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関さんご家族

関さんご家族 Seki Family 関龍一郎さん、亜由さん、一琥くん

釣り、SUP、スノーボードなどあらゆるアウトドアの遊びを楽しみ、お世話になった地域には「恩を送る」活動を行っている、移住20年の関龍一郎さんとのご家族に、佐久地域の暮らしの魅力について伺った。

偶然見つけた求人情報で就職。縁もゆかりもない佐久穂町に移住した

先輩移住者のインタビューを相談したところ、アウトドアのことならこの人、といって佐久穂町に紹介されたのが、神奈川県綾瀬市出身の関龍一郎さん。
大学卒業とともに佐久穂町の林業の会社に就職し、移住20年。その間、この地に魅了され、様々なアウトドアの遊びを実践しながら、地域に溶け込み、地域のために活動しているという関さんのご自宅を訪ねた。
「東京農大の3年次に就職情報を探していたところ、佐久穂町にある林業の会社、株式会社吉本の求人を見つけました。学生時代に、新聞配達から、新宿のカメラ販売店までのアルバイトをやってみて、自分は都会でデスクワークするより、自然と接する仕事、フィールドに出る仕事が向いていると思っていました。
実家からも通える横浜の環境アセスメントの会社と佐久穂の吉本と内定をいただいたのですが、より面白そうな生活ができそうな吉本に決め、社員寮で佐久穂町の生活を始めました。吉本の社有林が八千穂高原にあって、苔むした水無川の美しさに心を惹かれた、というのもありました。
最初に、ここに来てよかったと感じたのは、2001年のしし座流星群です。すごい数の流星が降り注いで、まるで空全体が動いているような、すごい流星雨・流星嵐でした。いつかまたあんな星空が見えたらいいですね」

千曲川夕景(関さん提供)

早朝SUP(関さん提供)

近所のおじさんからフナ釣りを教わり、『釣りキチ三平』の世界に憧れ、その後はバス釣りにもハマった少年時代。また、ボーイスカウトなども経験し、野外活動の下地ができた。学生時代には仲間とスノーボードに行ったり、山に登ったり、アウトドアの遊び全般を、選り好みなく楽しんでいた。
「なんと言っても、自分の趣味を謳歌できる環境がすぐ近くにあるのが最高です」
家族で住んでいる今の家は、タイミングよく手に入れることができた中古物件だというが、千曲川は目と鼻の先、家から徒歩2分でキャストできるほどだ。
「千曲川だけじゃなく、その支流でも渓流釣りが楽しめます。釣りが好きな僕の場合は、平日の出社前でも帰宅後でも、すぐに竿を出せるのが最高です。夕方、千曲川で竿を出していると、北八ヶ岳の方に日が沈んでいって。まさに“マジックアワー”で、本当にきれいですよ。『リバーランズ・スルーイット』の世界です」 就職の時、より面白そうな生活ができると選んだ林業の仕事と佐久穂での暮らしは大正解だった、と笑う。

仲間内で登山が流行ったときは、地の利を生かして、浅間山、蓼科山、甲武信ヶ岳、金峰山、八ヶ岳にも登ったという。どこへ行くにも車で1時間くらいで登山口にアプローチできるそうだ。
3年ほど前には、友人にSUP(Stand Up Paddleboardの略)を教わり、これは面白いと1艇購入。もっと広めたいと、今では仲間を誘ってSUPを楽しんでいる。
「自分で楽しいと感じたことは、どんどん広めていきたいという性格なので、釣りもSUPもスノーボードも、ここに住んでてできることは、とことん自分で体験して広めていきたいんです。
それに川で釣りをしていても子どもの姿を全然見かけないんです。こんな素晴らしい環境なのに! なので、地域の方や、地元企業、自治体を巻き込んで、釣って捌いて食べるまでが体験できる釣り教室を開いて、子どもたちに釣りの楽しさと、この地域の自然の豊かさを感じてもらおうと活動しています」
「今では3艇持っているSUPも、思い立ったらすぐ仲間を誘っていくため。日の出前に湖でSUPに乗って、SUP上でドリップコーヒーを淹れて飲むとか。冬は、隣町の小海リエックススキーリゾートで、日曜開催の早朝営業(編集部注:7時から8時半。リフト券は1000円)で滑った後、家族との時間を楽しむとか。こういう場所に住んでいるからこそできることがたくさんあります。移住してから“早起きは三文の徳”を感じる機会がさらに多くなりました」
就職の時、より面白そうな生活ができると選んだ林業の仕事と佐久穂での暮らしは大正解だった、と笑う。

