神の絨毯と呼ばれる全山紅葉の栗駒山

宮城・岩手・秋田の三県にまたがる栗駒山(1626m)。
9月下旬から10月上旬にかけて紅葉が楽しめ「神の絨毯」とも評される全山紅葉が美しい。
そんな栗駒山と栗原市を、ヤマケイオンラインで公募したモニター特派員2組4名が訪問。
山村のそばを食べ、観光坑道で歴史を感じ、山腹の温泉宿で鋭気を養って、いざ紅葉の栗駒山へ。
モニター特派員による山旅レポートで、栗駒山の魅力を知ろう!

(取材日:2016年9月25日〜26日)

 今回の旅を振り返ってみると、栗駒山と栗原市の、特徴的な部分を存分に楽しめる行程で、ひとつひとつを季節に応じて再訪したいと思いました。

 農場蕎麦「坊の蔵」は、そば畑を通って入る昔ながらの蔵作り風のお店の佇まい。早速、胃袋からがっつり掴まれました! そばだんごのモチモチフワフワ感、細切り蕎麦のツルツル感、そして「そばプリン、蕎麦の実と黒蜜がけのアイス」は忘れられない味。それらの全てが女将さんの笑顔で更にステキな味となっていました。

 栗原市を代表する溪谷のひとつ、浅布渓谷では「四巻の滝」や「不動の滝」を見ました。翌日の「山の自然の魅力」に対して「水の自然の魅力」を感じました。

 細倉マインパークは、大人も子供も探検するような気持ちで見学することができ、その歴史を学ぶことができる施設。隣接のスライダーパークも楽しくて、鉱山跡の見学とメリハリがあってよかったです。次回は隣接されている資料展示室も訪れたいと思いました。

 道の駅「路田路はなやま」では、「味噌のしそ巻き」と「みずの実のしょうゆ漬け」を購入しました。どちらもとても素朴でおいしく、滋味溢れる味でした。



 岩手宮城内陸地震による荒砥沢の地すべり跡は、事前に資料写真で説明いただいていたのですが、目にした時の迫力はすごかったです。地球のエネルギーが今も動いていることを実感できました。

 宿泊のくりこま荘は、なんといってもお食事の美味しさ! 岩魚のお刺身、季節限定の岩魚の卵には特に感動しました。岩魚、いちご、大根と、栗原の特産品が盛り込まれ、他にも地域ならではの食材を使って、どれも味付けが最高! 岩魚の骨酒も珍しく、思ったよりも飲みやすかったです。ご主人が山で採ってきたというので舞茸ご飯もいただきました。舞茸のふくよかな香りがして美味しかった!

 「縄文クロベ」の話や、義経伝説の話もあり、温泉も気持ちよく、宿のご主人の笑顔やおもてなしの心、この山塊に対する知識や愛情、そしてお料理の美味しさに感激したお宿でした。

 翌日の栗駒山登山は、朝から雲が厚く、雨ならコースの変更もあるかもと聞き、漠然と不安でしたが、ガイドの狩野さんが最初に参加者の山の経験を聞いて、不安のないよう説明してくれました。花や葉っぱの種類や特徴などのほか、火山帯の地形や地層を解説いただき、栗駒山全体の姿を感じることができました。足場の不安定な所や渡渉の際はきちんと補助してくれて安心でした。

 出発前、あまり期待できなかった空が、徐々に晴れてきて、風景が広がり、紅葉が広がり、みんなの笑顔が広がると、青空さえ広がってきて、「キレイ!キレイ!」の連呼になりました。山頂ではくりこま荘の心のこもったお弁当を頬張りました。

 「展望岩頭」まで往復する前、ガイドさんに「OKというまで振り返らないでね」と指示されたのですが、私はこっそり振り返ってしまい…、絶叫してしまいました。それはそれは素晴らしい光景でした。

 「下山するのもったいないね〜」と言いつつ、下山コースもまた素晴らしく、空も青さを広げていきました。一帯の紅葉が発光したように輝き、美しく感動的でした。

 その先も、昭和湖、地獄谷など、変化に富んだ地形で、最後の「名残ヶ原」はその名の通り、栗駒山を何度も振り返る名残り惜しい道でした。

 宮城、岩手、秋田の三県にまたがる栗駒山はどこから登っても素晴らしいことと思います。今回、宮城県側から登り岩手県側に下山しましたが、初めて栗駒山を楽しむには最高のコースと思いました。

