| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.03.15
麓は早春でも山はまだ冬。凍結残雪あり軽アイゼン(チェーンスパイク)+滑りにくい防水性のある登山靴で
春~初夏に、登山中に最も多く見かける花と言えば「ツツジ」だろう。花数が多いうえに、花も大振りで存在感がある。一斉に咲くと山の斜面を染める、美しく映える花だ。
ひと口に「ツツジ」と言っても、ツツジにはさまざまな種類がある。「ミツバツツジ」「ヤマツツジ」などのようにツツジの名前がついたものから、「シロヤシオ」「アカヤシオ」「ミヤマキリシマ」のように、花名だけではツツジかどうかわからない種類のものもあるが、これらはすべてツツジの仲間だ。
なお、ツツジの種類や見分け方については、高橋修さんのコラム「ツツジの花の見分け方のポイント」もぜひ、参考にしてほしい。
ツツジは全国各地、山でも街でも見ることが出来る樹木の花だ。街では、サクラの散るころから街路樹や公園の植え込みなどで咲き始める。山のツツジは、早いものは4月中旬頃から咲き始めるが、標高の高い場所で咲くものは6月に見頃を迎えるものもあり、長い期間楽しめる花でもある。
また花の色についても様々で、一般的なピンクのほか、赤色、アカヤシオなどの赤紫の花、シロヤシオのように真っ白の花、オレンジ色のレンゲツツジなど、バラエティに富んでいる。
日光の市街地から気軽に登れる鳴虫山は、日光の山々の展望とアカヤシオのコントラストが美しい山だ。
鳴虫山でアカヤシオが咲くのは4月下旬から5月初旬と早く、まだ日光の山々が雪景色の頃。また、カタクリも同じ時期に咲くので、さまざまな楽しみのある山となる。
また5月中旬にはトウゴクミツバツツジやシロヤシオも咲くので、4月~5月はツツジを常に楽しめる山となる。5月は新緑も吹き出し始め、山全体は一層美しくなる。
高低図
群馬県と栃木県の県境、日光~足尾へ延びる稜線の途中にある袈裟丸山周辺は、アカヤシオの山として有名だ。
とくに花が多いのが小丸山(小袈裟)付近で、5月初旬~中旬頃は、尾根が赤紫色に染まる。
また本コース途中のつつじ平付近は、アカヤシオに加えてシロヤシオ、ヤマツツジ、レンゲツツジも咲き(5~6月初旬)、山全体でツツジを楽しめる。
高低図
奥多摩でツツジが多く咲く場所として知られる場所が、長沢背稜だ。雲取山・芋の木ドッケから東側に伸びる稜線はツツジが多く咲く山域だ。
奥多摩の中では特に奥深い場所なので、訪れる人も比較的少なめで、静かな山旅が楽しめる。ただし歩く距離・時間は長いので、健脚者向けだ。
コース中でツツジが多く咲くのは蕎麦粒山~三ツドッケで、とくに三ツドッケ山頂近くに、シロヤシオとミツバツツジが群生している。また、三ツドッケの北西側にずっと足を伸ばすのもよい。
見頃は5月中旬~下旬となる。
高低図
丹沢山塊は様々な場所で、トウゴクミツバツツジやシロヤシオが咲く山域だ。その中でも、とくに美しいのが檜洞丸の山頂付近の稜線一帯だ。
西丹沢自然教室(現・西丹沢ビジターセンター)から檜洞丸までの登山道は、「つつじ新道」の名のとおりツツジが多く咲く。とくに展望園地から檜洞丸までの稜線道は、ツツジのトンネルの中を歩くほどの群生地だ。
山頂付近の稜線にはトウゴクミツバツツジとシロヤシオの群生地が数多くあるので、さまざまな色・種類のツツジを楽しめる。
なお、花の開花は5月中旬頃からで、最盛期は5月下旬~6月初旬となる。
高低図
| 西丹沢ビジターセンター
2022.08.02
用木沢出合~犬越路区間、用木沢出合~白石峠区間の通行止め解除
