知床連峰

写真:山梨勝弘  知床五湖から見上げた知床連峰。右から羅臼岳、三ツ峰、サシルイ岳、オッカバケ岳

 北海道の最東北端に位置する知床半島は、根室海峡とオホーツク海を分けるように突き出した半島で、知床の山々はそのまま千島の山を彷彿させる。シレトコはアイヌ語で「地の涯」でその名のとおり日本に残された最後の原始郷だ。
 知床半島の脊梁部は斜里岳を基部に海別岳、遠音別岳(おんねべつだけ)、羅臼岳、硫黄山、知床岳など千島火山帯となっている。昭和39年(1964)に知床国立公園に指定された。エゾマツ、トドマツ、ダケカンバなどほとんど人手の加わらない樹林に覆われ、頂稜部はハイマツの間にエゾツガザクラ、エゾキンバイソウなど高山植物が豊富にある。海岸部は荒海に浸食された断崖絶壁となっており、オホーツク海側は200mも切り立った断崖が続いている。そこは、ヒグマ、オジロワシ、シマフクロウなど大形鳥獣の生息地で、特別保護地域である。
 知床の山は海からの強風が直接吹きつけ、気候も寒冷で森林限界も800m以下だ。それより上部はハイマツ帯で、山間の平坦部には湖沼が点在している。
 登山コースがついているのは斜里岳、羅臼岳、硫黄岳で、そのほかの山に登るには、沢の遡行やヤブこぎを強いられる。積雪期登山の対象として魅力ある山だが、知床特有の強風には特に注意が必要だ。
 知床連峰の登山の開拓は、北大出身の木下弥三吉によるところが大きい。主峰羅臼岳のオホーツク海側の岩尾別温泉に木下小屋があり、登山道の途中には清冽な弥三吉の水場がある。羅臼平には「北大山の会」有志の手でケルンが建立された。碑文に『知床を限りなく愛しこれを友に惜しみなく頒けた木下弥三吉君を記念して』と刻まれている。昭和初期に知床の山々は木下を中心とする、北大山岳部によって登らていった。
 戦後、京都大学では海外登山のトレーニングを兼ね、昭和27年(1952)暮れから厳冬期縦走に挑んだ。苛酷な気象条件のなか知床岬から知床岳、別動班は羅臼岳に登った。翌年には札幌山岳会による羅臼岳から硫黄山の縦走。昭和34年(1959)3月には北海道学芸大学札幌分校の片岡胖による知床岬から海別岳までの単独縦走。昭和37年(1962)北海道学芸大学札幌分校阿岸充穂らによる知床岳から海別岳の縦走。また北大新妻徹らによるサポートなしのラッシュタクティクスで知床岳から羅臼岳の縦走などが特筆されよう。多くの大学の探検部やワンゲル部が、未開の地を求め、少ない資金で容易に行ける夏の知床半島に殺到した。昭和42年7月から8月にかけて渡部由輝らは海別岳から岬までの縦走に成功した。

知床連峰の主要な山

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