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主要山域

八ヶ岳連峰

八ヶ岳連峰

 八ヶ岳連峰は、蓼科、霧ガ峰、美ガ原高原を合わせて1964年に指定された「八ヶ岳中信高原国定公園」の一部を占め、JR中央本線、信越本線、小海線によって囲まれた、南北およそ30km、東西15kmにおよぶ山岳高原地帯で、その主峰は標高2899mの赤岳である。
 南北に長く連なる八ヶ岳連峰は、山容や地域の特性などから、一般に夏沢峠以南を「八ヶ岳」あるいは「南八ヶ岳」、以北を「北八ヶ岳」と呼んでいる。
 山名の由来については諸説があるが、多くの峰々の連なりと理解し、八峰を特定することは避けた方がよさそうだ。
 連峰の生成は、本州中央部を南北に走っているフォッサマグナ(中央構造線)に沿って連続的に噴出した火山が合体したものである、といわれている。最初に噴出したのはおよそ300万年前とされ、以後複雑な噴火活動や隆起、浸食作用を繰り返して、長い間に今日の姿になったと考えられている。
 八ヶ岳連峰の地質は、だいたい輝石安山岩系の溶岩と集塊岩からなっていて、広大な裾野一帯は水成堆積礫層を火山灰が覆っている。
 八ヶ岳登山の歴史は、山名などによって中世の山岳宗教が始まりとみられ、また近代登山は高山植物の研究からスタートしたともいえる。1879年、英人R・W・アトキンソン(東京大学初代化学教師)は、高山植物を求めて本沢温泉から硫黄岳へ登っている。また、1897年には矢澤米三郎が阿弥陀岳から赤岳へ登り、チョウノスケソウを発見、1902~3年には城数馬(じようかずま)、武田久吉、河田黙(しずか)らがツクモグサ、ウルップソウ、ヒメリンドウなどの新種を発見している。このような影響から、八ヶ岳は主に植物学者たちによって広く世に紹介されていった。アザミ、キスミレ、キンポウゲ、タンポポなどヤツガタケをかぶせた名の花々は、八ヶ岳で発見された植物たちである。
 なお、蓼科山にライチョウに似た鳥がすむという古い文献があるが、今日では八ヶ岳にライチョウは生息していないとされている。
 岩稜が起伏する男性的で、アルペン的な南八ヶ岳とは対象的に、北八ヶ岳はその多くがシラビソ、コメツガ、トウヒなどの原生林に覆われ、白駒池、雨池、双子池などを配した静思彷徨といったムードにあふれている。
 山麓には、観音平、天女山、美ノ森、松原湖、八千穂、白樺湖の各高原をはじめ、人工雪を使ったスキー場も急増した。諏訪側には奥蓼科、横谷、蓼科の温泉郷も控えていて、保養地としても多くの人々に愛好されている。
  霜つよし蓮華とひらく八ヶ嶽 前田普羅

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八ヶ岳連峰の主要な山

赤岳

2,899m

横岳

2,830m

阿弥陀岳

2,805m

硫黄岳

2,760m

権現岳

2,715m

天狗岳

2,646m

峰の松目

2,568m

蓼科山

2,531m

編笠山

2,524m

北横岳

2,480m

縞枯山

2,403m

西岳

2,398m