見た目はカジュアルだけどなんでもこなす器用な一本。パタゴニアの新作パンツ「クアンダリー・ジョガーズ」フィールドレポート!

構成・文=吉澤英晃、写真=加戸昭太郎、デザイン=熊谷篤史
協力=パタゴニア日本支社[PR] 2024.03.14

2024年春、パタゴニアのハイキングパンツに「クアンダリー・ジョガーズ」が仲間入りした。足元がすっきりしたカジュアルな見た目にはどんな魅力が秘められているのか。テストで感じた予想外のポテンシャルの高さを紹介する!

PROFILE

吉澤英晃

吉澤英晃よしざわ・ひであき

1986年生まれ、群馬県出身。登山用品全般を取り扱う企業に営業マンとして勤めたのち、フリーの山岳ライターとして独立。前職の経験を生かし、道具系の記事を中心に執筆活動を行なう。

検証

定番シリーズに加わった、今季注目ニューフェイス

パタゴニアのラインナップに新たに加わった「クアンダリー・ジョガーズ」は、早くも人気が出そうな2024年の注目アイテムだ。いちばんわかりやすい特徴は、エラスティックバンドで裾が絞られているテーパード型のシルエットにある。足元に向かって細くなるデザインによって、脚をすっきり見せることができたり、お気に入りのシューズを目立たせることができたり。この手のジョガーパンツは見た目のよさが評判で、ファッションアイテムとして知っている人も多いだろう。

でも、クアンダリー・ジョガーズを生み出したのは、あのアウトドアブランドのパタゴニアだ。もちろん、単にファッションアイテムとして消費されるだけのパンツじゃない。

クアンダリー・ジョガーズは両脚がすっきり見えるシルエットが特徴だ

クアンダリー・ジョガーズは
脚がすっきり見えるシルエットが特徴だ

クアンダリーシリーズは、
最も身近なハイクパンツ

クアンダリー・パンツ

クアンダリー・パンツ

クアンダリー・コンバーティブル・パンツ

クアンダリー・コンバーティブル・パンツ

クアンダリー・ジョガーズ

クアンダリー・ジョガーズ

クアンダリー・ジョガーズは、パタゴニアの定番ハイキングパンツ「クアンダリー・ファミリー」の新モデルとして発表された。クアンダリー・ファミリーにはほかにも、ショーツやノーマルなロングパンツ、膝部分から下を取り外してショーツにもできるコンバーティブルパンツがラインナップされている。

クアンダリー・ファミリーは同社の「ハイク・パンツ」にカテゴライズされていて、同じハイク・パンツカテゴリーのポイント・ピーク・トレイル・パンツやテラヴィア・トレイル・パンツなどと比べて、カジュアルなシーン向けの要素が最も強いアイテムに位置づけられている。そのため、アウトドアでの実用性を備えながら街中ではいても違和感のないデザインが共通した特徴で、控えめな価格設定もポイントだ。

Report

山でも街でも使える、
ハイキングパンツとしての性能とは?

海の見える低山でクアンダリー・ジョガーズをテストしてみた

海の見える低山でクアンダリー・ジョガーズをテストしてみた

足元の視認性が高く、足さばきのよさは言うことなし

足元の視認性が高く、足さばきのよさは言うことなし

クアンダリー・ジョガーズを写真で見たとき、デザインに目が行くばかりで、ハイキングパンツらしいテクニカルな性能はひとつもイメージできなかった。言葉を選ばずに言うと「テーパード型の見た目以外、一体なにがいいんだろう」というのが、いちばんはじめに受けたクアンダリー・ジョガーズの正直な印象である。

そんな冷ややかな先入観をもちながら、後日、届いた実物をはいて低山のハイキングに出かけてみた。実際に着用してトレイルを歩くだけで、当初の印象がガラリと変わることなんてあるのだろうか?

結論から先に言うと、私はクアンダリー・ジョガーズのポテンシャルの高さを見くびっていた。身に着けただけで、これほど楽しみたいと思えるアクティビティのアイデアが浮かんでくるパンツに出合ったのは初めてかもしれない。

いちばんのポイントは、やはり裾が絞られているデザインだった。もちろん見た目の話ではない。顔を下に向けたとき、裾がまとまっているおかげで足元を確認しやすい点がすごくいいのだ。

生地が突っ張らないので階段の登山道も登りやすい

生地が突っ張らないので
階段の登山道も登りやすい

そして、足元が見やすいと、普段より軽快に歩ける気がするし、ランニングは趣味じゃないけど理由もなく走ってみたい気持ちになるからとても不思議だ。クアンダリー・ジョガーズをはくと、なんだかテンションが上ってくる。

そんな気分に応えるように、クアンダリー・ジョガーズはしっかりストレッチ性を備えている、シルエットは少しタイトだけど生地が伸縮するので歩きやすく、同じハイク・パンツシリーズのテラヴィア・トレイル・パンツなどと比べると伸縮性は若干劣るが、一般的なカジュアルパンツと比較すれば動きやすさは歴然だ。