日本初の最先端の教育も始まった佐久穂町の教育と暮らしやすさ

吉本で事務の仕事をしていたのがきっかけで龍一郎さんと出会い、15年前に結婚されたという亜由さんは、佐久市の出身。佐久市と佐久穂町は、隣り同士だが、暮らしに違いはあるのだろうか。
「佐久市に住んでいた時、佐久穂に来たことはありませんでした。たまたま仕事に就いた吉本が佐久穂だった(笑)。田舎に住んでいる人は都会への憧れとかあって、私も美味しいお店めぐりなんかが好きなんですが、都会にいたからといって毎日食べ歩けるわけでもないですし、行きたいお店を決めて、たまに都会に遊びに出ればいいわけですし。新幹線も通っているので、思い立ったらすぐに出かけることもできて便利です。横浜に親戚がいて遊びに行くこともあったし、長野市の方に住んでいたこともありますが、自分にとっては佐久穂での今の暮らしが落ち着くし、遠くに出かけてもここに帰ってくると、ほっとしていいなと感じます」

子育てについては、佐久穂町には3つの公立保育園が、自然教育を実践する「信州やまほいく」認定園になっている。3歳になる一琥くんが通っているのは、さらに自然教育に特化している私立の認定園「森のようちえん ちいろば」だ。
「朝、園舎に行ったあとは、ずっと外で過ごすという方針で、解散の時間まで園舎に帰ってきません。年少さんでも、お弁当と水筒を大きなリュックに入れて、森に歩いていきます。カッパと長靴は必需品です。親が付いてきてもよくて、一日中、同行することもありますが、子ども同士は勝手に遊んでいますし、よその子が私になついて一緒にいることもあります。なので、一琥も、人見知りしたり、物怖じしたりすることなく、ほかの親御さんとも遊んでいます。『信州やまほいく』っていう制度はとてもいいなと思います」(編集部注:「ちいろば」の運動会を記録した動画はこちら
保育園・幼稚園の先進性だけではない。佐久穂町では公立の小中学校が統合されて一箇所になり、東西に広い町内をスクールバスが巡回するなど充実している。さらに、2019年4月に、日本で初めての「イエナプラン教育」を取り入れた、私立の大日向小学校がスタートし、日本中から注目されている。この学校の教育を受けさせたいと、ほとんどの児童は移住組だそうだ。

「家庭菜園の野菜も美味しいですし、近所からもたくさん野菜をいただきます。家の周囲はお年寄りが多いので、近所によくしていただいて。採れたものだけでなく、調理したものをもらったりもします」と亜由さんが言えば、「キノコ類は怖くて手が出ませんが、わらび、タラの芽、コシアブラなどの山菜なんかもよく採りますよ」と龍一郎さん。
スーパー、ホームセンター、病院、飲食店など、町のインフラは千曲川沿いを中心に整っているうえ、大抵のものが揃っている佐久市へは車ですぐ。でありながら、静かで落ち着いた暮らしができ、ちょうどいいと感じるのが、佐久穂町での暮らしなのだそうだ。

お世話になった地域に「恩送り」。もっと地域の魅力を発信したい

魚紳さんの格好で釣り教室(関さん提供)

