ultimate project 気鋭のクライマーと挑む、新たな取り組み 世界の名だたるクライマーの要望を具現化してきたカリマーからトップクライマーと共同開発した新レーベルが誕生。ultimate = 極限まで、もっと高みへと運んでくれるプロダクトに迫る。 辻 歌=文 山田 薫=製品写真 カリマー=写真提供 ultimate project 気鋭のクライマーと挑む、新たな取り組み 世界の名だたるクライマーの要望を具現化してきたカリマーからトップクライマーと共同開発した新レーベルが誕生。ultimate = 極限まで、もっと高みへと運んでくれるプロダクトに迫る。辻 歌=文 山田 薫=製品写真 カリマー=写真提供
モニターレポート
耐久性と軽量化のバランスを考え尽したザック
ウェアはアンダーウェアとの摩擦が少なく動きやすい
安心感のあるアイテムで安全に登山できる
ニックネーム :
野崎昭寿さん (40代、男性)
登山歴 :
6年
登った山 :
阿蘇根子岳(日帰り)
使用アイテム :
アルティメイト35/アルピニステジャケット/アルピニステパンツ
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ニックネーム :
野崎昭寿さん (40代、男性)
登山歴 :
6年
登った山 :
阿蘇根子岳(日帰り)
使用アイテム :
アルティメイト35/アルピニステジャケット/アルピニステパンツ
  • ■ 阿蘇根子岳のバリエーションルートでも快適なジャケットのピットジップ
  • ■ しっかり体にフィットして、疲れ知らずの背負い心地の「アルティメイト60」
  • ■ 使っていることを忘れてしまうほど、良い装備

阿蘇根子岳のバリエーションルートでも快適なジャケットのピットジップ

 12月29日、阿蘇根子岳へ行ってきました。今回登る南峰南尾根は、大戸尾根登山口を出発し、地獄谷を南峰直下まで詰め南尾根に乗り、天狗峰のコル付近まで縦走するルート。今ではあまり使われることがないために荒れた個所が多く、気軽に足を踏み入れることができないバリエーションルートです。出発時7時20分の気温は1℃。「アルピニステジャケット」の下にはベースレイヤーとフリースの2枚、パンツの下はウールのタイツですが、晴れて風がないために寒さを感じません。地獄谷を歩く間は装備を全てザックの中に入れ、重量は約10kgですが、さほど疲れるほどの重さを感じません。

 地獄谷のガレ場を2km歩き、標高を300m程上げたところで南尾根に取り付きます。太陽も昇り、気温は4℃ほど。ハーネスを装着し、クライミングに備えた準備をする際、暑さを感じたため、脇下と胸のピットジップを全開にしました。大きな岩を何個かよじ登った後は、ズルズルと滑るザレた急登にバイルを打ち込みながら登ります。運動量が増え体温が上がっても、全開したピットジップで蒸し暑さを感じることはありません。そしていよいよ、このルートの核心部である岩峰に到着。触る岩触る岩がグラグラと動くものですから、ヒヤヒヤしながら登ります。天狗峰コル直下、最後の壁は灌木藪です。堅い枝に身体をねじ込みながら斜面をよじ登るのですが、「アルティメイト60」はサイドポケットも本体と同じ高強度のラミネートファブリック、フロントのアイゼンポケットも厚手の生地を使用しているので、引っかかりを気にすることなく遠慮なく藪に突っ込むことができます。

 そして遂に天狗峰のコルへ到着!コルまで登り詰めると冷たい風が吹いています。藪の急登はハアハアと息が切れるほどの運動量でしたが、ピットジップの換気が良く効き、休止していると寒いくらいです。思ったより時間がかかったため、天狗峰のピークは諦めて日ノ尾峠に下山を開始します。日ノ尾峠までの下山路も2カ所ほどロープを出す場面がありましたが、怪我もなく無事に下山することができました。

しっかり体にフィットして、疲れ知らずの背負い心地の「アルティメイト60」

 「アルティメイト60」はアルパインクライミングに特化したザックとはいえ、背負い心地を左右する装備は一切省くことはなく、しっかり身体にフィットするように調整できます。適度な厚みのショルダー、ウエストストラップ、チェストストラップに肩口のスタビライザーなど細かな調整ができ、疲れ知らずの背負い心地でした。背面にはカマボコ状の凹凸があるモールドバックパネルと、内部のスリーブポケットに内蔵された取り外し可能なFformatを装備しているので、内容物がゴツゴツと背中に当たることもありません。

