岐阜県本巣市（旧、本巣郡根尾村）、揖斐郡藤橋村と福井県大野市との境界上の山で、濃尾平野の各所から春遅くまで雪を残している姿を望見することができる。石川・福井両県と岐阜県の県境をなしている山地を両白山地というが、北の山地の中心が白山、南の山地の中心がこの能郷白山である。したがって「両白」とは白山と能郷白山のことをいうのである。
　伝承によると養老年間（717～723）に、白山の開祖、僧泰澄によって開かれたとされる。山頂には奥社があり白山権現が祭られている。御旅所は本巣郡根尾村能郷にあって毎年4月13日の例祭には猿楽に近い能が奉納されている。
　登山もまたこの季節がよい。近年は能郷谷の奥まで林道が開設され、さらに歩道が白谷と能郷谷を分ける尾根上を山頂まで開かれたので、季節を問わずに登ることができるようになった。ただし、前山付近は山頂が広く、霧の濃い日には迷わないように注意したい。また最近、東麓の温見峠（ぬくみとうげ）から登山道ができたので、短時間で登下降できるようになったが、急登の連続である。
　山頂はササ原になっているので、展望がすこぶるよい。能郷谷林道車止から約4時間、温見峠から約2時間30分。