GORETEX(ゴアテックス)特集 雨の山を楽しむ - あなたの登山を支える防水透湿素材 -

GORE-TEXプロダクトの歩みとフロントランナーとしての
信頼性

文=柏 澄子
デザイン=yucca / イラスト=ヨシイアコ

アウトドアシーンにおいて“GORE-TEX”は、防水性、透湿性、防風性を兼ね備えた素材としてレインウェアなどに、長年搭載され続けてきた。パイオニアであり、そしてフロントランナーであり続ける理由を、探っていきたい。

GORE-TEX

防水・透湿性素材のパイオニア

岩と雪(99号)
1983年12月に発売された『岩と雪(99号)』広告より

 1980年代の日本上陸以来、GORE-TEX プロダクトは当たり前のように私たち登山者のすぐそばに存在してきた。防水性と透湿性を兼ね備え、さらには防風性にも優れており、登山時のレインウェアとして欠かせないものだと、山登りの先輩たちから教わってきた。
 GORE-TEX ブランドが、最初にサポートした登山家はラインホルト・メスナーである。いまから30年近く前にメスナーが着用していた GORE-TEX プロダクトと、現在の GORE-TEX プロダクトには、不変な点がある。それは、GORE-TEX メンブレン(膜)だ。つまるところ、GORE-TEX メンブレンは、この世に出たときから完成された高品質のものであったのだ。

長年信頼され続けている理由

 メンブレンの構造に変わりはなくとも、GORE-TEX プロダクトは、進化し続けてきた。

 GORE-TEX メンブレンと組み合わせる生地やラミネート加工の方法などの進化も、そのひとつだ。それはまるで、時代を重ねるにつれ、登山が先鋭化され、山のアクティビティに多様性がでてきたことを写し出しているかのようだ。より険しく厳しい山を追い求めるクライマー達には、さらに品質を上げ、耐久性を保ちながらけっして裏切らない製品を作り出している。山を身軽に走り抜けていくトレイルランナーが求める軽量化にも応えた。シリアスなクライミングシーンや動きの激しいトレイルランニングなどでも快適に使えるべく、生地に柔らかさやストレッチ性を打ち出したものもある。

 GORE-TEX ブランドは、いつの時代もメーカーやトップアスリート、山岳ガイドといったプロフェッショナル達と、濃密なコミュニケーションや共同作業を行なってきた。ウェアについては、メーカーをパートナーと考え、共に製品を作り上げ世に送り出す心意気だ。メーカーからの「こういうものを作りたい」とリクエストに応えるべく、技術開発に取り組む。新たな生地を開発したときは、山岳ガイドなどに数ヶ月にわたって着用してもらい、フィードバックをもらう。それはリアルな作業だ。いつどんな天候のなか、どこの山で、どれだけの期間着用したのか、行動内容を把握したうえで、着心地について聞き取りをする。肌触り、汗の抜け感、耐久性、どんなシーンでどんなことを感じたか、なるべく具体的かつ詳しく聞き取り、商品開発に役立てていく。

信頼を裏切らない厳格なテスト

 GORE-TEX プロダクトはすべて、ゴア社のテストに合格する必要がある。素材メーカーはこの世にあまたあるが、ここまで他社と手を組み、徹底的にテストしているところは見当たらない。また、メーカーが使う縫製や製靴、グローブの工場についても認定制度を設け、認定を受けた工場のみがGORE-TEX プロダクトを製造することができる。

様々な試験にかけられ、ゴア社が設定する水準を満たした製品のみが販売される

 各製造品のテストも厳格で多岐に渡る。

 たとえばウェアに用いるファブリクスについて。生地同士をこすり合わせる耐摩耗テスト。生地に切れ込みを入れて行なう引き裂き強度テスト。生地を短冊状にし両側から強く引っ張るテスト。
 また、ウェアに使われるGORE-TEX ファブリクス以外の部材の吸水性も確認する。吸水性が高い部材を使うと、漏水の可能性が高くなるからだ。
 レインテストと呼ばれるのは、マネキンに製造試作品を着用させ、人工的に雨を当て浸水がないか確認するもの。これは、実際に私たちが山で、撥水性がおちた状態で使用することも想定して、生地表面の撥水加工を取り除いた状態で行なう。
 シューズについても、同様に詳細で厳格なテストが行われる。

 ゴア社には「ブランドプロミス」という言葉がある。
 GORE-TEX プロダクトが適切に使用されている限りにおいて、その防水耐久性、防風性、透湿性を保証するというものだ。素材メーカーであるゴア社が、完成された製品に対してここまでの保証をするのは、メーカーとの確固たる信頼関係のなかで、互いに責任を持ちながら製造しているということの表れではないだろうか。

 登山を始めた頃から、当たり前のように “GORE-TEX” があり、当然のごとくレインウェアも冬期用のハードシェルも、グローブもスパッツもシュラフカバーも登山靴も、GORE-TEX プロダクトを選び、それ以外の選択肢を考えたことはなかった。どこの山に、どんな環境で登るのであっても、安心して使用できる信頼性が GORE-TEX ブランドにはある。けれど、その「当たり前」がどこからくるのか、考えたことはあまりなかった。
 絶対的に高品質な GORE-TEX プロダクトに安心しきっていたが、その安心がこれまで30余年に渡って続いてきたのは、ゴア社が常に、ユーザーの要望に応えるべく新しい取り組みを続けてきたこと、そして確実に品質を守り続けてきたことによるものだと、あらためてわかった。GORE-TEX ブランドがパイオニアであり、そして常に時代の先端を走り続けるフロントランナーであるゆえんだ。

GORE-TEX ファブリクスで設計されたガーメントの仕組みと品質管理を紹介した動画。開始50秒あたりから、「厳格なテスト」の一部が紹介されている。

雨の山を楽しむ GORE-TEX プロダクト

mont-bell
ストームクルーザー ジャケット Men’s

¥19,500(+消費税)

素材
GORE-TEXプロダクト
サイズ
S/M/L/XL
カラー
7色
平均重量
257g
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The North Face
クライムライトジャケット

¥30,000(+消費税)

素材
GORE-TEXプロダクト
サイズ
S/M/L/XL/XXL
カラー
7色
重量
270g(Lサイズ)
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ホグロフス
OBSERVE MID GT SURROUND MEN

¥24,000(+消費税)

素材
GORE-TEX SURROUND™ 採用
サイズ
US7~9(26.0~27.6cm)
カラー
1色
重量
394g(US 8.5 inch)
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