 生地のラミネートファブリックは、ハリのある素材で格子状の補強がうっすらと透けて見え、デザイン面でのアクセントにもなりカッコいいです。シームテープ処理はしてないので大雨や、長時間の雨にうたれると縫い目からの浸水があると思います。ちなみに帰宅後ためしにシャワーをかけて洗浄した際にはザック内への浸水はありませんでしたが。

 ショルダーとヒップベルトにある「ギアラック」は、クライミングギアの携帯はもちろん、いろいろな小物を携帯するのにも重宝しました。バイルをショルダーの「ギアラック」にセットして歩き、必要なときはすぐに取り出すことができ非常に便利でした。「アックスホルダー」の固定用金具の脱着を冬用の厚手のグローブをした状態で試してみたのですが、問題なく操作できました。「アイゼンケースポケット」は、左右4箇所のストラップを調整することによってさまざまなサイズのアイゼンを収納することができます。ポケットは厚手の生地で、ザック側の生地もゴム張りで強化されています。

 残念なのはサイズ展開が1種類しかないこと。背面長が調節できない仕様は使う人を選ぶなと思います。購入時はハーネス装着を想定した試着が必要だと感じました。

 「アルピニステジャケット」の肩まわりは3Dパターン設計された立体裁断で、特に脇下からサイドのラインが腕上げを邪魔しないようにゆったりと作られています。一方、冬用のジャケットにありがちなぼってりしたデザインではなく、ウエスト周りがハーネス装着時のことを考えられたスマートなシルエットです。ハーネスを着用した状態での腕上げもサイドが引っ張られることはありません。また、内張りの生地の滑りもよく、アンダーウェアとの摩擦が少ないと感じました。今回の山行は、岩に乗り込む際に肘や腹部を擦りながら登ったり灌木の藪に突っ込んだりと、かなりハードでしたが、帰宅後洗濯をしながらチェックしたら生地の破れ裂けはありませんでした。

 フードの顔周り頭周りはコードで細かく調整し、庇の高さの調整は後頭部にあるマジックテープでの調整ができます。フロントジップ上部の口にあたる部分にはパンチングメッシュの生地があり、呼吸をサポートしつつスノーシャワーや風を防ぎます。このシステムはメガネやサングラスの曇りを抑えるのに大変効果的でした。ピットジップの使い勝手は「最高!」。開け閉めがまさに「秒で」完了します!サイドに斜めに配置されたベンチレーションは左右それぞれのジッパーをつまんで、シャーっと下げるだけ。急登から稜線に出て一休みするときにサッと閉めることができるので、体温の調整が非常に楽でした。

 完璧なジャケットですが、左右の胸ポケットの中に、フードのフィット感を調整するコードがあり、ポケットに入れたスマホなどを取り出すときに一緒に飛び出すことがありました。それを戻す作業にストレスを感じました。

 「アルピニステパンツ」の膝付近は足を入れるとき引っ掛かるほどの細さですが、はいてみると窮屈さはまったく感じませんでした。サスペンダーのロック機構もパチンと気持ちよく動き、簡単に着脱ができます。インナーにメリノウール中厚手をはいていたのですが、暑くて蒸れることは一度もありませんでした。内張りの滑りの良さと、膝回りのカッティングパターンのおかげで、足上げ時の抵抗は全くありませんでした。

 エッジガード部分はケブラーで補強され、強度を高めるのはもちろん、汚れが落ちやすいというメリットも感じました。フロントはダブルジッパーで下からでも開けることができるので、ハーネス装着時でもトイレに困ることはありません。驚いたのはサスペンダーを付けたまま、サイドジッパーを開くとお尻を出すことができる機能。これはすごく便利!寒い中上着を脱ぐことなくトイレに行けるので、特に女性には嬉しい機能だと思います。

 1つだけ気になったのはフロントジッパー上部のホックです。このホックは横にスライドさせて外すタイプなのですが、普通のホックと思い力任せに外そうとしても外れず、スライドさせることに気づかなかったら危うく破損させるところでした。

使っていることを忘れてしまうほど、良い装備

 「アルティメイト60」は耐久性と軽量化のバランスを考えつくされたザックだと思います。アルパインでの使用と、60リットルという容量を考えるとザック本体の生地の厚みや、背負い心地に直結するショルダーハーネスやヒップベルトのパッドの厚みは十分でした。「アルピニステジャケット」は耐久性、蒸れの少なさ、動きやすさ、サイズ感、どれをとっても文句なしの使い心地。「アルピニステパンツ」は足上げなどクライミングのムーブを一切邪魔することなく、スタートからゴールまで、どんな状況でも対応できるパンツです。

 今回の山行で感じた装備に対する安心感はとても心強かったです。良い装備というのは使っていることを忘れてしまうので、山行に集中できます。今回のアイテムはもちろんヘビーローテーションで大切に使わせていただきます。