に写真を始め、1976年から商業カメラマンとして写真を仕事とする傍ら、「山上から富士山を撮る」をテーマに山岳写真家としても確立。「低山フォトグラファー」として中央線沿線の低山にくまなく通い四季折々の風景を撮影。のべ150日に渡る実踏取材を元に『高尾山と中央線沿線の山』(山と溪谷社)を2016年に上梓。白籏史朗賞日本山岳写真コンテスト入選ほか受賞歴多数。山岳写真ASA会長。(写真=水谷和政)

山の上から富士山の絶景を楽しむ! 富士山絶景撮影エピソード

関東や東海地方の登山者にとっては「山の上から富士山を見る」というのも、登山のテーマのひとつです。『富士山絶景 撮影登山ガイド』を上梓した低山フォトグラファーの渡邉明博さんが、撮影のエピソードについて紹介。

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