雪山登山から春夏の山まで対応。 パタゴニアのアクティブ・インサレーション・ウェア 「ナノエア・ウルトラライト」登場
- 文
- ホーボージュン、
- 写真
- 中村文隆・中村英史、
- デザイン
- 谷口みずも、
- 協力
- パタゴニア日本支社
- [PR]
- 2025.02.20
アクティブ・インサレーションの元祖であり、
パタゴニアの定番保温着として高い人気を誇る「ナノエア」シリーズ。
高所クライミングやバックカントリーなど、
厳しい寒さの中で動き続ける人に愛されてきた。
そのナノエアシリーズに
これまでで最も薄手で超アクティブレンジのモデルが新登場。
その詳細とフィールドレポートをお送りしよう。
保温着の概念を一新した
ナノエア・シリーズ

初代ナノエアの登場は2014年。開発コンセプトは「行動中もずっと着続けられる」ことだった。着替えやレイヤリング変更の難しい高所クライミングや山岳スキーに向けて作られたインサレーションウェア(保温着)である。
最大の特長は「フルレンジ・インサレーション」と呼ばれる独自の素材。中綿、シェル素材ともに通気性をもつことで、運動強度が上がっても熱と湿気がしっかり抜ける。これによって衣服内がオーバーヒートしたり、汗冷えを起こすリスクが大幅に減った。
しかも中綿の伸縮性がよいため、従来型の保温着に較べて格段に動きやすかった。そのため行動中でも着続けることができ、これまでにない「アクティブ・インサレーション(動的保温着)」という概念を作り上げたのである。
その後パタゴニアは2016年にクライミングに特化した製品ラインナップの中で、さらに軽くて通気性に優れる「ナノエア・ライト・フーディ」を発表。2017年に「ナノエア・ライト・ハイブリッド」シリーズを発売しその後一時販売をしていなかったが、2023年にレギュレーターフリースを組み合わせ再登場し、より運動強度の高い用途にも使えるようにしたのである。
シリーズ最薄の中綿を採用し
春夏の山行にも使いやすく

こうして世界中に愛用者が広がるようになると「もっと薄くて熱ヌケのよいものを」という声が上がるようになった。ファストハイキングや春夏の山行にも使いたいという要望だ。それに応えてこの春に登場するのが「ナノエア・ウルトラライト」シリーズである。
これはその製品名が示す通り、究極の軽さと薄さをテーマとしたもの。新開発の極薄インサレーションを使うことで熱ヌケを大幅に向上させ、春夏シーズンを含めた幅広い気温レンジに対応させた。
さて、それでは製品を具体的に見ていこう。まず内包するインサレーションはシリーズ最薄となる20g/㎡のもの。ナノエアの60g/㎡、ナノエア・ライトの40g/㎡から大幅に薄くしてある。

組み合わせるシェルはナノエア・ライトで好評だった1.6オンスの30Dポリエステルシェルを継続採用。通気性、透湿性ともに高く、汗を素早くウェア表面へと運んで蒸発させる。またメカニカルストレッチにより、中綿の伸縮性をスポイルしない。
そして「肌ざわり」のよさもこの素材の大きな特長だ。シャドー・ストレッチ・リップストップと呼ばれる、マットで柔らかな生地で、素肌に着ても心地よい。薄くて軽い中綿とあいまって、まるで夏用の肌掛け布団のような気持ちよさがある。
シンプルな袖口と
ストレッチする二の腕

素材だけでなく、各部の作りにも春夏シーズンへの配慮がされている。たとえば袖口。これまでのナノエアには伸縮パイピングが備わっていたが、本作はそれを廃して汗のたまりを防いでいる。
その代わり、腕の内側にストレッチ性に富む「キャプリン・クール・ライトウェイト」素材を配置することで、簡単に腕まくりができるようになった。体温調整はもちろん、作業時にも便利だ。
また脇の下はインサレーションを抜いてあり、熱を逃がし、かさばりを抑えている。

ポケットは胸にひとつだけ。従来通りこのポケットに小さくたくし込んで収納ができるパッカブル仕様だ。重量はわずか249gしかないので、いつでもどこにでも連れて行ける。
まずは厳冬期の雪山で
その実力を試してみた

