令和初めてのお正月、十二支のトップバッター、そして東京開催のオリンピックイヤーと、話題盛りだくさんでスタートした2020年。そこで、新年恒例の「今年の山」の紹介では、3つのカテゴリーで今年にまつわる山を全国からピックアップしよう。
まずは1つ目は「西暦にちなんだ標高2020mの山」。見つけたのは奥日光にある標高2020.4mの於呂倶羅山(おろぐらやま)。登山道がないために藪漕ぎの山で、地図が読める中・上級の玄人向けとされている。だが、冬場には藪を覆って歩きやすくなった雪面をスノーシューで楽しむハイカーの姿もあり、また山頂からは百名山の男体山や太郎山、三岳、奥白根山などを望む眺めのいい山としても知られる。今年は2020mの山として、登山者増が見込まれる注目の山だ。
続いて2つ目は「名前に干支の子・ねずみがつく山」。鼠という文字は、こちらも藪漕ぎの山として知られる福井県の鼠尾山や岐阜県の大鼠山が見つかった。さらに子がつく珍しい山として、以下に紹介する三重県にある子ノ泊山(ねのとまりやま)がある。
そして3つ目は、オリンピックにちなんで「全国各地にある五輪山」を探してみた。その中から、関東、信越、中部地方から1つずつ選んだのでぜひ足を運んで欲しい。
標高907mの子ノ泊山。岩場の小広場になった山頂には一等三角点があり、東側には七里御浜や熊野灘、北側には一族山や大瀬山などの東紀州の山々、遠くには大峰や台高山脈まで見渡す眺望に恵まれる。また、山中には平家の落武者・赤井蔵光の家臣を祀ったとされる七十五人塚があり、別称で蔵光山とも呼ばれる所以でもある。
登山コースはいくつもあるが、南面の立間戸谷に沿う下和気ルートは荒れて厳しいので初心者には向かない。さらに、浅里からの新道は未整備で廃道になっているので、現在一般的におすすめなのは桐原登山口からの約3時間の周回ルートだ。
温暖な気候なので一年中登山可能だが、山中にあるシャクナゲ林の花の見頃は5月中旬頃。落石やクマなどの野生動物も多いので注意して歩こう。
高低図
奥武蔵の山々の中でも、特に人気の高い伊豆ヶ岳の岩壁・男坂の下に位置する五輪山。多くの登山者は縦走路の通過点として、目前にある傾斜40度の岩壁へ向かう前の休憩ポイントして足を止める。
だが、木の根が露出した急登の泣き坂は登りがいも十分。西武秩父線正丸駅から直接アクセスできるので、五輪山山頂までは1時間半ほどで到着可能だ。
そして、奥武蔵の五輪山に行くならぜひ立ち寄りたいのが伊豆ヶ岳から続く縦走コース上にある子ノ権現だ。子年に縁がある子ノ聖が開いたとされ、大わらじが奉納されるなど足腰を守る神様が祀られる人気のスポットだ。登山守も売られているので、参拝後に買い求めてみてはいかがだろう。
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五輪高原や五輪尾根という地名で耳にしたことがある人も多いだろう。新潟にある五輪山は、白馬岳と朝日岳、蓮華温泉を結ぶ、誰もが憧れる縦走路沿いにある山だ。登山道はないので山頂には行けないが、残雪期に山スキーで登り、付近を滑る人もいる。五輪尾根では、緩やかな木道歩きが楽しめ、さらに高山植物の群落があり、可憐な花々を愛でることができる。
五輪尾根を通るメジャーなコースは、白馬岳を起点にし、朝日岳、五輪尾根、蓮華温泉へと進むルート。もしくは、富山側の北又小屋から入り、朝日岳、五輪尾根、蓮華温泉と進むルートもある。いずれもロングルートで健脚向きの2泊3日の行程だ。
ちなみに、秘湯・蓮華温泉にある野趣たっぷりの野天風呂からは五輪山や朝日岳が美しく仰ぎ見えるので、ぜひ山旅の思い出に立ち寄ろう。
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岡山の山といえば、鳥取との県境にある蒜山が有名だ。そしてその蒜山や鳥取の大山の眺望を望める縦走ルート上にあるのが、五輪山だ。標高は980mと低山の多い岡山では高く山で、このルート上でも最高峰になる。山容は美しい尖峰で、ルート起点の抜群の眺望で人気の星山と錐形が美しい湯原富士とも呼ばれる櫃ヶ山の間に位置する。
コースは、星山東登山口から星山山頂を経て、五輪山山頂へは3時間。そして櫃ヶ山へ縦走し、櫃ヶ山登山口へ下りるとさらに3時間と、計6時間の健脚向きコースを行く。主に、視界が開けた明るく気持ちのいい笹原の稜線歩きを楽しむことができる。
名前ほどの派手さはないが、歩き応えも山の開放感も満喫できる五輪山。ぜひ今年を機に、知名度アップを期待しよう。
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