中級 | ステップアップした登山者なら目指したい 槍ヶ岳/双六岳

登山経験を積んで、長時間の山行と山小屋泊の登山に慣れてきたら挑戦したい双六岳と槍ヶ岳。
飛騨側からの槍ヶ岳にもぜひチャレンジしてみてください!

天を突いて立つ登山者憧れの鋭鋒

槍ヶ岳  やりがたけ/標高3180m

槍ヶ岳はその名の通り天を突くように聳える鋭いピークの山。遠くから見てもわかりやすく、北アルプスのシンボル的な存在。縦走路の要ともいえる場所で、各方面からの登山道が5本集まる。剱岳や穂高岳とともに、登山者の憧れを集める山だ。
槍ヶ岳と槍ヶ岳山荘/樅沢岳付近から見た槍ヶ岳/槍の穂先の登山者の列


 岐阜県側は新穂高温泉から蒲田川右俣沿いを歩き、上部で飛騨沢と名前を変える谷につけられた道を登る。上高地から槍沢経由の道より登山者が少なく、単調になりがちな平地歩きが短いため、こちらのルートを好む人も多い。山頂に直接上がるこの2ルートのほか、西鎌尾根、東鎌尾根、そして穂高からの縦走路があり、中~上級者はこれらの道を組み合わせた長い縦走も計画できる。

 岐阜県側のコースは槍平周辺のきれいな樹林帯や飛騨沢の流れ、千丈分岐あたりに広がるお花畑も見どころのひとつ。このお花畑のなかで千丈乗越と飛騨乗越へ向かう道が分かれるが、どちらを行っても時間的に大差はない。いずれの道も最後がガレ場の急登になり、キツいので体力を温存しておきたい。

 槍ヶ岳といえば山頂直下の岩場が気になる人もいるだろう。難所には鎖やハシゴが付けられ、足場をしっかり確認しながら落ち着いて登れば問題ない。しかし、高度感がすさまじいので岩場歩きに慣れていない人は苦労するだろう。よく整備されているが、浮き石はあるので落石にも要注意だ。

 登り着いた山頂ではまさに360度の大展望が待っている。常念山脈や穂高岳のながめはもちろん、双六岳、鷲羽岳や、遠く白馬岳、立山など北アルプス北部の山々まで見渡せる。

適期/アドバイス

登山適期は梅雨明け直後から9月下旬。槍ヶ岳山荘から山頂へ向かう時はヘルメット着用が推奨されている。槍ヶ岳山荘でもレンタルができるので持っていない人は利用するといい。海の日の連休や8月の週末、シルバーウイークは登山者が集中し、穂先で渋滞することもある。登りと下りでルートが分かれる部分が多いが、重なるところではうまく譲り合おう。
入山の際は登山届を提出すること。

登山口までのアクセス

R高山線高山駅近くの濃飛バスセンターから新穂高温泉までバスで1時間35分、1570円(濃飛バス TEL 0577-33-7780)。7月中旬〜8月中旬まではJR中央本線松本駅から新穂高温泉までの直通バスも運行している(2時間35分、2880円、アルピコ交通バス TEL 0263-35-7400、濃飛バス TEL 0577-32-1688)。

 
  槍ヶ岳山荘・穂苅大輔さん  

今から200年ほど前、槍ヶ岳を開山した山岳修行僧の播隆上人は、飛騨の地から槍ヶ岳を眺め、そこに登ることを決意しました。そして今も、槍ヶ岳は多くの人を魅了し続けています。ぜひ間近でその岩峰をご覧ください。

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槍・穂高連峰の眺めと高山植物を楽しむ

双六岳  すごろくだけ/標高2860m

双六岳は北アルプスの中央部にある穏やかな山容の山。山頂の直下にカール地形を持ち、そこには夏、色とりどりの花が咲く。山頂部は平坦な地形が広がっているのが特徴で、その平原越しに見る槍・穂高連峰の岩峰群が印象的だ。
なだらかな双六岳頂上。槍ヶ岳を遠望/快適な双六小屋/鏡池からの穂高連峰


 花の名山としても名高い双六岳山頂の東側に一面のお花畑が広がるほか、弓折岳から双六小屋までの稜線もクロユリやコバイケイソウ、チングルマ、ヨツバシオガマなど多くの種類の花々が観察できる楽しい道が続く。

 中腹の鏡平では池に姿を映す槍ヶ岳がすばらしい。その名の通り鏡のように静まった池面に針葉樹林と鋭峰が投影し時を忘れて眺めていたくなるだろう。また、山頂部は広い台地状になっていて、砂礫に草が点々と生えている。なだらかな尾根とその向こうに聳える槍・穂高連峰が対照的双六岳独特の景観だ。

 そんな双六岳は槍・穂高連峰、笠ヶ岳からの尾根、黒部五郎岳から立山方面、そして鷲羽岳から後立山連峰へと、北アルプスの稜線が合わさる場所にあるので、さまざまなコース取りが可能。しかし、いずれも長い縦走となるため、双六岳を単独でめざすなら新穂高温泉から蒲田川左俣林道、小池新道を往復する人が多い。岩場の通過など危険な場所はないので、登りやすいだろう。健脚なら双六小屋を利用して1泊2日の日程も可能だが、せっかくなら鏡平小屋にも宿泊して、朝夕の景色を堪能したい。

 双六小屋からひと登りで広い山頂部に着く。展望を楽しんだら来た道を双六小屋に戻ってもよいが、少し北側に進み、中道を歩いてみよう。夏にはさまざまな種類の高山植物が花を咲かせ、心躍る道だ。

適期/アドバイス

登山適期は梅雨明け直後から9月下旬高山植物の花は7月中旬に見ごろを迎え、8月上旬まで楽しめる10月に入ると稜線は雪が降ることもめずらしくない。双六小屋、鏡平小屋、わさび平小屋の営業は10月中旬までだ。
入山の際は登山届を提出すること。

登山口までのアクセス

JR高山線高山駅近くの濃飛バスセンターから新穂高温泉までバスで1時間35分、1570円(濃飛バスTEL 0577-33-7780)。7月中旬〜8月中旬まではJR中央本線松本駅から新穂高温泉までの直通バスも運行している(2時間35分、2880円、アルピコ交通バス TEL 0263-35-7400、濃飛バス TEL 0577-32-1688)。

 
  双六小屋・小池岳彦さん  

槍・穂高連峰や鷲羽岳、笠ヶ岳など名山を望むにおいて、双六岳は最高の場所です。ハイマツの緑の稜線や周辺に咲き乱れるたくさんの高山植物に心癒されます。双六小屋は水も豊富で夏山診療所もあります。登山道の整備にも力を入れています。ぜひお越しください。

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構成=小林千穂