移住・定住でかなえるマウンテンライフ
北アルプス・後立山連峰の山麓に暮らす
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北アルプス・後立山連峰の山麓に暮らす
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北アルプス・後立山連峰の山麓に暮らす
移住・定住でかなえるマウンテンライフ
北アルプス・後立山連峰の山麓に暮らす
写真=渡辺幸雄、矢島慎一、熊野淳司 取材=大関直樹 概念図=神田めぐみ
協力=北アルプス広域連合(大町市、池田町、松川村、白馬村、小谷村)、大町山岳博物館 編集・制作=ヤマケイオンライン

最新情報

北アルプス、後立山連峰から常念山脈につながる北アルプスの峰々の麓にある5つの市町村。
晴れたら北アルプスの山々を見上げることができ、澄んだ空気のなか、
四季の変化を日々感じながら、自然豊かな暮らしを実現することができる。
この地域に移住した人たちに話を聞きながら、北アルプス山麓の暮らしの魅力を探る。

北アルプスの懐、後立山連峰から常念山脈に連なる峰々の東側に、北から小谷(おたり)村、白馬(はくば)村、大町(おおまち)市、松川(まつかわ)村、池田(いけだ)町という、5つの市町村が広がる。北アルプスの玄関口として、様々な山にアプローチすることができるこの地域に、立ち寄ったことがある人も多いだろう。

豊富な積雪量で大きなスキー場をいくつも抱える白馬村、小谷村は、日本でも有数のウインタースポーツの聖地。青木湖、中綱湖、木崎湖の仁科三湖を抱え、立山黒部アルペンルートの長野県側の玄関口にもなっている大町市は、この地域で最も大きな市町村だ。

その南側の池田町、松川村には、安曇野ののどかな田園風景が広がっている。町の東側には標高1000mほどの山が連なっていて、山岳地から、高原、里山、田畑、市街地へとつながっている。

5つの市町村はいずれも空気が澄み、山から流れ出る豊富な水が田畑を潤し、美味しい農産物に恵まれている。また、四季折々、様々なアウトドアの遊びが楽しめ、温泉地もいくつもあり、自然の恵みを感じながら暮らすことができる。

長野市、松本市のどちらにも、車で1時間ほどで移動できる「ちょうどいい田舎」な地域なのだ。

 
データで見る5市町村 *人口は2022年4月1日現在のものです
  小谷村 白馬村 大町市 松川村 池田町
面積 約267km² 約189km² 約565km² 約47km² 約40km²
人口 2,680人 8,452人 26,237人 9,639人 9,489人
役場標高 516m 700m 726m 613m 604m
登山にもウインタースポーツにも! アプローチが圧倒的に近い!

この5市町村からアプローチできる北アルプスの主な山を挙げてみよう。

小谷村の栂池自然園からのアプローチでは、白馬乗鞍岳、白馬大池を経由して小蓮華岳へ。白馬村から正面に見える白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳の白馬三山、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、針ノ木岳、蓮華岳、船窪岳とつながっている。大町市の高瀬ダムから裏銀座縦走路へ進めば、烏帽子岳、野口五郎岳となるが、地図をよく見れば、実は三俣蓮華岳も双六岳も槍ヶ岳も、半分は大町市の市域だとわかる。餓鬼岳も大町市からアプローチできる。安曇野のシンボル・有明山は、松川村、池田町からよく見える。また、山域が異なるが、小谷村の北には、日本百名山の雨飾山がある。主な山の名前を挙げただけでも名山の多さに驚くが、この地域に住む人たちにとっては、車で30分程度でアプローチできる、というのがなんとも羨ましい。冬はスキー場へも近いし、その数もスケールも圧倒的だ。

夏の朝、天気が良ければ山へ。冬、良い雪が降ったからスキー場へ…。そんなアウトドアライフが実現できるから、登山・アウトドア好き、スキー・スノーボード好きが、移住して集まってくる。

自然が豊かな地域だから、川や湖での釣り、カヌー、SUP(Stand Up Paddleboard)、空の遊びではパラグライダーなどもある。冬はスキー場だけでなく、スノーシューで遊ぶ人も多い。

小谷村、白馬村、大町市の北部では、冬の降雪量はある程度考えておく必要があるが、大町市の中心から南、松川村、池田町あたりでは、それほど雪は降らないので、ライフスタイルに合う暮らし方を選択できるだろう。

*スキー場の数 10カ所(小谷村3、白馬村5、大町市2)
*キャンプ場の数 32カ所(小谷村7、白馬村11、大町市12、池田町1、松川村1)
*温泉の数 29カ所(小谷村10、白馬村11、大町市7、松川村1)

「移住してみたいな」と思ったら、具体的にどうしたらいい?
移住するにあたっては、「アウトドアを楽しみたい」「自然あふれる環境で子育てをしたい」「半農生活にチャレンジしたい」など、自分と家族の「移住に対する条件」をリストアップすることから始めよう。そうすることで、どこの都道府県に移住したいのか、移住するのがよいか、移住先の候補地が絞れるはずだ。

候補となる移住先が見えてきたら、候補地に関する情報を集めてみよう。現在は、移住に必要な情報が一元化されているポータルサイトが多いので参考にするとよい。長野県を移住先の候補と考えているなら、「楽園信州」(https://www.rakuen-shinsyu.jp/)をのぞいてみよう。

