パタゴニア 
R1テックフェイス&
R2テックフェイス
秋冬ミッドレイヤーの
最有力候補を発見!

「防風性」と「透湿性」のバランスが良すぎる
パタゴニア「R1・R2テックフェイス」を、山岳ライターがフィールドテスト!

ファーストビュー画像

R1テックフェイスとR2テックフェイスは、パタゴニアが展開するレギュレーター・フリースの中で、風や小雨、擦れなどに対する耐性を高めたコレクション。とくに寒さを感じるこれからの季節におすすめという。評判ほどの性能を本当に実感できるのか。1泊2日の山行で感じたインプレッションをお届けする。

文=吉澤英晃 撮影=花岡 凌 協力=パタゴニア日本支社
Sponsored contents 2022.11.25

吉澤 英晃

吉澤 英晃

(よしざわ・ひであき)

1986年、群馬県出身。大学時代の探検サークルで山に登り始め、以降、登山用品を扱う企業の営業マンを経て山岳ライターとして独立。前職の経験を生かし、道具系の記事を中心に執筆活動を行なう。

レギュレーター・フリースとは?

R1・R2テックフェイスは、パタゴニアの人気シリーズ「レギュレーター・フリース」のワンコレクション。

レギュレーター・フリース

袖に施されている“R”の刺繍がレギュレーター・フリースのシンボルマーク

聞き慣れない方のために、まずは「レギュレーター・フリース」について簡単に触れておこう。“レギュレーター(Regulator)”には“調整装置”という意味があり、登山では体温の調整が役割になる。

山では体温を活動に適した状態に保つのが難しい。斜面を登り始めると体が火照り、休憩で動きを止めると今度は途端に体が冷える。風や雨、標高ごとに変化する気温によっても体温は大きく左右される。

パタゴニアのレギュレーター・フリースは、そんな行動中に変動する体温を適切な状態にキープするために開発された行動着のシリーズで、共通して「保温性」と「透湿性」を備えている。ただ、その2つの性能は珍しいものではなく、登山用の行動着として作られているウェアには一般的に備わっている。保温性と透湿性で体温を適温に保つことは、あらゆる行動着に課せられた永遠のテーマなのだ。

しかし、テストしたテックフェイスコレクションは、市場に並ぶ行動着とは明らかに一線を画している。いずれもベースの機能を搭載しながら、そこに「撥水性」「防風性」「耐摩耗性」をプラスした、高機能ウェアなのである。

ダブル織りで防御力を大幅アップ

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R1・R2テックフェイスの表面は共にサラリとした肌触り。
よく見ると織り目の細かさも確認できる

テックフェイスコレクションの生地は、表と裏で異なる仕上がりに織り分けたダブル織りで作られている。高密度に織られた表面で「耐久撥水性」「防風性」「耐摩耗性」を確立し、裏面の起毛で「保温性」を両立。「透湿性」は裏面の配置パターンで実現している。ちなみに、モデル名の「R」の後ろに続く数字は保温性のレベルを表しており、数字が大きくなるほど暖かくなる。このネーミングもすべてのレギュレーター・フリースに共通する特徴だ。

2022年10月下旬、八ヶ岳の主峰赤岳をめざしながら、R1テックフェイスとR2テックフェイスをテストしてきた。さっそく両者のインプレションをお届けしよう。

R1テックフェイスは、透湿性を高めた快適ソフトシェル

R1テックフェイスは触れた瞬間に「おや?」と感じた。フリース特有のロフト感がまったくなく、心許ないほど生地が薄いのだ。裏地も申し訳程度に起毛しているだけで、見た目からはほとんど暖かさを感じない。

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R1テックフェイスの起毛は極わずか。
熱を逃すグリッド状の溝もはっきりと確認できる

そのため、車を駐めた赤岳山荘から出発するときは、パタゴニアのキャプリーン・クールの長袖にジップネックのロングスリーブを重ねて、そこにR1テックフェイスを羽織るレイヤリングをチョイスした。空は晴れていても気温は9度しかなく、行動中にも寒さを感じる気がしたからだ。

しかし、山に入ると体温はすぐに上昇し、ジップネックのロングスリーブを脱ぎたくなった。結局、それからはキャプリーン・クール+R1テックフェイスで歩くことに。

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樹林帯の中のゆるい登りを歩いていく。
谷間から風が吹いてもR1テックフェイスの防風性のおかげで寒さを感じずに行動できた

結果、この2枚でも極端な寒さを感じることなく行動できた。ただ、勘の鋭い読者ならお気づきかもしれないが、ここでは「極端な寒さを感じない」というのがポイントになる。つまり、お世辞にも「暖かい」とは言えないのだ。おそらく、フリースらしい「保温性」を欲してR1テックフェイスを手にすると、多くのユーザーが期待外れと感じるだろう。だが、R1テックフェイスの優れた特徴は「防風性」と「透湿性」に感じ取れた。