龍一郎さんは地域の顔なじみを増やし、活動を広げ、さらに、就職で移住してきてお世話になった地域への「恩送り」として、釣り教室やアウトドア体験を地域の親子にも行っている。
「小さい頃、魚釣りを教えてくれた近所のおじさんや、ボーイスカウトで野外活動を教えてくれたボランティアの方たちを思い出すと、自分もそういう年齢になったので、自分が楽しむよりも、教えて楽しんでいる人たちの姿を見ることに喜びを感じるようになりました。
一琥にとっては、この地域がふるさとになるわけですし、地域が元気になるため、Happyになるために、自分だからできることを、地域の方を巻き込んで行っています。釣り教室だけでなく、『サンショウウオ探索ツアー』『水路・川の危険体験会』なんかもそのひとつです」
ご自宅の玄関には、憧れの『釣りキチ三平』の著者、矢口高雄さんの直筆サインと直筆ハガキが飾ってあった。色紙には、「関龍一郎さんへ」の横に「魚紳君へ」と書いてある。これはいったいどういうことだろう?
「子どもたちに釣りを教える時、自作したベストとカツラで『釣りキチ三平』に出てくる魚紳さんの格好をしています。今の子どもたちに三平くんや、釣りの師匠・魚紳さんのことはわからないと思いますが(笑)。
2015年に南相木村で開催されたシナノユキマスのシンポジウムと“釣りキチ三平釣り大会”に参加した際に、初めて魚紳さんの格好をし、登壇された矢口先生とお話もでき、サインも頂きました。2017年に釣り教室をやろうと決めた時に、子どもたちにより深く記憶に残るようにと、『魚紳さんの格好で教えてもよいか』とお手紙を出したところ、快諾のおハガキをいただいたのです」

地域の活動を、動画で撮影し、編集して記録することもライフワークだ。最近では、2004年に配属されて毎日車で通勤している群馬県上野村との交流の架け橋となり、「米を担いで十石峠越えプロジェクト」の世話人を買って出るだけでなく、その活動を題材にした作品で、2019年度の「ふるさとCM大賞NAGANO」に応募し、県知事賞を獲得した。どんなプロジェクトなのだろうか。
「昔から、佐久穂町と上野村は十石峠を通じて物流があって、長野からはお米を運んでいました。1日に十石(1500kg)の米が運ばれたから“十石峠”。昔のこの風習を再現しようと、米作りから始まって、収穫して、馬と徒歩で上野村に届けるという、有志団体『佐久穂町いいずら発掘隊』主催のプロジェクトです。記録動画を撮って、編集して。ふるさとCM大賞での受賞は、佐久穂町と上野村、両方でお世話になった多くの方々に喜んでもらえたのが嬉しかったです」
いい縁に恵まれて、移住してきて辛かったことや嫌だったことは「まったくない」という龍一郎さんに、山が好きな人に向けた、佐久穂や佐久地域の魅力を改めて伺った。
「長野県は、接している県の数も峠の数も日本一。いろんな地域とつながっています。山に囲まれ、県内外のいろんな山に登れる場所です。その中でも佐久地域は、位置的に都心に近く、今では、高速道路も新幹線も通って、高速バスなどもあり、関東地方へのアクセスを重視する人にとっては、たいへん魅力的な地域です。浅間山、八ヶ岳、秩父山地など、日帰りで行ける山もたくさんあります。生活に不便はなく、自然がすぐそばにある、賑やかすぎず、辺鄙でもなく、僕にとってはちょうどいい田舎です。僕の大好きな佐久穂町、佐久地域での暮らしを紹介できる機会をいただけて光栄ですし、僕の話が移住の参考になってくれたら嬉しいです。説明会ではどんなことでも聞いてください!」

移住セミナーの参加者募集!2月24日(月・祝)東京・神保町で開催!

先輩移住者2名のほか、当日参加する7市町村(小諸市、佐久市、小海町、佐久穂町、南牧村、御代田町、立科町)の移住担当者や地域おこし協力隊員、移住経験者を招き、2020年2月24日(月・祝)に、山と溪谷社のある東京・神保町のセミナールームにて佐久地域移住説明会を開催します。
先輩移住者からの移住の本音や、各自治体の最新移住事情、仕事、住まい、教育などについて、しっかり知ることができるセミナーです。
会場の都合で先着70名様まで。参加希望の方はこちらの申し込みフォームから。

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