水滴は表面を転がり落ちていき、濡れた生地はすぐに乾いた

水滴は表面を転がり落ちていき、濡れた生地はすぐに乾いた

ハイキングパンツらしい性能でいうと、撥水性にも注目だ。クアンダリー・ジョガーズには有機フッ素化合物不使用(PFCフリー)の耐久性撥水加工(DWR)が施されているので、写真のとおり多少の水滴であればしっかり表面で弾いてウェアが濡れるのを防いでくれる。

ただ、耐久性撥水加工も絶対ではないので、少なからず濡れる部分は出てきてしまった。それでも素材にはコットンが一切含まれていないので、気にせずはいていると濡れた生地は知らぬ間に乾いてすっかり元通りになっていた。歩きながら汗が肌の上に残る感じもなかったので、吸汗性も悪くなさそうだ。

鍵やスマートフォン、財布などの整理に役立つポケットも、クアンダリー・ジョガーズはいくつも備えている。おそらくカジュアルな見た目を意識したのだろう、ハンドポケットにはジッパーが付いていなかったが、右側のヒップポケットと右大腿部にあるカーゴポケットは、行動中に大切な荷物を落とさないようにジッパーで閉じられる仕様になっていた。

右太腿のカーゴポケットにはスマートフォンがぴったり入った

右太腿のカーゴポケットには
スマートフォンがぴったり入った

ハンドポケットとヒップポケットは左右にデザインされている

ハンドポケットとヒップポケットは
左右にデザインされている

今回、カーゴポケットにスマートフォンを入れて歩いてみたところ、はじめは太腿に固い物が当たって違和感があったが、歩いているうちに慣れてきて、気づけばまったく気にならなくなったのは意外な発見だった。

ウエストをドローコードで絞る仕様もこのパンツの特徴だ。そもそもクアンダリー・ジョガーズのように裾が絞られているパンツはジョガーパンツと呼ばれていて、ジョガー(jogger)=ジョギングする人が着用する目的で作られた背景がある。そのため、ウエストはドローコードで絞るかゴムバンドの伸縮性だけでフィットさせるなど、腹部がベルトのバックルでもたつくのを避けた作りのものが多い。

ウエストのフィット感は長めの紐で細かく調整できる

ウエストのフィット感は長めの紐で細かく調整できる

ハイキングやトレッキングで使うだけならベルト&バックルのほうが扱いやすいと思いつつ、腹部がすっきりするドローコードもなかなか調子が良くて、この点は好みが分かれるところだろう。


テストで感じたクアンダリー・ジョガーズの可能性

クアンダリー・ジョガーズはクライミングとも相性がいい

クアンダリー・ジョガーズは
クライミングとも相性がいい

クアンダリー・ジョガーズは足元が確認しやすいので、きっとクライミングにも向いているだろう。そんな仮説を立てて山の近くでボルダリングも楽しんでみると、予想したとおりとても動きやすかった。

180度の開脚を可能にする股下のガゼットクロッチはなく、クライミング専用のパンツほどストレッチ性は高くないものの、一般的なトレッキングパンツやハイキングパンツよりも相性がいいのは間違いなさそうだ。

ほかにも、このパンツは裾が絞られているのでサイクリングにも役立ちそう。これはあくまで想像だが、フロントギアに裾が巻き込まれてパンツが破けるといったトラブルが少なそうだ。また、速乾性があるのでSUPやパックラフトなど水辺のアクティビティにも使いやすいのではないだろうか。そんなアイデアが次々に浮かんでくるところがクアンダリー・ジョガーズのポテンシャルの高さだと思うし、はくことで実感できたいちばんの魅力だと感じている。

気の向くまま楽しむ街の散策にも◎

気の向くまま楽しむ街の散策にも◎

そして、言うまでもなく街中ではいても違和感は一切ない。実はテスト後にはき心地が気に入って、すっかり日常で使うパンツのひとつになってしまった。ちなみに、生地は薄手なので夏の季節にも重宝しそう。クアンダリー・ジョガーズは本当になんでもこなす器用なパンツなのである。


製品情報

クアンダリー・ジョガーズ

クアンダリー・ジョガーズ

価格
16,500円(税込)
サイズ
XS〜XL
カラー
メンズ3色、ウィメンズ4色

素材は、使い古された漁網を原料とするネットプラス・ポストコンシューマーリサイクル・ナイロン。そこに4%ポリウレタンを加えてストレッチ性をもたせている。ナイロンの配合率が高いので、ピリングが起きにくく耐久性が高い点も特徴といえる。UPF(紫外線防止指数)は40+。春から秋は単体で涼しく行動でき、冬は下にタイツを合わせれば一年中活躍する。

COLUMN

パタゴニアは無駄にしない。ネットプラス・リサイクル製品について

漁業で使われる漁網は、消耗して使い物にならなくなると海に廃棄されることが多い。パタゴニアは環境への負荷を減らす一環として、使い古された漁網を原料とするネットプラス・ポストコンシューマーリサイクル・ナイロンを採用した製品の開発を進めている。クアンダリー・ジョガーズはそのひとつであり、今季からクアンダリーシリーズのすべてのパンツが、ネットプラス・ポストコンシューマーリサイクル・ナイロン製にアップデートした。製品を選ぶことで、海に廃棄されるゴミを減らすことができる。その選択肢を選ぶか選ばないかは、私たちユーザーに委ねられている。

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