R1テックフェイスを着ていると風が抜ける感覚がほとんどなく、その着心地は、フリースというよりソフトシェルによく似ている。ただ、過去に手にしてきたソフトシェルとは明らかに違った。これまでのソフトシェルはいくら透湿性があるといっても、動くとまるでラップに巻かれたような不快な暑さや蒸れが生じてしまい、すぐに脱ぎたくなってしまっていた。それがR1テックフェイスは熱がこもりづらく、着たまま快適に行動できたのだ。

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R1テックフェイスを裏から太陽に透かした様子。
縦横に溝があり、ここから余分な熱が逃げていく

これはR1テックフェイスが、長い歴史のなかで培ってきたレギュレーター・フリースの超実践的な透湿性を継承しているからに他ならない。R1テックフェイスは、いわゆるフリースとしてではなく、透湿性の高いソフトシェルとしてレイヤリングに加えると活用シーンの幅が広がるはずだ。

しばらくして、赤岳の中腹に建つ行者小屋に到着。これから地蔵尾根を辿って稜線に向かう。ここから標高が一気に上がるので、気温が下がることを見越して、保温性がR1テックフェイスよりも高いR2テックフェイスに着替えることにした。

R2テックフェイスは、秋冬向け行動着の最終形

R2テックフェイスは見るからにモコモコしていて、触れるまでもなく保温性の高さを想像できる。ただ、肌面の起毛はハイロフトフリースのような毛足の長さで、斜面を登り出した途端に体が熱くなって脱ぎたくなってしまいそうだ。

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R2テックフェイスの肌面はフサフサするロフト感のある毛並みが特徴

そんな懸念を抱きつつ、急傾斜を一定のペースで登っていく。通常なら気温は標高と反比例して下がるものの、正午近くなり太陽が昇ったため、温度計はスタート時と同じく9度を示していた。

登山道を歩きながら、息が乱れて体が熱くなっていく。しかし、予想に反して熱がこもって不快に感じることはほとんどない。R1テックフェイスでは感じなかった暖かさがあり、むしろ快適なくらいだ。

そこに冷たい風が吹き付けてきた。森林限界を越えると次第に風が強くなる。そこで、試しに歩みを止めてわざと風に身を晒してみたが、R1テックフェイスと同じく、やはり熱を奪われる感覚はほとんどない。

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R2テックフェイスを裏から太陽に透かした様子。
R1テックフェイスほどではないが、こちらにも熱を逃す溝を確認できる。
保温性は高いが熱は確実に逃げていく

これまで、ミッドレイヤーで風を防げればどんなに快適か、何度も考えあぐねてきた。特に雪山では風に吹かれると急速に熱を奪われてしまうので、風の影響を受ける状況下ではハードシェルを羽織るのがセオリーだ。しかし、ハードシェルの性能がどんなに向上しても、着用する服が増えることに変わりはない。結果、動きづらくなり、熱がこもって不快に感じてしまう。

R2テックフェイスは、そんな積年の悩みを払拭してくれるような、かなり理想に近い性能を見せつけてくれた。暖かく、熱がこもりづらく、風に吹かれても寒くならない。市場には保温性の高い服があり、透湿性に優れる服もあり、防風性を備える服だってある。しかし、それぞれをバランスよく備えるウェアは見たことがない。R2テックフェイスは、秋冬に向けた行動着の最終形といえるのではないだろうか。テストを通じてそんな印象を強く受けた。

「R1とR2はどっちがいい?」

ひと通りのテストを終えて一息付いていると、カメラマンの花岡さんが興味津々の眼差しでこんなことを聞いてきた。

「テックフェイスを買うなら、R1とR2、どっちがいいですか?」

むむむ。ここまで記事を読んでくれた読者の気持ちを代弁するような質問に一瞬たじろぐ。その後、これまでのテストで体感できたそれぞれの良し悪しを振り返り、しばらく間を置いてから口にした考えをそのまま紹介しよう。

「R1テックフェイスはどのタイミングで着ればいいのか、シーズンとタイミングが難しいと思います。いま考えられる出番は、寒さと暖かさが交わる春と秋のいわゆる端境期。国内だとメリットを感じる時期が短いかもしれません」。

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R1テックフェイスは用途が他のレギュレーター・フリースとバッティングしないので、写真のように組み合わせる使い方も考えられる

「その分、R2テックフェイスは初秋からGW頃まで存分に活躍しそう。雪山でのアクティビティはもちろん、切り返しのワンポイントがカジュアルな印象で、街中でも違和感なく使えそうです」。