| 蛭ヶ岳山荘
2024.03.18
残雪は少し融雪、山頂には雪と氷あり。冬と春が入り混じるこの季節は思わぬ落とし穴があり全の準備で
京丸牡丹伝説をご存じだろうか? 山深い京丸の里に迷い込んだ若者と恋に落ちた村長の娘との悲愛の物語で、村の掟に世を儚んだ2人は激流に身を投じ、以来ふたりの魂は牡丹となって京丸の谷間を彩るようになったという伝説だ。その伝説の地が、ここ静岡県の岩岳山・竜馬ヶ岳周辺となる。
この標高には牡丹は咲かないので、牡丹の正体はアカヤシオとシロヤシオと言われる。この地のそれらは、樹齢100~300年といわれていて、国の天然記念物にもなっている。
アカヤシオの開花時期はゴールデンウィークの頃で、シロヤシオは2週間ほど遅れて咲く。
高低図
富士山の南側にそびえる、標高1000~1500m程度の山群が愛鷹山だ。宝永火口を正面に見る富士山展望の山として知られるが、ツツジの季節は、花と新緑と展望の3拍子となる。
山の名前を冠した、愛鷹山周辺でしか見られないアシタカツツジの開花は5月中旬から下旬が盛りの時期。最高峰の越前岳山頂から少し西側に下ったあたりが群生地として有名だ。
なお、アシタカツツジとミツバツツジとの大きな違いは葉の数で、ミツバツツジの3枚に対して5枚の葉がある。
高低図
滋賀県と三重県の県境に位置する、鈴鹿山脈の竜ヶ岳。雨乞い信仰・竜神の山が由来というこの山は、シロヤシオが独特の風景を醸し出す山として知られる。
山頂付近は、ほぼ笹原となっているが、その斜面に点在するように立っているのがシロヤシオの大木たちだ。この大木に白い花が付くと、笹原にポツリポツリと白の塊が咲く様子となり、まるで牧場に群れる羊のように見える。
この特異な景色が見られるのは5月中旬から下旬。山頂から見下ろすように、この景色を見ることが出来る。
高低図
関西随一のツツジの山といえば大和葛城山だ。「一目百万本」といわれる淡い紅色のツツジが斜面を染める様は圧巻の景色で、他では味わえない景観を楽しめる。
なお、このツツジの群落はすべて自生しているもので、植林したわけではないとのことだ。
花が咲き始めるのはゴールデンウィークが終わった頃からで、満開の頃はロープウェイは混み合うので、登山者は登山道を上がって楽しみたい。
高低図
四国で随一のツツジの名所が、愛媛県の西赤石山周辺だ。山の北面がアケボノツツジの群生地で、山頂近くのかぶと岩がビューポイントとなる。アケボノツツジの最盛期は5月初旬から中旬となる。
西赤石山はツガザクラの南限地としても知られる花の山でもあると同時に、銅山の遺構が今も残る鉱山跡の山でもある。斜面に点在する大規模な産業遺構は「東洋のマチュピチュ」という愛称が付けられている。
登山基地となる「マイントピア別子」は、その中心で、周辺の遺構と共に、登山の際にはぜひ訪れたい。
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九州の火山帯に群生しているツツジがミヤマキリシマだ。火山活動のために過酷な環境となった中でも生き残ったヤマツツジがミヤマキリシマで、他の植物がこの環境で生存できるようになると姿を消すとも言われている。
九重山、阿蘇山、雲仙岳、霧島山、由布岳などの、比較的標高の高い九州の火山に分布・群生していて、5月下旬~6月中旬が見頃となる。
九重山の中ではさまざまな場所に大群生地を形成しているが、とくにキレイなのが大船山の山頂南斜面や、平治岳山頂付近の群落などだ。
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