BCでは滑る楽しさ以上に自分自身や仲間の安全対策に注視を 島崎三歩の「山岳通信」 第182号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年3月18日に配信された第182号では、引き続きバックカントリーでの事故が多発していることについて触れ、慎重な安全確認を呼びかけている。

 

3月18日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第182号では、3月9日~15日に起きた5件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 3月9日、東筑摩郡筑北村の大林山で、単独で入山した64歳の男性が、山頂から下山中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。男性は翌日10日に安曇野警察署員により救助された。

  • 3月12日、北アルプス栂池高原で、仲間と2人でバックカントリーに入った31歳の女性が、スキー滑走中に転倒・負傷する山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助された。

  • 3月13日、北アルプス焼岳で、単独入山した34歳の男性が、下山中にバランスを崩して滑落・負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

  • 3月15日、北アルプス栂池高原で、仲間と3人でバックカントリーに入った53歳の男性が、スキー滑走中に雪崩に巻き込まれ、負傷する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

北アルプス栂池高原の雪崩遭難現場の様子/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)3月16日付
 
  • 3月15日、北アルプス乗鞍岳で、単独でバックカントリーに入った45歳の男性が、位ヶ原付近で道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。男性は翌日の16日に松本警察署山岳遭難救助隊及び北アルプス南部地区山岳遭難防止対策協会救助隊により救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

3月1週は0件、2週は5件の遭難が発生し、北アルプスでバックカントリー中の遭難が3件発生しました。
3月15日に発生した栂池高原の雪崩遭難は仲間と滑走中に男性が雪崩に巻き込まれ、自力で脱出はしましたが、足首の骨折により行動不能となり救助されたものです。今シーズンは雪崩による遭難が既に4件発生し、4名が死傷(死者1名負傷3名)しています。
これから春に向けて標高の高い山域でも日中の寒暖差がますます大きくなり、それに伴い積雪が不安定になる傾向にあります。ビーコン、エアバック等の雪崩対策装備の携行はもちろんのこと、入山前の天候状況や当日の積雪状態の確認は、誰もが心がけていなければならないことです。
滑る楽しさばかりに気をとらわれて大切なことを見落とさないように、今一度、自分自身や仲間の安全対策を見直しましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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