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R2テックフェイスは、テクニカルな印象を抑えたデザインが好印象。
街中を歩くときや自宅でリラックスするときのルームウェアとしても着たくなる

この見解には主観を多く含むが、的は大きく外していないと思われる。しかしこの話には続きがあり、話題が雪山でのレイヤリングに変わったとき、花岡さんは「厚手のベースレイヤーに半袖Tシャツを重ねて歩く」と言う。一方、私は「厚手のベースレイヤーとフリースのジャケットの組み合わせ」が定番だ。風が吹いて寒さを感じたらハードシェルを羽織る点は互いに共通するものの、こうなると先ほどの意見が変わってくる。

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暑がりな人や発汗量が多い人にとって、R1テックフェイスは秋から冬に行動着として活躍。
春から夏は肌寒いときに羽織るソフトシェルジャケットとして使える

たとえば冬に雪山を登る場合、花岡さんのようなレイヤリングを好む、いわゆる寒さに強い方は、薄手の行動着をR1テックフェイスにチェンジすれば、確かな防風性でハードシェルの出番がかなり減少するはず。熱は多少こもりやすくなるが、それでも透湿性を感じながら快適に行動できるだろう。

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保温性の高いR2テックフェイスは、寒がりな人や発汗量が少ない人におすすめ。
いちばん外に着たまま気温が低いフィールドで長時間快適に行動できる

逆に、私のように保温性を重視する寒さに弱い方は、R2テックフェイスを選ぶといい。防風性と保温性で寒さを防ぎながら、先ほどと同様にハードシェルの出番がグッと減る様子が思い浮かぶ。

では、寒さに対する耐性が分からないユーザーはどちらを選ぶといいだろう。その際は、R2テックフェイスをおすすめする。経験を積んで保温性が高すぎると感じても、普段使いまで視野に入れると、R2テックフェイスの出番はいくらでも考えられるからだ。

テックフェイスコレクションは、保温性×透湿性×防風性のバランスの良さが雪山など冷涼な環境でかなり役立ち、行動が一段と快適になる。もし、秋冬シーズンの行動着は何を選べばいいのか悩んでいたら、テックフェイスコレクションを検討してみよう。「試してみないともったいない」。これがテスト後の正直な感想だ。

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動きやすさと防風性で、クライミングでも大活躍

「R2ジャケット」はクライミングにはあまり向かないと感じていたのだけど、「R2テックフェイス」はこのレベルのラインナップの中では群を抜いてクライミングに最適の一着だと思う。クライミングに支障をきたさないスッキリとしたシルエットに加え、防風性も備えているので山岳地帯でのマルチピッチクライミングにも最適。11月以降の瑞牆山やユタの開拓でもR2テックフェイスが活躍している。適度な暖かさ、動きやすさに加えて、防風性が高いのが何より安心。もう何年も同じ一着を着続けている。

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  • 横山 勝丘
  • (よこやま・かつたか)

1979年、神奈川県出身。現在は山梨県北杜市に家族と共に住む。パタゴニア・クライ ミングアンバサダー。 幼少期より登山に親しみ、信州大学入学と同時に本格的にクライミングを始める。家の近所からヒマラヤやパタゴニアなどの辺境の地まで、手つかずの岩や山を見つけて登り続けている。

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汎用性が高く、絶大の信頼を置ける逸品

だいぶ前になるが、最初に「R1テックフェイス」を手に取った際は「従来のR1に比べ硬いかなあ?」という印象だった。ただ、着用してみるとその印象とは裏腹にしなやかさに驚き、実際の山へ行くとその汎用性に唸った。R1テックフェイスはただのミッドレイヤーにあらず、時にはインサレーション、時にはアウターシェルとして特にハイアルパイン環境で有用だ。耐風性や耐候性を備えているので、滑りのシーンではハイクアップ時、春にはシェル代わりに着用できる。多少の風雨なら防水性シェルは不要だ。クライミングシーンでは耐摩耗性に注目したい。ワイドクラックなど岩に身体を擦り付けるようなクライミングにはもってこいで、岩質を問わず活躍できる逸品だ。要するに四季を問わず、標高の高い山岳環境でのアクティビティには絶大の信頼感がある。それは、従来のRシリーズと一線を画しており、これがテックフェイスの最大の長所となるだろう。

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  • 加藤 直之
  • (かとう・なおゆき)

1972年、東京都出身。パタゴニア・スノーアンバサダー。学生時代にスノーボードから山の魅力を知り、20代のころにアラスカ大学フェアバンク校へ進学。現在は国際山岳ガイド・スノーボードガイドとして、国内のガイディングにとどまらす世界中を飛び回っている。日本バックカントリースキーガイド協会会長。

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