実は僕は“筋金入り”のナノエアファンだ。10年前に初代ナノエア・ジャケットが登場した時には、フルレンジ・インサレーションの製造工場を訪ね、ポリマー開発から製品テストに至るまで徹底取材を行なった。もちろん歴代モデルはすべてを実地で使っている。だから今回のナノエア・ウルトラライトの登場には胸を躍らせた。
まず試してみたのは厳冬期のバックカントリーだ。この日はクライミングシール登高ではなく、スノーシューを使ってのハイクアップを行なった。そのほうが運動強度がはるかに高く、背中の荷物も重いのでインサレーションの実力がよくわかる。
当日の気温は高度1500m付近でマイナス3℃、2000m付近でマイナス6℃程度。無風快晴だったので、レイヤリングはベースレイヤー(パタゴニア・メリノエア)の上に直接ナノエア・ウルトラライトを着ただけだ。

僕はけっこう寒がりなのでベースレイヤー1枚でハイクアップすることはほとんどなく、通常はナノエア・ライト・ハイブリッドを使っている。それに比べこの新作はロフト(嵩張り)がほとんどないため、登高前は寒くて正直不安だった。
しかし登高を始めて5分もすると身体が温まり、その不安も霧散した。そのあとはその存在を忘れるほど快適だったのだ。
感心したのは保温と通気のバランスだ。暑すぎず、寒すぎない。20g/㎡という中綿の厚みもハードな登りにはちょうどいい。身体の正面から風や冷気を受けたときはマイルドに保温し、逆に汗をかきやすい背中側はちょうどいい感じで熱が抜ける。登高中に何度かパックを降ろしたが、背中の汗が引いていくイヤな感じを味わうことはなかった。
細かなディテールまで
よく考えられている

またハンドポケットのないシンプルなスタイルもよかった。これは軽量化とハーネス着用を念頭に置いたデザインだが、今回のようにビブの下に着込んでも、もたつかず快適だった。ミッドレイヤーとして使うには最適なスタイルだと思う。
森林限界を超えてリッジラインに出ると風が強まり体感温度がグッと下がった。吹き付ける風に耳がビリビリと痛む。
このとき活躍してくれたのがフードだった。フードは6面構造の手の込んだパターンで作られている上、後頭部と左右にゴムシャーリングが入っているのでフィット感がいい。単体のバラクラバやビーニーより着脱がはるかに簡単。次々と環境が変化する中ではこれがとてもありがたかった。

またこのフードは滑降時にも活躍してくれた。薄いのでそのままヘルメットの下にかぶれて、シームレスに活用できた。ちなみにヘルメットの上にかぶることもできるので、クライミングや登山でも活躍してくれるだろう。このフードの汎用性はこれまでのシリーズ中、最高だと僕は思う。
春夏のトレッキングにも
とても使いやすい

その後は日帰り登山や春山ハイキングでもこれを試してみた。丹沢や箱根など比較的温暖なエリアだ。
結論から言うと、春山ではさらに使い勝手がよかった。林間の急峻な登りも、肌寒い稜線歩きも、息が上がるようなアップダウンも、レイヤリング変更に時間を取られることなく着っぱなしで行動することができる。テクニカルフリースより暖かく、ウインドシェルよりヌケ感がぜんぜんいい。とがった機能やアピールポイントはないが、どんな環境でもまんべんなく使えてしまう。この「中庸さ」がなんとも使いやすいのだ。
これまでナノエアシリーズは寒い季節の保温着というイメージが強かったが、ウルトラライトは大きく異なる。秋冬よりは春夏メイン、保温着というより行動着と思って使うのがいい。フワッと軽く、ほんのり暖かいミドルウェア。着ていることを忘れて行動に集中できる主力アイテム。ペースの速いトレッキングや春夏の登山にこそぴったりの製品だと思う。

商品情報
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メンズ・ナノエア・ウルトラライト・フルジップ・フーディ
- 価格
- 35,200円(税込)
- サイズ
- XS~XL
- カラー
- Pollinator Orangeなど全3色
- 重量
- 249g
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ウィメンズ・ナノエア・ウルトラライト・フルジップ・フーディ
- 価格
- 35,200円(税込)
- サイズ
- XS~XL
- カラー
- Abundant Blueなど全2色
- 重量
- 215g
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メンズ・ナノエア・ウルトラライト・プルオーバー
- 価格
- 28,600円(税込)
- サイズ
- XS~XL
- カラー
- Wetland Blueなど全3色
- 重量
- 218g
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ウィメンズ・ナノエア・ウルトラライト・プルオーバー
- 価格
- 28,600円(税込)
- サイズ
- XS~XL
- カラー
- Foxglove Purpleなど全3色
- 重量
- 181g
問合せ先
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パタゴニア(Patagonia)
- https://www.patagonia.jp/
- 0800-8887-447 *フリーコール・通話料無料
- 10:00~16:00(土日祝日・年末年始は休業)