 春や初夏は花、秋は紅葉と楽しみながら、渡渉もあり、カルデラ火山の特徴も見られ、湿原を見下ろし、火口湖を眺め、地獄谷の煙を感じながら最後は温泉へ下山。日本の山の特徴がぐっと凝縮されたコースで素晴らしいと思いました。

 奇跡的に青空が広がり、くりこま荘のご主人が太鼓判を押してくれていた通り、紅葉も素晴らしいタイミングでの山行になりました。

 また、今回お世話になった方々みなさんが本当に素晴らしく、心の温かくなる出逢いばかりでした。もう一度、同じメンバーで巡りたい(笑)。せっかくだから同じメンバーで別のコースで…と思えるほど楽しい大満足の2日間でした。


 「栗駒山の紅葉は“神の絨毯”と呼ばれ…」、今回のモニター募集の文章にこの言葉を見つけて心が踊りました。紅葉登山が初めての私たちは期待で胸がパンパン。でも、日が近づくと天気予報は雨模様、今年は紅葉が遅いという情報も聞こえてきたり…。やっぱり紅葉登山ってタイミングが難しいのかなと少し不安になりました。

 そんな中で1日目は栗原市の観光。お天気は明日に少しまわして欲しいと思うくらい最高のドライブ日和。

 農場蕎麦 坊の蔵さんでは蕎麦料理のフルコースをいただきました。お蕎麦以外にも、新しい郷土料理「そばだんご」や新鮮な地元野菜がたっぷり。デザートまでいただいて女性には嬉しいことづくし。蕎麦湯も唸るほど美味しかったです。



 細倉マインパークでは、1987年まで日本の近代化に貢献した細倉坑山の歴史を「地底探検隊」になった気分で学べました。次に来る時は古酒蔵にお酒を預けてみたいです。そしてスライダーパークでは全長555mの長さを爽快に滑り、子供の頃に戻ったような楽しさでした。個人的にはレトロでキュートなキャラクターのマイン坊やに心を掴まれました。

 日本で初めて岩魚の養殖に成功した地域ということで、宿泊のくりこま荘では、初めて岩魚料理をいただきました。新鮮でないと食べられないお刺身は甘く濃厚でした! 温泉は源泉掛け流し。ほのかな硫黄の香りと白くトロッと重めの湯。「縄文クロベ」の話や義経伝説も聞けて、とても個性豊かなお宿でした。「縄文クロベ」のツアーも開催しているということなのでぜひ参加してみたいです。

 蕎麦料理に岩魚料理など栗原グルメを堪能し、観光坑道探索、栗原山麓ジオパーク、温泉、ねじりほんにょなど、登山だけでは知り得ない、栗原の魅力を巡った1日目でした。

 2日目はいよいよ栗駒山登山。空にはあいにくの厚い曇に覆われ、登山中に雨もパラパラ。登山初心者である私たちの不安を、優しいガイドの狩野さんが和ませてくれました。ナナカマドやシラタマノキを見つけながら歩き、途中からミネザクラやコメツツジ、ヤマモミジの紅葉が顔を見せ始めます。植物の名前が分かると山登りが格段に楽しくなりました。

 登れて感謝! と思っていると空に晴れ間が!! 頂上から下山する頃には太陽が顔を出し、遠くに鳥海山が望めるほど。そして、見渡す限り360度の紅葉。紅葉の海。朱と橙と山吹色と緑。そこに青空と白い雲。鮮やかで完璧な色彩の美。憧れの「神の絨毯」が私たちの目の前に広がっていました。

 嬉しくて嬉しくてみんなで綺麗! 美しい! 最高! と立ち止まってばかり。下山のスピードが一向に上がらず、ガイドの狩野さんを困らせてしまったのもよい思い出になりました。

 下山後に入浴した須川温泉 栗駒山荘は、私たちが道草をしすぎて入浴時間は短かったのですが、壮大な景色に包まれる露天風呂が最高に気持ちよかったです。


 これまでガイドさんと一緒に登山をしたことがありませんでしたが、知識が増え、不安が軽減され心にゆとりができて、登山そのものに集中することができました。途中の沢を渡る箇所では不安がありましたが、ここでもサポートしていただき心強かったです。

