3月後半でも北アルプスは冬山、まとまった降雪や強風となることも 島崎三歩の「山岳通信」 第183号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年3月26日に配信された第183号では、低気圧の影響を受けて降雪・強風があった気象状況について触れ、冬山のリスクについて改めて認識して慎重な行動をするよう呼びかけている。

 

3月26日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第183号では、3月15日~21日に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 3月15日、八ヶ岳連峰赤岳で、単独で入山した59歳の男性が、下山中に新雪に足を取られて転倒し、負傷する山岳遭難が発生。男性は16日に救助要請、茅野警察署山岳遭難救助隊及び諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊により救助された。

  • 3月17日、北アルプス唐松岳で、2人で入山した44歳の男性と41歳の男性が、テント泊中に強風でテントごと風に飛ばされ、行動できなくなる山岳遭難が発生。県警山岳遭難救助隊、北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会白馬班救助隊が救助活動して、18日に44歳男性を県警ヘリで救助。一方、41歳男性は19日に県警ヘリで救助されて病院に搬送されたものの、死亡が確認された。

  • 3月19日、八ヶ岳連峰赤岳で、仲間と2人で入山した52歳の男性が、下山中に滑落する山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助されて病院に搬送されたものの、死亡が確認された。

  • 3月20日、北アルプス栂池高原で、仲間と2人でバックカントリーを滑走していた40歳の男性2名が、滑走中に道に迷い何らかの原因で動けなくなる山岳遭難が発生。翌21日に県警ヘリ、大町警察署山岳遭難救助隊、北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会隊員で捜索して、2名とも県警ヘリで救助。1名は無事だったものの、もう1名は搬送先の病院で死亡が確認された。

  • 3月21日、北アルプス鹿島槍ヶ岳で、仲間と3人で入山した56歳の男性が、鹿島槍ヶ岳東尾根を下山中に滑落し負傷する山岳遭難が発生。大町警察署山岳遭難救助隊及び、北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会救助隊が、翌22日から捜索を行っている。

北アルプス・鹿島槍ヶ岳の山岳遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)3月23日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

3月3週は6件の遭難が発生し、3名の方が亡くなっています。長野県内は、低気圧の影響を受け、まとまった降雪や強風がありました。今一度、天候やルートの状況、装備品の確認を行い、無理のない計画と行動をしましょう。
八ヶ岳連峰と鹿島槍ヶ岳の3件の遭難は、いずれも下山中に発生しています。新雪や日中の寒暖差により、積雪の状態が不安定になっていることから、ピッケル操法やアイゼン歩行は慎重に行いましょう。
唐松岳では、強風によりテントごと飛ばされ、行動不能となり、1名が死亡する遭難が発生しました。冬季の後立山連峰は、日本海側から強烈な風が吹き荒れます。このような条件の中で行動すると、低体温症による行動不能や視界不良による道迷いのリスクが非常に高くなります。入山する際には天気予報を確認するほか、気象条件により山域やルート上に、どのようなリスクがあるのか確認をしておきましょう。
栂池高原では、バックカントリー滑走中にルートを見失い、行動不能となり、1名が死亡する遭難が発生しました。バックカントリーエリアに出る際には、事前にルートの入念な下調べを行うとともに、滑走中も地図やGPSにより、自分の現在地を確認しましょう。

 

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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