山と渓谷山旅BOOK/かごしま山めぐり街あるき
6/20

3412高千穂峰を登る途中、背後には中岳、奥に韓国岳を望む1 野菜から調味料まで地元産の嘉例川駅の駅弁 2 活火山新燃岳の麓にある明治創業の秘湯、霧島新燃荘・新湯温泉☎0995-78-2255 3 館内と広い庭で、迫力のある作品を楽しめる霧島アートの森☎0995-74-5945 4 美しい柱状節理の岩壁に沿って温泉水を落とす丸尾滝火山と生きる、湯の街霧島 2日目は、霧島連山最高峰の韓から国くに岳へ。大展望の山頂から翌日登る高千穂峰を望む。今宵の宿は、今も火山活動を続ける新しん燃もえ岳山麓の霧島新燃荘・新しん湯ゆ温泉。明治創業の湯治宿で、秘湯の西の大関ともいわれる。皮膚疾患に効能があり、治療用の浴室もある。温泉は、「浴場内に30分以上いないでください」と貼り紙があるほど強烈な硫黄臭を放つ。体に残る温泉の香りは、お土産にして帰ることにする。 3日目はいよいよ天てん孫そん降こう臨りん神話の舞台、高千穂峰へ。登山口の鳥居の奥にご神体とされる御鉢の山容が見え、気が引き締まる。噴火で消失した古こ宮ぐう址しでお参りを済ませ山へ。 樹林帯を抜けると足元は火山質のガレ場となり、足の置き場を考えつつ慎重に進む。ふと顔を上げると、中なか岳、その奥に韓国岳と、火山が生み出した大地が広がり息をのむ。正面には別の惑星にいるかのような御鉢の地層が美しいグラデーションを描く。火口縁には巨大な噴石が絶妙なバランスでポツポツと並ぶ。この先に一体どんな景色が待っているのだろう。自然とペースは早くなる。山頂は三六〇度の大展望。生まれたままの姿を見せる山々と、遠くには光る錦きん江こう湾に浮かぶ桜島。霧島の力強い景観に囲まれ、しばし時を忘れた。火山のエネルギーが生んだ大地を一歩一歩踏みしめる

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る