ブナ原生林で有名になった白神山地の盟主ということで、近年、登山者が特に増加した山である。地元岩崎村（現・西津軽郡深浦町岩崎）では山頂に立派な避難小屋を建設し、また白神登山大会を開催するなど、“村起こし登山”に力を入れている。
　昔、土地のマタギの間で「白神の岳は九里もある」といわれたほど、山頂付近は馬の背状の長く、起伏の緩やかな稜線からなっている。
　登山コースは蟶（まて）山コースと二股コースの2コースだが、登山口は同じである。最近、二股コースは険路であることから利用されなくなり、荒れているという。しかし、二股から下流の白神川沿いの道も含めて、かつての白神信仰の登拝路であり、整備されることが望ましい。
　以前は、JR五能線黒崎駅から歩き始めたものだが、現在では白神平と呼ばれる海岸段丘に村道が延びており、その先にある登山口まで車で入れる。黒崎駅から登山口まで約2km。
　登山道は途中で二手に分かれる。右が二股コースで、左が蟶山コース。登山口から山頂まで健脚で約3時間。ブナの樹海もさることながら、山頂から眺める日本海の入陽がすばらしい。水場は追良瀬川寄りに数分下った沢の源頭にある。できれば避難小屋に1泊したいところだ。