松本平の西に連なるのが常念山脈。南北に続く穏やかな起伏の少ない稜線の中で、ひときわ目をひくピラミッド型の山が常念岳である。平行して山麓を走る大糸線の車窓からもよく眺められる。南へ延びる稜線で蝶ヶ岳に、北に下れば常念小屋の建つ常念乗越を経て横通岳に続いている。山脈の西には梓川の谷を隔てて槍・穂高連峰が平行して連なっている。
常念岳頂上から東に前常念岳(2662m)へ尾根が延び、常念乗越の東側には安曇野からの登山道がついている一ノ沢、西には小黒部とか不帰ノ谷と呼ばれる一ノ俣谷(現在は通行禁止)がある。
この頂上辺りから北は花崗岩、南は不変成古生層と分かれ、花崗岩の風化砂礫地を好むコマクサも、常念乗越や横通岳から北に限られている。
「常念」という名にはいくつかの伝説がある。よく知られているのはW・ウエストンの『日本アルプス・登山と探検』第12章に書かれている話だ。この山の銘木を盗みに入っていた山盗人が野宿していると、夜風に乗って山の上から読経と鐘の音が何時間も聞こえ、恐れおののいた盗人たちは逃げ下ったとか。いつまでも経を唱える坊様、というのが名の由来だとか。ほかに酒を買いに下りてくる山姥の妖異の話などもある。
この山で忘れてはならないのは、山麓の安曇野市に住んでいた高山蝶研究の第一人者で、優れた山岳写真家でもある田淵行男のことだ。彼の高山蝶研究のフィールドがこの常念乗越を中心にした岩礫地帯である。ここでタカネヒカゲが3年がかりで羽化するプロセスを、四季にわたって研究したのである。
田淵は一ノ沢から常念乗越、常念岳、蝶ヶ岳、大滝山を経て徳沢、上高地へとたどるコースでは日本アルプスの高山蝶9種すべてが見られるとしている。昭和34年以前のことで、今では見られなくなったものも多い。
常念岳の北には、乗越を挟んで横通岳がそびえている。その名のとおり中腹を道が横切り、東天井岳に続いている。コマクサの咲く山として知られている。
登山道は一ノ沢コースを利用すれば、豊科からタクシーを使えば終点から約4時間30分で常念乗越、あと1時間20分程度で常念岳頂上に着く。三股コースの場合は、豊科からタクシーで三股へ行き、前常念岳経由で約4時間30分で登り着く。
2023年8月改定(山と溪谷オンライン編集部)
- 山域
- 北アルプス南部
- 都道府県
- 長野県
- 標高
- 2,857m
- 2万5千図
- 穂高岳・槍ヶ岳・信濃小倉
- 更新日
DATA
常念岳のコース
常念岳周辺の天気予報
長野県安曇野市
日付
天気
気温
降水確率
(土)
晴時々曇
20℃
7℃
40%
(日)
晴時々曇
18℃
7℃
40%
(月)
晴
17℃
3℃
10%
(火)
晴のち曇
20℃
-1℃
20%
(水)
曇時々雨
18℃
4℃
60%
(木)
曇時々雨
12℃
7℃
70%
(金)
曇時々晴
17℃
5℃
30%
(土)
曇時々晴
17℃
3℃
40%
(日)
曇
18℃
6℃
40%
(月)
曇
21℃
8℃
40%
岐阜県高山市
日付
天気
気温
降水確率
(土)
晴のち曇
19℃
7℃
40%
(日)
曇時々晴
16℃
6℃
30%
(月)
晴
16℃
2℃
10%
(火)
晴のち曇
19℃
-1℃
20%
(水)
曇時々雨
15℃
4℃
60%
(木)
曇時々雨
11℃
7℃
60%
(金)
曇時々晴
14℃
6℃
30%
(土)
曇時々雨
16℃
3℃
50%
(日)
曇
18℃
6℃
40%
(月)
曇
17℃
7℃
40%
富山県立山町
日付
天気
気温
降水確率
(土)
晴時々雨
19℃
11℃
60%
(日)
雨のち晴
19℃
8℃
80%
(月)
晴時々曇
18℃
5℃
20%
(火)
晴時々曇
17℃
3℃
20%
(水)
曇時々雨
18℃
6℃
70%
(木)
雨時々曇
12℃
8℃
70%
(金)
曇時々晴
16℃
7℃
30%
(土)
晴時々曇
18℃
7℃
40%
(日)
曇時々雨
19℃
7℃
50%
(月)
曇時々雨
19℃
10℃
50%