jROのサービスを説明しよう
今年の夏、初めて日本アルプスにチャレンジするというAさん。低山から山を始め、少しずつステップアップしてきた。憧れの頂に挑戦するために、ギアと装備を見直した。体力に見合った無理のない山行計画を立てた。あとは登山計画書を作成して提出するだけ。うん、準備は万全だ。……でも、なにか忘れていない?
新しい山にチャレンジするとき、登山のリスクや危険についてしっかり想定しておきたい。遭難は決して人ごとではないことを頭に入れておこう。日本山岳救助機構(jRO/ジロー)の「山岳遭難対策制度」は、万一遭難したときに、遭難した本人や家族にとって「本当に必要なサービス」が受けられる「共助の仕組み」だ。わずかな費用で大きな安心を得られるjROのサービスのポイントをまとめたので、ぜひ読んでみてほしい。一人ひとりのリスクをみんなでサポートする。「助け合い」は私たち登山者の合言葉だ。
ボクはコジロー。jROのイメージキャラクターだよ。
山岳遭難対策制度の仕組みと特徴を紹介していくよ!
jROの「山岳遭難対策制度」は、「保険」ではない。会員で少しずつの費用を出し合い、万一の遭難に遭遇してしまった人とその家族を助ける、大きな「共助の仕組み」なのだ。
登山者が遭難事故にあった時に必要なことはなんだろう? 家族が現地に駆け付ける、捜索や救助に人が動く、行方不明になれば、それを何度も繰り返す…。遭難事故が起こった時、捜索・救出にはたいへんな労力が必要で、本人だけではなく、家族にも大きな負担がのしかかる。
遭難した人やその家族の負担を少しでも軽減したい、そんな思いで始まった「共済」の仕組みを、「保険」に関する法律の変化に合わせて、互助・共助の観点で立ち上げたのが、日本山岳救助機構合同会社(jRO/ジロー)だ。それまで他の制度では十分に補填されなかった「遭難救助にかかる費用」、遭難者本人やその家族が負う金銭的な負担を、会員みんなで分担する仕組みだ。
会員みんなで、困った人を助ける仕組みだよ!
設立から13年目となり、jROの会員は、設立当初の7000人から9万人を超えるまでに増えた。それによって、遭難時の捜索・救助費用の補填上限が「最大550万円まで」となった。会員個人が負担する費用は、年会費2000円と事後分担金(04で説明/2019年は300円と少額)で、万が一のリスクに備える登山愛好者にとっては、欠かせないサービスとなっている。
様々な遭難保険、山岳保険が登場している現在でも、jROの場合、登山に限らず、沢登り、岩登り、マウンテンバイク、山スキー&スノーボードや、山菜採り・きのこ狩りまで、季節を問わず、山での遊び全般での事故をカバーしているのが特徴だ。
また、「登山者自身が、自力で下山できなくなったら『遭難』」という見解のもと、その原因が持病や既往症などでも関係なく補填の対象とする、というのも、登山愛好者の事故例をよく知るjROの特徴と言える。
「日本3百名山ひと筆書き」に挑戦中の
田中陽希さんもjROの会員なんだよ
アドベンチャーレーサー
田中陽希さん
例えば、遭難時の捜索費用・救助(搬出)費用の補填が中心であることはもちろん、家族が事故の現地に駆けつける際の「駆けつけ費用」や、万が一のときの「遺体搬送費」、ボランティアで救助に協力していただいた方への「謝礼」さえも補填するという。金融商品を扱う保険会社ではなく、登山愛好者を代表して何が必要かを考え、仕組み化している。
遭難後の対応がすばやく、登山者やその家族の心理をよくわかっているので、捜索や救助の対策を親身になって対応してくれる、というのも心強い。捜索が長引いてしまった時、警察による捜索活動が終了となっても、各地のガイド組織、山岳会との関係で、捜索隊の派遣や斡旋ができるのも、jROならではといえる。
登山者やその家族のことで、
何が困るのかをよく知っているよ
雪上のシート搬送訓練
(写真提供=東京都山岳連盟)
jROは公助の仕組みなので、年間で補填した遭難事案と、補填した費用を公開し、総額を会員数で割って、個人の「事後分担金」として徴収する仕組みになっている。どこの山域で、いつ、どんな遭難事故があり、どんなケガをしたのか、その際の補填費用がいくらだったのかは、毎年、報告書とともに、自宅に送られてくる。 (2020年では、算出日までに41件の事故で会員に補填を行い、2600万円強の事後負担金総額を見込み、会員数で割った事後分担金の請求額は300円だった)
これは、事後分担金を明快にするのとともに、自分がこんな事故に遭ったらという気付きにもなり、また安全登山への意識付けにもつながっている。事後と言っても、とんでもない金額が請求されることはない。ここ数年は、会員数が増えたこともあり、事後分担金は数百円の範囲なのだ。
過去4年の事後分担金の実績
・2017年 500円 ・2019年 200円
・2018年 300円 ・2020年 300円
みんなで出し合うから事後分担金も少額で安心だね!
jROでは、会員向けに様々なサービスを展開しているが、その中で、もっとも重きを置いているのが、「安全登山」の啓発活動だ。
「自分を救う力」=「自救力」として、会員自身が、知識レベル、技術レベルを高め、より安全に登山を楽しめるような講習会、講演会を開催してきた。2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の拡大も鑑みて、会員向けのオンライン講習会や、会員に限らず多くの方に見てもらえるYouTubeでの動画講習も積極的に行っている。
■ 「jRO自救力アップ講習会」開催実績 | |||
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第80回 | 2019.07 | 宮崎県宮崎市 | 講師:全九州アルパインガイドクラブ 安東桂三さん |
第81回 | 2019.09 | 兵庫県六甲山 | 講師:ジオグラフィカ 松本圭司さん |
第82回 | 2019.09 | 兵庫県六甲山 | 講師:ジオグラフィカ 松本圭司さん |
第83回 | 2019.10 | 山口県山口市 | 講師:関西ガイド協会 村上伸祐さん |
第84回 | 2019.11 | 東京都渋谷区 | 講師:マウンテンガイド協会 平川陽一郎さん |
第85回 | 2020.01 | 栃木県宇都宮市 | 講師:日本山岳会 羽根田治さん |
第86回 | 2020.07 | オンライン | 講師:マウンテンガイド協会 平川陽一郎さん |
第87回 | 2020.08 | オンライン | 講師:東京山岳ガイド協会 下越田功さん |
講習会もいろいろあるよ。まずはYoutubeを見てみてね!
jROの会員になると、ほかにも、山小屋での割引・特典や、提携しているJTBベネフィット「えらべる倶楽部」の所定のサービスを受けることができる。これだけそろって、年会費は2000円! 登山者の安心の仕組み、jROのサービスをぜひチェックしよう!