ultimate project 気鋭のクライマーと挑む、新たな取り組み 世界の名だたるクライマーの要望を具現化してきたカリマーからトップクライマーと共同開発した新レーベルが誕生。ultimate = 極限まで、もっと高みへと運んでくれるプロダクトに迫る。 辻 歌=文 山田 薫=製品写真 カリマー=写真提供 ultimate project 気鋭のクライマーと挑む、新たな取り組み 世界の名だたるクライマーの要望を具現化してきたカリマーからトップクライマーと共同開発した新レーベルが誕生。ultimate = 極限まで、もっと高みへと運んでくれるプロダクトに迫る。辻 歌=文 山田 薫=製品写真 カリマー=写真提供
モニターレポート
シンプルなのに、必要十分!
荷物が多くても重心がふらつかないザック
ずっと着ていられる、疲れないジャケットとパンツ
ニックネーム :
ムスナーさん (30代、男性)
登山歴 :
9年
登った山 :
谷川岳・天神尾根(1泊2日、雪洞泊)、南八ヶ岳・赤岳東面、旭岳東稜(日帰り)
使用アイテム :
アルティメイト60/アルピニステジャケット/アルピニステパンツ
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ニックネーム :
ムスナーさん (30代、男性)
登山歴 :
9年
登った山 :
谷川岳・天神尾根(1泊2日、雪洞泊)、南八ヶ岳・赤岳東面、旭岳東稜(日帰り)
使用アイテム :
アルティメイト60/アルピニステジャケット/アルピニステパンツ
  • ■ 赤岳・旭岳のラッセルやクライミングにも重心がふらつかない「アルティメイト60」
  • ■ 細身なのに、腕上げや足上げがよい「アルピニステジャケット」「アルピニステパンツ」
  • ■ 定評のあるザックメーカーらしく、シンプルで使いやすいアイテム!

赤岳・旭岳のラッセルやクライミングにも重心がふらつかない「アルティメイト60」

 製品モニタリングの1回目は12月29、30日で谷川岳天神尾根の雪洞泊訓練。これは所属する山岳会の忘年会山行でした。食料、お酒等が装備の大半でしたが、率先して(強制的に?)たくさん背負わせていただきました。「アルティメイト60」は形状がとても良くて、縦に伸ばすと70リットルくらい入るのではないかと。縦に長くなった状態でも綺麗にコンプレッションをかけることができました。そのため、しっかりと身体側に重心を引き寄せてくれるので、背負っていて重心がふらつく感じが全くなかったです。

 山行初日は天気に恵まれ、熊穴沢避難小屋付近をベースとし、雪洞堀りを先輩から教えてもらいました。残念ながら雪が少なく、大人数で宿泊できるサイズの雪洞は掘れませんでしたが、私だけ雪洞で寝てみました。雪の上に半身用マットと足元側に空にしたザックを敷いて寝ました。ザックをマット代わりに敷いて使う時、雨蓋が簡単に取り外しできるのはとても便利!しかも取り外した雨蓋は良いまくらになります。コーティングがかなりしっかりしているので、雪の上に敷いて寝ていても、染み込みはもちろん、足が冷えることもなかったのでとても快適でした。沢登りに使っても重くならなくて良いかもしれません。

 2回目の山行は、1月7日に南八ヶ岳の赤岳東面エリア旭岳東稜。5時少し前に美し森駐車場を出発。旭岳東稜の末端は思ったより雪もあり、まあまあしんどいラッセルが続きます。核心の岩場五段の宮では久々のアイゼン岩登りを堪能。「アルピニステパンツ」はパンツの足上げ等も全く気にならず、クライミングに集中できました。クライミング中は「アルティメイト60」のギアループに助けられました。特に、ショルダーハーネスのギアループはかなり使いやすかったです。三段目、五段目でピッチを切り、その先のリッジはコンテで。この辺りから天気が悪くなりだし、11時半に旭岳山頂に着くと吹雪。ジャケットを着てフードをかぶりましたが、フード、特に口の前辺りの襟の形状が素晴らしく良い。フロントジッパーを上げても口周りにゆとりがあって、呼吸の妨げにならない空間を確保しつつ、しっかりと風を遮ってくれていました。快適でした。

 下山はツルネ東稜。トレースもうっすら残っていたのでダーっと下り、風の遮れる林の中でやっと大休止。標高が下がると風もなくなり、雪はだんだん粒が大きくなり、シンシンと降り続きました。美し森駐車場に15時には下山。とても良い尾根でした。

