新元号が始まる年で、さらに東京オリンピックまであと1年など、話題が盛りだくさんな2019年がスタートした。
今年はどんな山に登ろうかと、さっそくリサーチしている人も多いことだろう。そこでお送りするのが、毎年恒例となっている「今年の山」。
最近では2017年には標高2017mの雲取山が話題になり、2018年には干支のイヌにちなんだ犬ヶ岳などが注目されたが、2019年にちなんだ山は一体どんな顔ぶれだろうか。
ちなみに今年は亥年、イノシシは無病息災の象徴、亥年のキーワードは勇気と冒険とか。これは登山にもぴったりな1年になりそうだ。では、さっそく編集部厳選のおすすめの山を紹介していこう。
山頂に置かれたまさかりを担いでの記念撮影が定番になっている、静岡県・神奈川県の県境にある金時山。富士山を眺望でき、箱根の温泉とセットで楽しめるとあって、四季を通じて老若男女に愛される山だ。
山頂までのルートはさまざまあるが、今年は干支にちなんで猪鼻砦跡を行く金太郎ハイキングコースを歩きたい。戦国大名の北条氏の居城の1つである足柄城の砦の1つとされる猪鼻砦は、角度によってイノシシの鼻に見えることから名付けられたという。ぜひ実際に自分の目で確かめてみよう。
金太郎ハイキングコースは滝見物や沢歩きを楽しめる水源に近い森林コースで、真夏でも快適に歩けるのも魅力のひとつだ。冬期は積雪も多く山頂付近は凍結する箇所もあるので、新年に行くなら軽アイゼンやチェーンスパイクを持参しよう。
高低図
北海道中央に広がる日本最大の山岳公園、大雪山国立公園の北部にある緑岳。標高は国土地理院の地形図では2020mと表記されているが、山頂にある標識には「2019m」と表記。実際には、2019.9mということだ。
2019年の山か2020年の山なのか、議論が分かれるが、ここは来年も楽しめる2019年の山ということで紹介する。
幕末に蝦夷地を探査した松浦武四郎にちなんで松浦岳とも呼ばれる山で、高山植物の宝庫の山として知られる。夏には雪渓に咲くチングルマやエゾコザクラ楽しめ、秋には登山口の大雪高原温泉で日本一と名高い紅葉に息を飲む。またナキウサギの生息地でもあり、野生動物との遭遇のチャンスも高い。
美しい針葉樹と広葉樹の林や高山植物の草原、山頂付近の岩場、眼下に点在する高原沼など、変化に富んだ魅力いっぱいの登山道は、往復で5時間ほどかかる。ヒグマも多く生息する山域なので、入山前には麓のヒグマ情報センターで情報を入手しよう。
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山ではなく滝に「猪」の付く「白猪ノ滝」の見事な渓流美を楽しめると人気の山が、愛媛県にある石墨山だ。石墨山は皿ヶ嶺連峰の最高峰で、山頂からは大川嶺や中津明神岳、筒上山、石鎚山、堂ヶ森と大パノラマを望むことができる。
白猪ノ滝には夏目漱石や正岡子規らが吟行に訪れ詩歌を詠んだ句碑が立ち、毎年11月3日には白猪ノ滝祭りも開かれ、多くのハイカーで賑わう。
ちなみに、白猪ノ滝の由来は諸説あるが、南北朝時代の南朝の敗将、河野氏の霊が白猪に乗って山中より現れたことからきているという。
おすすめの季節は滝が氷瀑する冬、そしてツツジの開花で山が赤く染まる秋だ。
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山名にも地名にも「猪」はないが、山麓に住む赤猪を弓の名人が2本の矢で射止めたという伝説が残る山が、福島県いわき市にある二ツ箭山。「箭」は矢竹を意味していて、その矢が山名の由来といわれる。かつて修験者によって開かれた霊峰で、女人禁制の山だった。
女体山と男体山の鋭い岩峰が特徴で、岩登りや沢歩き、太平洋を望む眺望など、登りごたえは十分。とくに、男体山にある20mや30m超えの鎖場は、勇気と冒険がキーワードの亥年に挑戦したいポイントだ。
標高は709mと低山ながらも高度感抜群の岩場の山として、アルプスに行く前のトレーニング用の山としても知られている。
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「猪」の名前がつく山や、猪の由来の残る山は全国にあるものの、1000mを超えるような登りごたえのある山・場所は以外と少ない。それでも猪な山を一挙にまとめて紹介してしまおう。
三重県にある伊勢三山のひとつ、白猪山。広い裾野と山からの豊かな水が、里の棚田や松坂牛などの牧畜に欠かせない存在として、古くから地元に親しまれている山だ。
登山の際には山頂から伊勢湾や棚田の景色を味わいつつ、雨乞いや農耕の神を祀る阿夫利神社(雨降り神社)に詣でたい。
長崎県大野原高原の最高地点である猪見岳は、県最大の玄武岩溶岩台地が広がり、山頂周辺には巨石が点在する勇壮な景観が魅力だ。ただし、そのほとんどが自衛隊の演習地となっているので、立ち入り禁止の場合もあるので注意したい。
のどかな田園地帯が広がる滋賀県東近江市の湖東平野に、横たわるようにそびえる山の1つが猪子山だ。隣りあう繖山との縦走コースには、聖徳太子が開山した観音正寺をはじめとした近江地方の信仰の道らしい趣きが漂う。織田信長の居城であった安土城があった安土山も含めて、歴史を偲びながらの山歩きを楽しみたい。
鳥取県南部町に位置する要害山は、『古事記』に出てくる赤猪岩神話の舞台として名高い山だ。麓には伝説に登場する大国主命を祀った赤猪岩神社があり、地元からは手間山とも呼ばれ親しまれている。山城跡の山頂からは遠くに大山を望むことができる。
石川県、白山の南西に位置するのが猪鼻山だ。地形図に山名の記載はなく、一般的には「白山パノラマ展望台」として知られる標高1291mの場所だ。展望台や三角点のある場所までは岩屋俣谷園地遊歩道で3時間ほどで巡ることができる。
ブナ林を歩く森林浴や御前岳をはじめとした白山のパノラマ展望を手軽に楽しむことができ、白山に雪が残りブナの新緑が美しい6月や秋の登山がおすすめだ。
なお実際の猪鼻山までは展望台から約300mほど奥の標高1380mにあり、道は険しく不明瞭なので一般的ではない。
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