高橋庄太郎さんがテスト!
ミレーの“新定番”ザック
「サースフェーNX」の
実力とは
高橋庄太郎さんがテスト!
ミレーの“新定番”ザック
「サースフェーNX」の
実力とは
ミレーの定番「サースフェー」が
さまざまな機能をさらにブラッシュアップし、
「サースフェーNX」として登場!
その実力を詳しく探ってみた。
- 文
- 高橋庄太郎、
- 写真
- 矢島慎一、
- 協力
- ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン
- [PR]
- 2023.09.27
SAAS FEE NX 40+5
- 価格
- 29,700円(税込)
- カラー
- ディープレッド(写真)など3色
- サイズ
- M、L
- 重量
- 1560g(Mサイズ)
あのベストセラーは
どのように進化したのか?
ミレーのサースフェーは山中でよく見かけるザックだ。それもかなり古いタイプからディテールが異なる比較的新しいタイプまで微妙に異なるモデルが混在している。つまり、代々リニューアルを続けながら、多くの登山者に愛用されてきた大定番なのである。
こんなサースフェーの最新モデルがサースフェーNXだ。NXとは“ネクスト”という意味らしく、僕はこの言葉からも今回のミレーの意気込みを感じずにはいられなかった。
今回のリニューアルによって進化したポイントは数多いようだが、とくに注目したいのは撥水性、フィット感、通気性などの点だ。僕個人としては、各部ポケットの使いやすさの進化の様子なども大いに気になっている。
そんなわけで、実際に山中でテストした際の感想を述べていきたい。
TESTER
TESTER
高橋庄太郎(たかはし・しょうたろう)
山岳・アウトドアライター。著書に『テント泊登山の基本テクニック』(山と溪谷社)など多数。山と溪谷オンラインでの連載「高橋庄太郎の山MONO語り」は今や第100回を超えている。
背負いやすく、
細部の工夫も考えられている
さすがは多くの登山者に愛され続けてきた名品だ。最新作のサースフェーNXもこれまでの伝統を受け継ぎ、当然ながらリニューアルされても背負い心地はすばらしいままであった。じつのところ、フィット感に関しては、僕は背負ってみるまでは少し懐疑的だった。サースフェーNXは背面長を調整できないのだから、フィット感が高いといっても限度があるのではないか、と。だが、実際に背負ってみると、まったく違和感はない。もともとの設計がしっかりとしているうえに、各部のストラップでうまく微調整できるからだろう。疑って悪かった! ただし、大前提として自分に適した正しいサイズを選ぶことが重要である。
背面とハーネスのパッドは非常に柔らかで、体へのなじみがいい。サースフェーNXにはMとL(女性用にはS)サイズがあり、自分の体に合う背面長やハーネスのサイズを選んだうえで、各部のストラップで使う人の体に合わせて微調整する。
また、本体と背中の間に空気が通る構造のため、背中に熱がこもらず、汗かきの僕でも発汗量が少なかったのも好印象。かいた汗も迅速に乾燥していくような実感があった。各部のポケットの充実ぶりは予想通りで、とくに旧サースフェーから継続採用されている拡張可能なサイドポケットは、便利の一言。サイドポケットの深さを左右で変えているのには少々驚いたが、これはサースフェーNXをより優れたものにするためのミレーの挑戦心の表れに違いない。サースフェーNXはやはり進化する定番なのであった。
体に吸い付くフィット感
背負ってみるまでは少々不安だったフィット感は、まったく問題なし。肩から背中、腰まで過不足なくフィットし、どこか1カ所に負担がかかることもなかった。各部パッドには適度な硬さもあり、クッション性が高いことも気に入った。
使いやすい2気室構造
荷室内部が上下に分けられ、下部のファスナーからも荷物を取り出せる2気室構造。これ自体は珍しい特徴ではない。だが、サースフェーNXはその間仕切りのパネルの位置をストラップで自在に変えられるのがユニークで、より使いやすくなっていた。
アイデアが光るストラップ
サースフェーNXの大きな特徴は、ストラップの工夫ある使い方だ。サイドのストラップはフロントでも固定でき、大きなものもしっかりキープ。また、腰元のストラップを引くと、フィット感が高まると同時に荷物が体に引き寄せられ、背負いやすくなる。
開きやすいメインの荷室
荷室へのアクセス部分は巾着式。そこに付けられたループに指をかけ、コードが付いたパーツを引くと、荷室が瞬間的にオープン! この素早さと簡単さはうれしい。開口部も広く、モノの出し入れは非常にしやすかった。
ユニークなウエストのポケット
ヒップハーネスの上には左右にポケットが備わる。右側のポケットは折りたたみ式で、広げると倍のサイズに。登山地図やスマートフォンなどを余裕で収納でき、非常に便利だ。以前のサースフェーにも採用されていた特殊ポケットだが、NXにも引き続き使われていてよかった!