 今回の旅ではメインの栗駒山登山はもちろん、山麓での触れ合いも本当に楽しかったです。その一番の要因は、出会う人に恵まれたこと。今回の企画をサポートしてくださったみなさま、ご一緒した義彦さん・ふみさんご夫婦、みな、山が好き、栗原が好き、という笑顔で迎えてくれたので、その輪の中にいることが本当に心地よく、リラックスして楽しめた二日間でした。

 今回、素晴らしい山での経験を得たことで、これから違う山にもたくさん訪れると思います。でも栗駒山で見た景色を秋が来る度に思い出し、懐かしむことと思います。栗駒山がくれた出会いに心から感謝しています。


特派員のみなさんも訪れた花山地区の浅布溪谷は、車を停めてから徒歩数分で見られる絶景。10月中旬から下旬にかけて紅葉の見頃を迎える。

夏、一面ハスの花で有名な伊豆沼・内沼は、ラムサール条約登録の沼。晩秋から冬には、シベリアなどから8万羽とも言われる渡り鳥が飛来する。

> 2016栗駒山秋の魅力紹介ページ

サクラソウの仲間ヒナザクラで田中澄江選定の「花の百名山」に選ばれている栗駒山。
山上では150種ともいわれる高山植物によって見事なお花畑が広がる。
宮城、岩手、秋田の各方面から登山道があり、何度訪れても新しい発見があるだろう。
温泉は各登山口にあり、宮城県側の山麓、栗原市の観光の見どころも多い。
東北新幹線を使えばアクセスもよい栗駒山、新緑、高山植物の季節にも訪れたい。

> 2015栗駒山レポート掲載!

どこに下山しても温泉!

栗駒山の楽しみのひとつは、どの入下山口にも湧いている温泉。宮城県側には長い温泉の歴史があり、いくつもの温泉が楽しめる。
写真は宮城県側「新湯温泉くりこま荘」の露天風呂。
秋田・岩手県境の須川高原温泉も古くから湯治場として知られている。

山のめぐみ イワナ、そば

イワナの養殖発祥の地とされる栗駒山麓の耕英地区では、清流が育てたイワナを「岩魚丼」で提供し、栗原の名物となっている。 昼夜の温度差が大きい山間地、花山地区では香りの高いそばも名産。「花山そばの里」では3軒のそば店が味を競っている。 最近では、新たな郷土料理として「そばだんご」も栗原の名産品として、飲食店、旅館等で提供されている。

水が育てる お米、お餅、日本酒

栗駒山麓の地形と豊かな水によって育まれてきた郷土料理。米どころの平野部は「栗原米」を生み、ずんだ餅、くるみ餅に始まり、じゅうね餅、ふすべ餅など、50種以上ある餅料理を産み出している。水と米が美味しければ、酒造りには好条件で、栗原市内だけでも6つの蔵元が存在する。


自然の力を感じるジオパーク

記憶に新しい2008年の岩手・宮城内陸地震。栗駒山周辺では、数百ヶ所も斜面崩落や地すべりが発生した。なかでも国内最大規模の崩落である荒砥沢地すべり跡は藍染湖ふれあい公園から眺めることができ、大地の偉大な力を感じることができる。周囲は栗駒山麓ジオパークのジオサイトとして登録されている。

アクセス
東北新幹線で
東京からくりこま高原駅まで、約2時間20分。
くりこま高原駅下車後、いわかがみ平まで、車で約60分。
東北自動車道で
若柳金成ICからいわかがみ平まで、車で約50分
(川口JCTから若柳金成ICまで402km、約5時間)
築舘ICからいわかがみ平まで、車で約60分)
お問い合わせ
栗原市
産業経済部 田園観光課
〒987-2293 宮城県栗原市築館薬師一丁目7番1号
TEL:0228-22-1151
http://www.kuriharacity.jp/
自然豊かな「栗原市」に来てけいらん
栗原市観光物産協会
〒989-5612 宮城県栗原市志波姫新熊谷284番地3
TEL:0228-25-4166
http://kurihara-kb.net/