鷹狩という自然との駆け引きに人生のすべてを費やした彼の生き方とは。
鷹とともにアメリカの大自然を生きる、
ひとりの鷹使いを追ったドキュメンタリー映画。
パタゴニアが上映会&トークショーを開催。
パタゴニアの最新映画『Game Hawker』のテーマが「鷹狩」だと聞けば、多くの人が「意外な組み合わせ」だと感じるのではないだろうか。だが、映画を見終わったあとには、アメリカにおける鷹狩と同社との深い関わりを知り、パタゴニアがなぜこの作品を作ったのか、納得できるはずだ。
本作の主人公、ショーン・ヘイズは、カリフォルニアを拠点に鷹狩を行なう黒人ファルコナー(鷹匠)だ。
鷹狩の起源は4000年前の中央アジアから西アジア周辺といわれ、その後、東アジアやヨーロッパ、アメリカへと伝わり、それぞれの地域で独自の発展を遂げてきた。日本では、天皇や徳川将軍家など権力者たちに愛好されたり、東北の農村で冬の間の猟の手段として受け継がれてきた歴史があり、今でも伝統文化の継承や趣味として鷹狩を行なう人々がいる。かたやアメリカの鷹狩は、猛禽類の保護と強く結びついてきた。
1960年代、DDTなどの農薬の影響で、アメリカではハヤブサが絶滅の危機に瀕していた。それを救ったのが、ファルコナーたちだった。彼らは鷹狩で得た知見を生かし、卵を保護して人工的にふ化・飼育したのち、野生に戻す活動を行なってきた。そのファルコナーのグループに、パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードも属していた。彼は、崖の中腹にある巣へ下りていくためにロープワークを学び、それがのちにロッククライミングへの興味につながっていく。つまり、鷹狩は同社のルーツのひとつだともいえるのだ。
「鷹匠は救世主」――映画で語られるこの言葉からは、アメリカの自然保護において、ファルコナーがいかに大きな役割を果たしてきたかがわかる。そんなアメリカのファルコナーの系譜に、ショーンも連なっている。彼は鷹狩を通じてハヤブサに狩りの仕方を教え、1〜2年で野生に返している。鷹狩とは人と鳥とが信頼し合ってこそ、成立する行為である。ショーンは猛禽類を「気高い生き物」と呼ぶ。彼にとって鳥は、ペットや狩りの道具ではなく、心を通わせたパートナーなのだ。
狩りのあと、ハヤブサを腕に据え、山々に囲まれた原野を歩いていくショーン。「満足したか?」と彼はハヤブサに声をかけ、ハヤブサも返事をするかように鋭い鳴き声を発する。
ショーンの言葉や生き方は、見る者に「自然との共存」について深く考えさせる。どちらかがどちらかを一方的に利用したり、依存するのではなく、対等かつ相補的であること。人と自然や野生動物とが、ともに生きることの、ひとつの真の姿が、この映画には描かれている。
文=谷山宏典 写真=パタゴニア
鷹狩に生涯を捧げる黒人ファルコナー(鷹匠)ショーン・ヘイズの映像と、日本の東北地方における民俗としての鷹狩りをいまなお実践する鷹使い・松原英俊氏の語りを通じて、人間も自然の一部であり、野生動物と共存していることを思い出す―。
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