ヤマケイオンライン登山白書特別編 山とケータイアンケート調査

携帯電話が登山の必須装備になって久しいが、近年、スマートフォンの普及によって、地図やGPSなど、山で使える機能が格段に増えた。また、遭難時の救助要請もケータイでされることが多い中、山での通信状況が登山の安全や快適性に重要な役割を果たしている。

そこで今回、登山者がケータイとどうつき合っているのかを調査するために、ヤマケイオンラインの会員に大規模なアンケート調査を行い、2,435人から回答を得た(回答者のプロフィールはこちら)。以下にその結果を見ていく。

登山者シェアNO.1はドコモ

ヤマケイオンライン会員2,435人の調査では、ドコモのシェアは約54%であった。直近の日本国内のキャリアごとのシェアを見ると、ドコモのシェア率は45.3%なので、登山の世界ではドコモへの支持が集中していることが伺えた。

「山ではドコモです」と断言する回答や「友人の通信状況を見て、下山後すぐに乗り換えた」という回答も。

※2016年3月時点。一般財団法人電気通信事業者協会調べ。

みんな知ってる?
山でつながるイメージはドコモが圧勝!

回答者の約54%がドコモユーザーだが、本質問に対してはなんと90%近くがドコモ支持となった。おもに、同行者がドコモユーザーで、山でつながっていることを横目で見た結果のよう。「山はドコモ」が浸透しているということか。

山からのメッセージ。家族・友人へのメールがNO.1

山でのケータイの利用用途は、僅差で「メール」がNO.1。続いてアプリ(内訳は事項)、通話と続く。

メール、通話の相手は当然、「家族・友人」が約79%で第1位。「もう山に登れなくなった高齢の母親に山の風景をメールした」「山の写真を娘に送ったら、うらやましい!と即返信があった」など、山からのメール、通話が家族や友人とあたたかいコミュニケーションにつながっているようだ。

一方で、「仕事」の通話やメール、という人が約20%も存在している。働く世代は山でも仕事に追われている?! それは山でもつながるケータイの欠点?

もうカメラはいらない!? 山でのアプリランキング

スマートフォンに搭載されたカメラの画質が向上し、SNSユーザーも増えた分、「カメラ」の利用者がNO.1。世代別に見ると、若年層ほど「カメラ」の利用率は高く、10~20代は約80%近くが利用しており、30~40代は約73%、50~60代は約63%、70代以降も約43%の利用率だった。これは、一眼レフやコンパクトカメラなどの“実機”としてのカメラ利用に対する世代の違いだと推定される。

続いて第2位は「地図」。種類的には、昭文社の『山と高原地図』のユーザーが多く、『ジオグラフィカ(Geographica)』『YAMAP』などが続く。また、地図アプリユーザーのうち、じつに約23.5%が紙の地図を持たずに登山をした経験があり、スマホ依存の危うい側面も垣間見えた。スマホが便利になったとはいえ、紙の地図とコンパスは最低限の技術を取得したうえで、今もなお必須装備だということは認識して欲しい。

世代的には「地図」「GPS」「SNS」に関しては、いずれも30~40代がもっとも利用率が高く、おおむね40~60%だった。また、「ゲーム」の利用者も総数は少ないもののこの世代の利用が多く、「山小屋、テント泊で暇なときにしている」という回答もあった。山にまで来て…と思うものの、それが世相ともとれるデータだ。

命を救うケータイ

アンケート回答者のうち、135人が自分や仲間、ほかの登山者のケガや遭難に遭遇し、ケータイで救助要請をした経験があった。

ケータイによる安易な救助要請が問題になることはあるが、回答には春山で200m滑落した本人が救助要請した事例や、「同行者が熱中症で倒れた」「砂地ですべって足首を骨折した」「ほかの登山者が雪崩に巻き込まれたのを発見した」など、シビアな遭難事例も多くあり、迅速な救助要請によって救われた登山者も多く見られた。

登山にケータイが必須装備になった今、山岳エリアでの通話状況は生死を分けることを認識して欲しい。


(提供:NTTドコモ)