細身なのに、腕上げや足上げがよい「アルピニステジャケット「アルピニステパンツ」

 「アルティメイト60」はシンプル、オーソドックスな縦長雨蓋式で無駄な機能がなく、軽いです。背面パネルも超シンプルですが、必要十分。谷川岳では18㎏ぐらいになりましたが、ザックの形状がとても良いので、縦に長く伸ばして大容量で使っても左右に重心が振れることなくしっかりと背負えました。逆に、旭岳東稜の時は比較的少ない日帰り装備でも、コンプレッションして雨蓋を本体に仕舞うなどすれば、全く気になることなく行動できました。「背負い心地」については、ほどよい硬さの背面パネルでとても気に入りました。ただ、背面長の調整がないのでショルダーハーネスとロードリフトストラップで調整しなければならず、しっくりくるポジションを探すのが少し難しく感じました。腰ベルトのスタビライザーもないので使うまでは少し不安でしたが、全く問題なしでした。全体的に形状(裁断)が素晴らしく、シンプルで高機能!

 「アックスホルダー」はベルトをアックスの穴に通すのが少し手間ですが、フック型の金具はとても使いやすかったです。固定力も強く、アックスがグラグラしないので良い感じでした。ショルダーハーネスの「ギアラック」はすごく使いやすかった!高さ違いで左右もう1つずつ付けて欲しいです。腰ベルトの「ギアラック」は、普段登攀時は腰ベルトがハーネスのギアラックと干渉するのでだいたい外しているのですが、これだとギアラックが増えるので今後は積極的に使っていこうかと思いました。「アイゼンポケット」、最高でした!重たいアイゼン袋を持たなくていいのが幸せです。ただ、アイゼンポケットをコンプレッションするストラップが5本も有るのはちょっと多すぎるような…。

 サイドのコンプレッションストラップのプラパーツが全てバックルになっているので、マット等挟み込むのがやりやすくてよかったです。マット半身用で足元はザックを敷いているので、雨蓋もバックルですぐに外せてテント内ですごく便利。ただ、バックルのオスの形状が他のベルトに引っかかることがあります。先端の三角形のスリット部分に他のベルトが引っかかってしまうことも。

 「アルピニステジャケット」は軽くて着心地がよいので、ずーっと着ていられます。テント生活でも着続けられ、着たまま寝られるので楽です。全体的に細身ですが、脇の下部分はゆとりがあって腕上げがとても良いです。長めの袖で突っ張る感じもなし。裾も程よい長さでハーネスをしても捲れ上がることもなかったです。

 ただ、なんとなく汚れやすい生地な感じがしました。耐久性も少し不安です。薄いので不意にひっかけて穴空きそう。あと、歩いているとジャケット手首についているリフレクターの反射がけっこう気になりました。デザインのアクセントにはなりますが、至近距離で反射物がチラチラ視界に入るのは結構気になりました。

 「アルピニステパンツ」はまず生地が薄いと思いました。インナースパッツがなく、細身です。軽くて着心地がよいのでずーっと着ていられる感じで、着たまま寝られるので楽です。足の曲げやすさ、足上げについて、細身なのにすごく良かったです!クライミング中も違和感は全くなしでした。生地のストレッチも効いている。サイドジッパーも全く気になりませんでした。ただ、サイドジッパーは山でフルオープンしたことがないので、要らないと思っています。重いし。

 トイレのしやすさは、小については、ダブルジッパーで下から開くのでハーネスを履いたままでもすごくやりやすいです。ベンチレーションとしても下から開くので超便利。ただ、「チャックが長くて見た目が変!」と山岳会の先輩から指摘が。私は便利だと思っていますが。大のほうも、サスペンダーの吊りの位置がよく、上からサイドのジッパーを下げてペロンと前に持ってきて、全く問題なしでした。 ただ、パンツにインナースパッツが無いのは、どういう意図なんでしょうか?ゲイター併用を前提としているのでしょうか?インナースパッツがないのでスキーで使えないのが残念です。

定評のあるザックメーカーらしく、シンプルで使いやすいアイテム!

 今回のような日帰り山行に60リットルのザックは当然大きすぎですが、しっかりとコンプレッションして、雨蓋を本体に収納してしまえば、何の違和感もなく使えました。荷物が少なくても使いやすいのはいいザックの特徴ではないでしょうか?特にアックスの固定方法は他では見たことのないタイプで、結構しっかりと固定できて気に入りました。流石定評のあるザックメーカーだな!と思いました。

 「アルピニステジャケット」「アルピニステパンツ」は細身でカタチがとても良い、動きやすい、疲れない。パンツはサスペンダーのおかげで背中も出にくい。今回試したアイテムは一貫してシンプルなのが気に入りました。どの製品も使っていてとても良いので、ぶっ壊れるまで使い倒します!