待っていたのは、秋の絶景でした。
紅葉と大展望の
富士見台高原ハイキング
Nov.
2-3
南信州の秋はさまざまな色彩があふれます。森が美しく紅葉し始めた11月2日(土)、3日(日・祝)の2日間、阿智☆昼神観光局主催の「秋の紅葉富士見高原ハイキング」が開催され、色とりどりの紅葉と秋空の下に連なる日本アルプスの大展望を楽しみました。2日は大雨のため、当初予定されていた「網掛山展望台整備」は中止となりましたが、夜には昼神温泉で懇親会が行なわれ、天候が回復した3日には大展望が魅力の富士見台へのハイキングを実施しました。モデルで登山系YouTuberの山下舞弓さんをゲストに迎えたイベントをレポートします。
秋の富士見台高原 紅葉と大パノラマを楽しむ、
富士見台高原ハイキング
富士見台高原(1739m)は信州百名山にも選ばれている人気のハイキングエリアで、日本百名山が23座も見られる大展望で知られています。前日まで荒れ模様だった天気も急速に回復し、阿智☆昼神観光局のイベントに参加が初めてという5名を含む、16名もの参加者が紅葉ハイキングを楽しみました。
朝、富士見台高原ロープーウェイ「ヘブンスそのはら」に集合した参加者は、観光局の酒井優佳さん、地元の登山ガイドの伊藤賢治さん、若林翔さん、ゲストの山下舞弓さんと顔合わせ。早朝に見られる雲海を売りにするヘブンスそのはらは、連休の中日ということもあって、大勢の観光客、ハイカーが大勢、駐車場も第2駐車場まで満車でした。
アプローチに利用する約15分のゴンドラは、紅葉を眺めながらの空中散歩。スキー場エリア内はやや濃い霧が立ち込めていましたが、白いガスの中から次々に現われる紅葉を楽しみながら、一気に標高を稼いでいきます。ゴンドラと高速リフトを乗り継いで、いよいよ登山開始。はじめは30分ほどガスの中を歩きましたが、徐々に周囲が明るくなり、黄葉したカラマツ林が、ガスの中で幻想的に浮かび上がります。
古代東山道(とうさんどう、とうせんどう)の神坂(みさか)峠を過ぎたあたりから、次第にガスが晴れてきました。白い霧の合間から見える青空に歓声が上がります。ガスが消えると、岐阜県中津川方面が見えるほどに晴れ渡りました。
歩く先には、富士見台高原の特徴である笹原に覆われたなだらかな山容が見えてきます。笹原のところどころに、赤いツツジの紅葉が丸く見える姿は「赤い羊」のようです。
ほどなく標高1600mに位置する山小屋、萬岳荘(ばんがくそう)に到着。ここまでの道のりはゆるやかな坂。歩いてきた区間はシャトルバスに乗ることもできますし、岐阜県側の中津川からは、林道を車で上がってくることもできます。萬岳荘では、地元のブラスバンドによる演奏会が開かれていました。
萬岳荘からは、裏に見えている丘をひと登りして、富士見台の稜線へ。雲はほとんど消え、笹原の緑と秋空の青が美しいコントラストを見せています。一行はなだらかな斜面をゆっくりゆっくり進んでいきます。
稜線に出ると、どっしりとした山容の日本百名山・恵那山(えなさん、2191m)が大迫力で登山者を迎えてくれました。富士見台山頂への道のりはザレてはいますが、水はけがよいため水たまりもなく、前日の大雨をまったく感じさせないほど。「ここの稜線は、風が強いときは吹き飛ばされそうになるんですよ」と若林ガイドは話していましたが、そんなことが想像できないくらい穏やかな日差しの中を登っていきました。
参加者同士も歩きながら仲良くなり、山下さんも交えて、これまで経験してきた山の話、使っている山道具の話で盛り上がります。同行するカメラマンの吉本悠哉さんに写真の撮り方を聞く人もいて、会話が弾みます。萬岳荘から40分、脱落者もなく、おしゃべりしている間に標高1739mの富士見台の山頂へ到着です。
開放感のある笹原を登っていきます 富士見台山頂では快晴に恵まれて、南アルプス、中央アルプス、北アルプスの穂高連峰、乗鞍岳、大きな御嶽山などがよく見えました。登山経験を積んだ人でも、こんな大展望は珍しいかもしれません。山座同定をしながら、あの山はどうだった、こっちはどうだった、と山の話で盛り上がります。
山頂で集合写真を撮った後は、山下舞弓さんと記念写真を撮ったり、お昼ご飯を食べたりして、ゆっくり思い思いに景色を楽しみました。富士山が見えず、「富士(が)見たい」が転じて山名になったともいわれる「富士見台」ですが、伊藤ガイドは「富士見台が標高1900mくらいあったら、理論上は、南アルプスの向こうに富士山が見えます」と教えてくれました。11月の初旬であれば、風が吹けば防寒着は必須な時期ですが、天気に恵まれぽかぽかの山頂の時間を過ごすことができました。
山下舞弓さんの山道具を
拝見!