ウェブサイトやSNSで集められる情報には限界もあるので、候補地を市町村単位で絞り込んだら行政の移住相談窓口にメールや電話で移住相談を申し込んでみるのがおすすめだ。ここで紹介している長野県の小谷村、白馬村、大町市、池田町、松川村の5市町村で構成される事業組織「北アルプス広域連合」では、“オンライン移住相談”を開催しており、2022年度のオンライン移住相談会は2022年7月から2023年3月の第3日曜日が開催日となっている(12月のみ第2日曜日開催)。申し込みは以下のサイトから希望開催日程のリンクに飛んで申し込む。
https://note.com/kitaalps2022/n/n2ed3d9e02a18

ZOOMを使った移住相談では、先輩移住者でもある移住相談アンバサダーが移住に関するさまざまな相談に乗ってくれる。オンライン移住相談に申し込んだら、自分の希望するライフスタイルなど、移住に求める「条件」を整理しておこう。また、必要な生活費や職探しなど、疑問や不安に思うことは率直にアンバサダーに聞いてみてほしい。

移住したい!と思う町が見つかったら、必ず下見に行くことが大切だ。土地の雰囲気を肌で感じ、住民や移住体験者と直接触れ合うことで初めて分かることがたくさんあるはずだ。行政が主催する「移住体験ツアー」や「お試し住宅」を利用するのもおすすめだ。

まとめ=大関直樹・ヤマケイオンライン編集部
移住理由も考え方もそれぞれ! 移住のヒントがたくさん!
北アルプスの麓に暮らす5人の先輩移住者に聞く
5つの市町村から5人の移住者に集まっていただき、座談会形式で移住についての話を聞いた。移住歴も生活環境も仕事も違う5人だが、先輩移住者の言葉のなかに、これから移住を考える人にとって必ずヒントがあるだろう。
 座談会を見る
豊かな自然のなかで、子どもも大人も充実の暮らし

市町村の規模から、大町市に件数が多いが、買い物に不可欠な大手スーパーのチェーン店、ドラッグストア、生活用品店は、主要道路沿いにある。地域にお店のない場合でも、昨今のインターネット通販の発達によって、不便さは感じないだろう。

また、登山・アウトドア用品に限って言えば、山岳リゾートの白馬村に、好日山荘 のほか、THE NORTH FACE、mont-bell、patagonia、snow peakの直営店がオープンしている。小さい規模の専門店もいくつか見られる。長野市、松本市まで行けば、買えないものはないだろう。

医療について見れば、各市町村にある病院、診療所のほかに、入院施設のある大きな病院としては、市立大町総合病院(大町市)、北アルプス医療センターあづみ病院(池田町)があり、ほかに、信州大学附属病院(松本市/ドクターヘリ配備)、県立こども病院(安曇野市/高度な小児医療体制)などが近隣市に存在する。

子育て中、あるいはこれから子育てをするという家庭にとって、教育環境も気になるところだが、未就学児の保育については、5市町村全体で、24園(幼稚園1、認定こども園8、保育所8、認可外保育園7)あり、そのうち、野外教育・アウトドア教育を推進する長野県の取り組みである「信州やまほいく」の認定団体が14園となっている。大町市では古くから山村留学制度で、全国から生徒を預かり、育成している実績もある。

小・中学校でも、地域によって、ICT教育(白馬村・大町市)、英語教育(小谷村・大町市)、姉妹都市への海外ホームステイ交流(大町市、松川村、小谷村)などの取り組み事例がある。地域住民向けに親子で自由に利用できる施設(児童センター/大町市、子ども未来センター「かがやき」/松川村)のほか、公民館などの施設で行なわれる子育て支援(親子教室/大町市、家庭教育学級「ぽれぽれ塾』/池田町)や、住民同士の地域コミュニティがある。

移住支援制度も、市町村でそれぞれ行なわれている。起業支援、就農支援、住宅取得・建築の補助金などのほか、移住者にとりあえずの住居を提供する移住準備住宅(池田町)、定住促進住宅(大町市)、移住お試し住宅(松川村)、移住お試しで利用できる農山村体験交流滞在型施設(小谷村)などの制度があり、ホームページや移住パンフレットに掲載されているので、ぜひ調べてみよう。


豊かな自然のなかで子育て(野外保育 風の森/大町市)

子どもが自由に過ごせる子育て拠点施設(松川村)

多世代で様々なスポーツを楽しむクラブ活動(池田町)

ブランド直営店が集まる山岳リゾート(白馬村)

地域の暮らしを体験できる移住お試し住宅(小谷村)
 
移住の第一歩「地域おこし協力隊」
「地域おこし協力隊」とは、地方の市町村が都市住民を隊員として採用し、1~3年の間で、その地域で生活し活動を行なうという制度。任期中に、地域の事情を知り、人脈を広げ、仕事を探したり、次のステップに進んだりする人が多い。まちづくり、観光、特産品の掘り起こし、農業支援、移住支援などの仕事がある。珍しいところでは、大町市が3年に一度行っている「北アルプス国際芸術祭」の業務に従事する、というものもある。座談会に参加いただいた白馬村の大石さんは、地域おこし協力隊員として移住支援に携わっている。大町市の小澤さんも、「北アルプス国際芸術祭」の地域おこし協力隊員となって移住し、その任期を終えて、農業法人へと転職している。
田んぼに映る北アルプスの山並み(松川村)
古民家の屋根雪下ろし(小谷村)
大峰高原にある七色大カエデ(池田町)
りんりんパークで遊ぶ子どもたち(松川村)
豊かな自然と文化を体験する山村留学(大町市)
日本有数の豪雪地帯はパウダー天国(小谷村)
郷土を表し後世に伝える響岳太鼓(松川村)
地域医療の中核となる大規模病院(池田町)
生活に欠かせない大型スーパー(大町市)
展望抜群! あづみ野池田クラフトパーク(池田町)
雪景色の有明山(松川村)
実りの秋に見られる光景(大町市)
特産品を扱うハーブセンター(池田町)