左右で深さが異なるサイドポケット
サイドポケットは左右で深さが異なるのがおもしろい。試しに1Lボトルを入れてみると、深いほうでは確実にホールドできたが、浅いほうは落としやすそうだった。だが、トレッキングポールなどは浅いほうが取り出しやすい。キープしたいものに合わせ、左右を使い分けるとよさそうだ。
うれしい付属レインカバー
サースフェーNXにはレインカバーが付属。近年はレインカバーをオプション品として別売するメーカーも多いが、サースフェーNXならば、別途買い足す必要はない。色は視認性が高いイエローで、薄暗い降雨時でも安全性を高めてくれそうだ。
拡張するリッド(雨蓋)
リッドの後部には大きなパネルが付けられていて、本体と連結している。そのために15㎝ほど高さが拡張でき、ロープなどを挟み込んで固定できる。僕はリッドの下にヘルメットを収納してみたが、丸みを帯びた形状のものでも収まりはよかった。
便利に使えるチェストポケット
最近のザックにはチェストハーネスの上にポケットを付けたものが増えているが、サースフェーNXも同様。伸縮性のメッシュで500ml程度のボトルがすっぽりと収まり、ドローコードで固定できる。このコードは片手で引くだけで引き絞ることができ、とても使い勝手がよかった。
隠された
ジッパーサイドポケット
浅いほうのサイドポケットの上部には長いファスナーが取り付けられていて、大きなポケットになっている。マチがあって見た目以上にモノが入るので、今回のテスト山行のとき、僕は不意の降雨に備えてレインウェアを入れていた。“すぐに取り出したい”ものを入れるには絶好のポケットである。
総括
初めての人にも、
旧タイプのユーザーにも
サースフェーNXは、期待を裏切らないザックだった。細部にわたる工夫と実用性はかゆいところにまで手が届き、初心者でも安心して購入できる。一方、これまでのサースフェーを使い続けてきたベテランにも新しいサースフェーNXを試していただきたい。より進化した背負い心地や収納性に、あらためて惚れ直すだろう。
快適さを実現した3つのポイント
撥水性
本体の表面には繊維が細やかなコーデュラナイロンが使われ、つるっとした質感。シリコン加工によって撥水性が驚異的に高くなり、耐水圧は1500㎜にも。これはテントのフライシートにも匹敵するという数値である。
フィット感
人間工学を基に設計されたショルダーハーネスは柔らかく体に沿い、フィット感を強化。また、サースフェーは中型モデルながら大型モデル並みのヒップハーネスで腰へのフィット感を高め、荷重を効果的に分散させている。
通気性
本体の背面部分を内部のフレームによってわずかにたわませ、その上にメッシュ生地を張っている。これにより本体と背中の間に空気が抜けるスペースが生まれ、すばらしい通気性を確保。背中の汗は素早く乾燥していく。
お問い合わせ
ミレー・マウンテン・グループ・
ジャパン
050-3198-9161
https://www.millet.jp/