下山では、「今日は動画じゃなくて写真」という山下さんと、同じモチーフを撮り合ったりして、萬岳荘まではあっという間に下山しました。そしてイベントの締めくくりは、山下舞弓さんによるトークタイムです。
テーマは「私の山道具」。今日の富士見台の行程や、最低気温・最高気温から、どんな服装、装備をチョイスしたのか。バックパックにどんな用具が入っているか。ひとつひとつの持ち物について、選んだ理由や、よいところ、どうやって探してきたかを解説し、実際に見せてくれました。女性参加者や登山経験の浅い人には、とても参考になる話です。今年からアンバサダーを務めている味の素「アミノバイタル」の各種商品についても、よりよい摂取方法などをていねいに説明し、最後は、装備の重量あてクイズも行なわれました。
萬岳荘からリフトまでの帰路はシャトルバスで。「歩いても1時間だけど、これは楽」と山下さん。下山の時間を短縮した分が、トークイベントの時間になり、参加者との会話の時間になる・・・。この時間配分は、阿智昼神観光局の酒井さんの配慮ある演出。この阿智村登山イベントが楽しく、リピーターも多い理由でもあるのです。あっという間に、ゲレンデ最上部のリフト乗り場に帰着しました。
実は前夜がおもしろい!
大盛り上がりの懇親会も
富士見台高原ハイキングの前夜には懇親会が開かれ、阿智昼神観光局の情報拠点として運営されている「ACHI BASE」では、各地から集まった13人がおいしい料理を楽しみました。
それぞれチョイスした飲み物を手にして、山下さんを中心に、山の話で会話が弾みます。参加者の中に「山登りは明日が2回目」という人が。すると、山下さんをはじめ、観光局の酒井さん、登山経験豊富な参加者のみなさんから、おすすめの山の情報や、山道具のアドバイスが次々に出てきました。会場内には酒井さんが集めた「山の手ぬぐい」が飾られて、そんなことも会話のネタに。山好きならではの楽しい会話でお酒もすすみます。
お待ちかねのビンゴ大会は、酒井さんがオリジナルで作る「長野の山名ビンゴ」。山下さんがくじを引き、「いおうだけ」「きそこまがたけ」と、山のエピソードをひと言ずつ添えて読み上げていき、参加者はYouTubeで見ました、自分の時はこうだった、と応じて進んでいきます。
「ヤッホー!」なにが当たったのかな? 「ビンゴ!」の代わりに「ヤッホー!」と声を上げるのが、阿智村の山イベントのルール。最初に「リーチ」になったからと言っても、最初に上がれないのがビンゴのおもしろいところで、なかなか「ヤッホー」の声が上がりません。「ごんげんだけ」「ひのきおだけ」・・・初心者の方が「どんな字なのか分からない!」というと、周りの方が、これこれ、と教えてくれる。知り合ったばかりの人同士でも、すぐになじんで、山小屋にいるような雰囲気です。
はずれなしのビンゴ大会には、山下さんがアンバサダーを務める味の素アミノバイタルや、愛用するRawLow Mountain Works、阿智昼神観光局、山と溪谷社などの景品がずらり。参加者はそれぞれ勝ち取った賞品を手に、昼神温泉の宿に帰っていきました。
四季を通じて阿智村や南信州の山の魅力を体感する阿智☆昼神観光局のイベントは冬も予定されています。次の登山ツアーの予定はこのサイトで紹介していきますので、要チェックですよ!
(文=山と溪谷社 湯浅陽介、
写真=吉本悠哉)










































