| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.03.22
登山口に雪がなくても山の上はまだ冬。北面や日陰は凍結あり軽アイゼン(チェーンスパイク)の用意を
春を迎え、夏に差し掛かろうとする今、山肌の色が白一色から枯野色、そして緑色へと急激に変わる季節だ。
爽やかな空気――、淡い緑の新緑の木々――、どの山に行っても森や草木の緑が最も眩しく美しい。そんな『緑』の色や楽しみ方もさまざま。そこで今回は「ブナ」「カラマツ」「苔」の緑に注目。それぞれの緑が美しい山をピックアップする。
日本の広葉樹の森の象徴的存在でもあるブナは、雪解けと共に芽吹くので、いち早く森を淡い緑に染める。今回は残雪の心配の少ない場所を紹介した。
国内の針葉樹で唯一、落葉するのがカラマツ。毛筆ように細い葉を出して枝に整然と並ぶ新緑は、秋の黄葉と共に美しい。
そして林床をみずみずしい緑に染める苔は、雪解けから梅雨の間に特に美しく輝く――。
緑が輝く今の季節、三者三様の緑を堪能して、森林浴を満喫して欲しい。
東京の奥座敷・奥多摩は、古くから林業が盛んだったために植林の林が多いが、三頭山周辺は原生林が残っている。現在は「東京都檜原都民の森」として東京都が整備されているので、多くのブナの木が茂る。
とくにブナが多いのが、鞘口峠~三頭山の間で、初夏の時期は美しいブナの新緑に目を癒されるだろう。
また御前山の北西の尾根「大ブナ尾根」も、文字通りブナ林が茂る場所で、新緑の頃は薄緑のトンネルの中を歩ける。
なお、新緑が美しいのは5月中、行程中は、ブナの新緑を満喫できるコースとなる。ぜひ、こちらの記事も参照にして、楽しんでもらいたい。
高低図
| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.03.22
登山口に雪がなくても山の上はまだ冬。北面や日陰は凍結あり軽アイゼン(チェーンスパイク)の用意を
伊豆半島の最高峰・天城山の新緑の時期となるのは5月~6月初旬。この時期の天城山周辺と言えば、アマギシャクナゲが盛り(例年は5月下旬がピーク)だが、ブナの新緑も楽しみの1つだ。
とくに天城高原⇔天城峠の縦走路は、ブナのほか、ヒメシャラ、アセビの緑のトンネルを進み、シャクナゲの花、ツツジの花に彩られるので、さまざまな自然との出会いが楽しい。
また、万二郎・万三郎岳周辺の急登や、皮子平~八丁池あたりの緩やかな尾根道など、登山道も変化に富んでいる。
なお、ブナ林が多いのは天城峠~八丁平間で、万二郎・万三郎岳周辺にも、ブナの巨木がヒメシャラやアセビの林に点在する。
高低図
円錐形の2つのピークが寄り添うようにそびえる、双耳山の山容の山、福島県・二岐山。山麓から山腹にかけては豊かなブナ林に包まれている。
新緑が美しいのは5月中で、山全体が淡い緑に包まれる。また、紅葉の季節もオススメだ。
山腹の「ブナ平」と呼ばれる場所は、かつて大規模な伐採が行われ、後に反対運動で伐採が中止された経緯の場所だという。そのため地名に反して周辺のブナはまばらになっている。
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5月中旬~6月下旬の長野県・篭ノ登山周辺は、さまざまな緑と花が楽しめる場所だ。とくに美しいのがカラマツの新緑だが、楽しみは他にもたくさん。池の平湿原が緑に染まり始め、レンゲツツジが咲き出し、三方ヶ峰山頂ではコマクサも咲き始めるなど、バラエティに富んでいる。
なお、それぞれの見頃は少しずつずれている。湿原が緑に染まり始める直前がカラマツの新緑が最も美しい季節で、湿原が緑に染まったり、レンゲツツジのオレンジがが鮮やかなるのはもう少し先になる。
すべてを一挙に味わうのは難しいが、この時期はいつ行っても何かが見頃となっているはずだ。ハズレのない登山を楽しめるだろう。
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大菩薩嶺周辺のカラマツの新緑の時期は5月中旬~6月中旬頃で、カラマツ林が多いのは名前の通り「唐松尾根」となる。広くゆるやかな山麓にカラマツ林が多く茂る。
展望が開ける唐松尾根上部は、見下ろす新緑が美しい。また、空気が澄んでいれば正面には残雪が眩しい富士山やアルプスの山々を望める。
山頂~大菩薩峠の開けた斜面にもカラマツが点在していてこの新緑も美しいが、さらに進んで石丸峠から下る笹原の草原も緑を満喫できる場所だ。草原に点在するカラマツの新緑とあわせて楽しみたい。
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背後に甲斐駒ヶ岳を仰ぐ位置にある日向山は、大きな山に囲まれて目立たないものの、魅力タップリの山だ。
山頂付近に雪とも南の島のビーチのように広がる白いザレ、南アルプスや富士山や八ヶ岳の展望、そして美しいカラマツ林など見どころがいっぱいだ。
カラマツ林は尾根一帯に広がり、長い緩やかな尾根道は新緑の美しさを満喫できる。なお、カラマツの新緑は5月中旬~6月中旬頃。
開けた山頂の真っ白な大地と、新緑の緑、そして南アルプスの展望のコントラストが美しい。
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苔が美しい場所と知られる北八ヶ岳。針葉樹林が広がる一帯はコケの生息環境にピッタリで、林床にコケがビッシリと付く。天候が優れずに展望が望めないような日でも(そんなときこそ)、美しい苔が一層美しく映える。
北八ヶ岳・白駒池一帯はどこも苔むした林が多い中が、その中でも特に苔が多いのが白駒池~にゅう方面の一帯。雪解けの5月初旬頃から梅雨の間まで、とくに緑が映える時期に訪れたい。
高低図
映画「もののけ姫」に中で登場する苔むした森のモデルとなった場所こそが、屋久島の白谷雲水峡だ。
岩も木の根も幹も、すべてが苔に覆われた世界は、アニメの世界観と同様。緑の世界を満喫したいなら、一度は訪れたい場所だ。苔がとくに美しい時期は4月から6月あたりとなる。
白谷雲水峡の美しいコケの緑も美しいが、この時期の屋久島はほかにも魅力いっぱい。梅雨入り前であれば比較的天候も安定しているうえに、ヤクシマシャクナゲなどの花も美しい。太鼓岩、縄文杉などの定番の場所はもちろん、広く屋久島を楽しみたい。
高低図
苔の楽園として知る人ぞ知る場所が、愛媛県の笹倉湿原(さぞうしつげん)だ。石鎚山の麓にひっそりと広がる湿原は、「神の庭」とも呼ばれるほどで、神秘的な湿原となっている。
写真の通り、モコモコと苔の山が湿原に並ぶ様は、コケ好き(?)には、たまらない情景だろう。
雨が降り森がみずみずしく潤った時に行くのがオススメで、晴天続きとなると苔は赤茶色となってしまうこともあるそうだ。
高低図