秋田駒ヶ岳
秋田駒ヶ岳は、男女岳(おなめだけ・1637m)、男岳(おだけ・1623m)、女岳(めだけ・1512m)の総称で、十和田八幡平国立公園の南端に位置する、北東北の名峰のひとつである。
春先の山肌に残る駒形の雪が、ふもとの村人の農作業の目安となり、昔から「だけ(岳)」と呼ばれ親しまれてきた。山越えの途中で倒れて死んだ馬にちなむ伝承もあり、駒ヶ岳の名で呼ばれるようになった。
古くからある中生保内からの道は、今はさびれているものの、白滝、金十郎長根、五百羅漢などの名称が残る、かつてのメインコースである。今は8合目(1310m)までバス利用(バス運行日はマイカー乗入禁止)が主流だ。このコースは国見温泉からのコースとともに、多くの登山者で賑わう。冬は田沢湖国際スキー場と田沢湖高原リフトが利用可能。
JR田沢湖駅前から、駒ヶ岳8合目行バスで1時間15分、避難小屋を兼ねた休憩所のある駐車場に着く。ここから1時間30分で男女岳、1時間20分で男岳に至る。女岳への道も2本ほどあるが、足場はよくない。ここから横岳、湯森山、笹森山、駒ヶ岳8合目へと回遊もできる。乳頭山、乳頭温泉郷、岩手側の国見温泉への道も整っている。
避難小屋の裏から乳頭山への縦走コースが始まっていて、男岳と横岳を結ぶ稜線上に出る。この辺りは遅くまで雪渓が残るときがある。稜線上の分岐から東に進むとすぐ横岳だが、ここからは国見温泉への道が分かれている。西側は昭和45年に突然噴火した女岳だが、今は白い水蒸気が立ち昇るだけだ。ここからは火山礫の幅広い尾根を北東に進む。付近はコマクサの群生地で、保護柵が作られている。
砂礫地の中を過ぎると道はハイマツの中を通るようになり、緑一色のジュウタンの上をのんびり登ると、やがて平坦で眺望のよい湯森山に着く。ここから笹森山を経由して乳頭温泉郷、その途中の分岐点から8合目の駐車場への道があるので、エスケープルートとしても活用できる。湯森山からさらに笊森山を通り千沼ガ原の高層湿原を眺めて乳頭山へ至る。千沼ガ原への往復を含め、駒ヶ岳から4時間30分の行程。
なんといっても、ここは高山植物の宝庫である。年々数が減っているコマクサは7月5日~10日ごろが見頃となり、シャクナゲやニッコウキスゲは7月20日すぎに美を競う。ハクサンチドリ、エゾツツジ、ヒナザクラ、イワカガミ、チングルマ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイなど、まさに百花繚乱の趣がある。
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