2022年開催「信濃大町移住見学会」レポート

写真・文=ヤマケイオンライン編集部


山好きのための信濃大町移住見学会


2022年10月29日(土)~10月30日(日)開催

鷹取山から望む信濃大町と後立山連峰

鷹狩山から望む大町市と後立山連峰

北アルプスが間近に見える大町市へ

ふと顔を上げると見えるのは北アルプスの雄大な山並み。後立山連峰を間近に望む山岳都市・大町市は、登山やスキー好きにはたまらないまちで、全国の移住希望者から注目を集めている。山と溪谷社と大町市は、2020年から継続して開催している「信濃大町移住見学会」を今年も開催。今回は20代から50代の9名が参加した。集まった参加者の参加動機は、「大好きな北アルプスの麓に住んでみたい」「移住のイメージをより具体的なものにしたい」など、移住を真剣に検討している様子がうかがえた。

大町市の全体像をつかむ

見学会は、大町山岳博物館の見学からスタート。参加者は登山経験者ということで、博物館の展示物にみな興味津々。展望フロアにある大町市周辺を描いた地図で、このエリアの地形や気候について、大町市役所のスタッフからレクチャーを受けた。西に北アルプス、東に1000m級の山に挟まれた大町市は、住むエリアによって冬の積雪状況や公共施設へのアクセスの利便性が異なる。地図を指し示しながら、エリアの特徴を語るスタッフの言葉に、参加者は真剣に耳を傾けていた。

信濃大町移住見学会の様子

大町市周辺を示した地図を眺める参加者

信濃大町移住見学会の様子

大町山岳博物館にはこのエリアに生きる動物たちが紹介されている

景色はいいし、水がおいしいまち

その後、今年オープンした「三俣山荘図書室」へ移動。「『山と人と街』を結びつける」をコンセプトに作られた図書室は、コーヒーを飲みながら自然やアウトドアに関する本を楽しめる憩いの場だ。三俣山荘図書室で働く永澄祭さんは、2019年に京都から移住してきた、いわゆる先輩移住者で、参加者に日々の暮らしを伝えてくれた。「景色はいいし、水がおいしい。とてもポテンシャルの高いまちだと思っています」と語る永澄さんの話に、参加者も移住のイメージが膨らんだようだ。

信濃大町移住見学会の様子

三俣山荘図書室で永澄さん(写真中央)からお話をうかがった

三俣山荘図書室

山岳書やカメラなどが展示されている

大いに盛り上がった交流会

三俣山荘図書室を見学した後は、古民家めぐりを経て、今夜の宿である「やまく館」へ。信州のニジマスの焼き魚やリンゴの天ぷらなど、地元の食材を使った夕食を堪能した後に、2組の先輩移住者との交流会が開催された。「やっぱり仕事が心配」「冬はどのくらい光熱費がかかるのか」「ご近所付き合いで大変なことはないか」など、参加者からさまざまな質問が飛ぶ。

「仕事は、地元の方とのご縁で紹介してもらえました。住宅も紹介ですね」

「冬のガス代は都会よりかかるかもしれませんが、年単位で光熱費を考えると都会暮らしと変わらないですね」

「思っていたより地元の人は温かいし、いろいろと助けてくれます」

など、先輩移住者は丁寧に質問に答えていく。

移住しないと分からないさまざまなトークに、参加者も大いに盛り上がった。

信濃大町移住見学会の様子

参加者の移住に関する悩みに答えていく先輩移住者の池田さん一家

「移住は引っ越し」

翌日は、2016年に大町市へ移住し、りんご農家を営み、大町市の定住促進アドバイザーも務める塙慎一さんを訪問。塙さんが育てたりんごはちょうど食べごろで、3種類のりんごを堪能した。塙さんは「移住は引っ越し」という考え方を伝えてくれた。

「『移住』というものを難しく考えすぎずに、自分の住みたいと思った場所に引っ越しするぐらいの気持ちでいいと思います。大町市は行政が移住者の受け入れに積極的なので、不安があれば相談にのってくれますよ」(塙さん)

信濃大町移住見学会の様子

塙さんの農園からは北アルプスの山並みがきれいに見えた

信濃大町移住見学会の様子

先輩移住者として参加者にアドバイスを送る塙さん

彩り豊かな鷹狩山へハイキング

りんご園を後にし、北アルプスの大展望が望める鷹狩山へハイキング。紅葉シーズンで木々は赤に黄に染まっており、参加者も感嘆の声を上げていた。あいにくの曇天で山頂から北アルプスの稜線は見えなかったが、大町市の全景を見渡すことができた。

信濃大町移住見学会の様子

鷹狩山は紅葉の最盛期だった

2日間の見学会を終えて

ハイキングを終えた後は、移住者交流会に参加。新米のおにぎりと豚汁をいただきながら、大町市の住民のみなさんと大町市の生活について話す機会が設けられた。交流会の後に、市役所にて閉会式が行なわれた。最後に見学会を終えての感想を、参加者に聞いてみた。

「山好きのみなさんと一緒にいろいろ見て回れて楽しかったです。人とのご縁が大事だと思いました」(20代女性)

「今までぼんやりと考えていた移住の具体的なイメージを持つきっかけになりました」(50代男性)

「移住は定年後を考えていましたが、先輩移住者の話を聞くうちに、少しでも早いうちから移住した方が長く楽しめるのでは、と思い直すようになりました」(40代女性)

非常に好評な見学会となった。なお、大町市の先輩移住者のインタビュー記事を下記に掲載しているので、そちらも参考にしつつ、大町市への移住を検討してみてはいかがだろうか。

信濃大町移住見学会の様子

大町山岳博物館前の展望地で記念撮影